大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

DRINK連載「日本酒の教養」第6回

冷やす、常温、燗——温度が変わると、日本酒はどう変わる?——獺祭45、久保田 千寿、八海山、白鶴まるで比べる

冷酒向き、燗向きという名前だけでなく、温度によって香り、甘み、旨み、切れがどう動くかを知る回。

公開 2026.07.20最終確認 2026.08.23
この連載の目次(全8・完結
  1. 01獺祭45・久保田 千寿・特別本醸造 八海山・白鶴 まる——よく見る4本は、どう飲み分ける?
  2. 02十四代、新政、而今、飛露喜——人気銘柄は、どんな酒なのか
  3. 03冷酒、冷や、燗、一合——日本酒のメニューに並ぶ言葉
  4. 04獺祭45、久保田 千寿、特別本醸造 八海山、白鶴まる——ラベルの肩書きを読む
  5. 05久保田・八海山、白鶴・菊正宗、賀茂鶴——土地は酒のどこに残る?
  6. 06冷やす、常温、燗——温度が変わると、日本酒はどう変わる?いまここ
  7. 07しぼりたて、生酒、夏酒、ひやおろし——売り場の季節はどう変わる?
  8. 08最終回——好きだった一本から、次に飲む酒を探す

八海山は「冷でよし、燗でよし」。獺祭45の飲み頃は10〜12℃。同じ日本酒でも、似合う温度は違う。出す温度で味の見え方は変わり、どう変わるかも酒によって違う。この回では、獺祭45、久保田 千寿、特別本醸造 八海山、白鶴まるの4本で、温度を動かしたときに何が起きるのかを見ていく。

錦帯橋を背景に立つ獺祭 磨き二割三分の瓶と、酒の入ったグラス

獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分株式会社 獺祭(山口県岩国市)

Photo: Breizhiz75 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0写真は獺祭の別商品「磨き二割三分」。本文で扱うのは「純米大吟醸45」

DASSAI 45

獺祭45——飲み頃は10〜12℃

獺祭45の飲み頃は10〜12℃。冷蔵庫から出したてより、少し温度が上がった頃だ。保存は要冷蔵である。

この温度で飲むと、マスカットやリンゴを思わせる果実の香りと、そのあとに来るきれいな甘みをつかみやすい。冷蔵庫から出した直後より、少し置いて10〜12℃に近づいた頃のほうが、果実香を拾いやすい

KUBOTA SENJU

久保田 千寿——常温で、米の旨みが見えやすくなる

千寿は冷酒、常温、ぬる燗で飲める。冷酒では切れが先に立ち、常温ではやわらかさと米の旨みが見えやすくなる。体にすっと溶け込むような口当たりに変わるのは、この常温の側だ。

なお、品書きで見る「冷や」は冷酒ではなく常温を指す(第3回)。

HAKKAISAN

特別本醸造 八海山——冷酒はすっきり、燗で中盤の甘みが出る

コンロの網の上で直火にかけられた陶器の燗用の酒器
卓上の火にかけられた燗用の酒器(2008年撮影)Photo: みやとも / Wikimedia Commons / CC BY 2.1 JPWebP変換のみ
八海山 特別純米原酒の瓶

八海山 特別純米原酒八海醸造(新潟県南魚沼市)

写真は八海山の別商品。本文で扱うのは「特別本醸造 八海山」

八海山は、冷酒では飲み口がすっきりし、燗にすると中盤の甘みが前へ出る。温度を変えても味の軸が大きく崩れず、一つの酒で冷酒と燗の差を比べやすい

HAKUTSURU MARU

白鶴まる——燗にすると、香りが開く

赤と白のパッケージに大きく「まる」と書かれた白鶴 サケパック まる 3L

白鶴 サケパック まる 3L白鶴酒造(兵庫県神戸市)

まるは、冷や、常温、ぬる燗、上燗のどれでも飲める。

常温では香りが穏やかだが、燗にするとふわっと広がる。温度を上げたほうが、この酒は表情が出る。

CHOICE

同じ一本でも、温度で表情が変わる

獺祭45、千寿、八海山、まるには、それぞれ違う温度の見せ場があった。冷蔵庫から出した直後、グラスの中で少し時間が経った後、燗にした後。

同じ一本でも、飲んでいる途中に香りや甘みは動いていく。温度は酒の種類ではなく、一杯の中でも変わり続ける要素である。

次回

温度と並んで、売り場には季節の言葉も並ぶ。しぼりたて、生酒、夏酒、ひやおろし——第7回では、季節商品の名前が、どんな飲み口を予告しているのかを見ていく。