この連載の目次(全8回・完結)
- 01八海山って何? 日本酒の話で迷子にならないための5つの言葉無料
- 02日本酒好きは、銘柄の「どこが違うか」で盛り上がっている無料会員
- 03酒場の歩き方読み放題
- 04「純米大吟醸」の正体読み放題
- 05蔵と地域の系譜読み放題
- 06温度と器の教養いまここ
- 07季節の日本酒読み放題
- 08最終回——日本酒の話に入る読み放題
カウンターで、隣の客が「ぬる燗で」「花冷えで」と、温度で頼んでいる。あなたは銘柄を少し覚えた(第2回)。頼む場所も分かった(第3回)。なのに温度の欄になると、言えるのは「冷たいので」か「常温で」の二択だけ——ここにも、まだ埋まっていない一段がある。
先に、いちばん誤解されている言葉をほどいておきたい。「冷や(ひや)」は、冷たい酒のことではない。
「冷やで」と頼んで出てくるのは、冷蔵庫でキンキンに冷えた酒——ではなく、常温の酒だ。冷蔵庫がなかった時代、日本酒には「常温のまま飲む=冷や」か「温める=燗」の二つしかなかった。冷やして飲む「冷酒」は、冷蔵庫が広まってから生まれた新参者である。だから昔ながらの店ほど、「冷やで」は常温を指す。
つまり温度は、「冷たい」か「温かい」かの二択ではない。常温(=冷や)を真ん中に置いた、一本のものさしだ。そこから下へ「冷やす」、上へ「温める」の目盛りが伸びている。どの目盛りを選ぶかは、この連載でずっと使ってきた「香りと重さ」で決まる——第1回の2軸が、そのまま温度の選び方になる。
ここまでで、「冷や」が冷たい酒ではなく常温を指すこと、そして温度が一本のものさしであることが分かりました。続きでは、雪冷えから飛び切り燗までの目盛りの読み方と、家で失敗なくぬる燗をつける手順、そして器で味が変わる理由までを渡します。
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温度には、名前がついている / 温めると甘くなり、冷やすと締まる / 「ぬる燗で」——その中身と、つけ方 / 同じ酒が、器で変わる / 会話での使い方
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