この連載の目次(全8回・完結)
八海山は「冷でよし、燗でよし」。獺祭45の飲み頃は10〜12℃。同じ日本酒でも、似合う温度は違う。出す温度で味の見え方は変わり、どう変わるかも酒によって違う。この回では、獺祭45、久保田 千寿、特別本醸造 八海山、白鶴まるの4本で、温度を動かしたときに何が起きるのかを見ていく。

獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分株式会社 獺祭(山口県岩国市)
Photo: Breizhiz75 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(写真は獺祭の別商品「磨き二割三分」。本文で扱うのは「純米大吟醸45」)
獺祭45——飲み頃は10〜12℃
獺祭45の飲み頃は10〜12℃。冷蔵庫から出したてより、少し温度が上がった頃だ。保存は要冷蔵である。
この温度で飲むと、マスカットやリンゴを思わせる果実の香りと、そのあとに来るきれいな甘みをつかみやすい。冷蔵庫から出した直後より、少し置いて10〜12℃に近づいた頃のほうが、果実香を拾いやすい。
久保田 千寿——常温で、米の旨みが見えやすくなる
千寿は冷酒、常温、ぬる燗で飲める。冷酒では切れが先に立ち、常温ではやわらかさと米の旨みが見えやすくなる。体にすっと溶け込むような口当たりに変わるのは、この常温の側だ。
なお、品書きで見る「冷や」は冷酒ではなく常温を指す(第3回)。
特別本醸造 八海山——冷酒はすっきり、燗で中盤の甘みが出る


八海山 特別純米原酒八海醸造(新潟県南魚沼市)
(写真は八海山の別商品。本文で扱うのは「特別本醸造 八海山」)
八海山は、冷酒では飲み口がすっきりし、燗にすると中盤の甘みが前へ出る。温度を変えても味の軸が大きく崩れず、一つの酒で冷酒と燗の差を比べやすい。
白鶴まる——燗にすると、香りが開く

白鶴 サケパック まる 3L白鶴酒造(兵庫県神戸市)
まるは、冷や、常温、ぬる燗、上燗のどれでも飲める。
常温では香りが穏やかだが、燗にするとふわっと広がる。温度を上げたほうが、この酒は表情が出る。
同じ一本でも、温度で表情が変わる
獺祭45、千寿、八海山、まるには、それぞれ違う温度の見せ場があった。冷蔵庫から出した直後、グラスの中で少し時間が経った後、燗にした後。
同じ一本でも、飲んでいる途中に香りや甘みは動いていく。温度は酒の種類ではなく、一杯の中でも変わり続ける要素である。
次回
温度と並んで、売り場には季節の言葉も並ぶ。しぼりたて、生酒、夏酒、ひやおろし——第7回では、季節商品の名前が、どんな飲み口を予告しているのかを見ていく。