この連載の目次(全8回・完結)
- 01八海山って何? 日本酒の話で迷子にならないための5つの言葉無料
- 02日本酒好きは、銘柄の「どこが違うか」で盛り上がっている無料会員
- 03酒場の歩き方読み放題
- 04「純米大吟醸」の正体読み放題
- 05蔵と地域の系譜いまここ
- 06温度と器の教養読み放題
- 07季節の日本酒読み放題
- 08最終回——日本酒の話に入る読み放題
接待でも、親戚の集まりでもいい。相手が一升瓶を傾けて、こう言う——「これ、地元の酒でして」。返せるのは「へえ、おいしいですね」だけ。でも相手は本当は、その土地の話をしたかった。第1回の2軸で味は言えるようになったが、「どこの酒か」で語る言葉を、あなたはまだ持っていない。
先に、いちばん分かりやすい土地から始めたい。新潟だ。新潟の酒はひとことで言い切れる——「淡麗辛口」。軽くて、すっきりして、キレがある。第2回の名鑑で覚えた久保田や八海山、越乃寒梅が、みなこの系統だ。
なぜ新潟は淡麗辛口なのか。理由は、はっきり土地にある。雪国の澄んだ軟水、寒く長い冬がもたらすゆっくりした低温発酵、そして新潟で生まれた酒米「五百万石」——雑味が少なく、キレのある酒になりやすい米だ。五百万石は、1957年に新潟県の米の生産量が五百万石(約75万トン)を超えた記念に名づけられ、のちに全国へ広がる淡麗辛口ブームを引っ張った。「淡麗辛口」は、誰かの好みではなく、新潟という土地が出した答えである。
淡麗辛口という言葉の、いちばん有名な顔。名は、雪の中で咲く梅から採られた。第2回の久保田・八海山と同じ「新潟の系統」で、一本知っておくと、産地の話の入口になる。
新潟でこの読み方が分かると、ほかの土地も同じ手つきでほどけていく。「地元の酒」には、必ず土地の理由がある。 だから「地元でして」と振られたら、まずはその土地を思い浮かべればいい。
ここまでで、新潟の淡麗辛口が『土地の理由』で説明できることが分かりました。続きでは、東北のきれいな旨口と、灘の男酒・伏見の女酒・広島の軟水——西の飲み分けまでを渡します。
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土地を読む——水・気候・米、そして人 / 東北——寒さが、澄んだ酒をつくる / 西——男酒・女酒と、吟醸のふるさと / 会話での使い方
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