この連載の目次(全8回・完結)
連載の最後は、街を一つ歩く。台北。たどるのは、大同区を歩く一つの経路である。MRT大橋頭駅で降りて迪化街を南へ、日が落ちたら寧夏路夜市へ。台北市の観光公式サイトが公開している所在地と最寄り駅にそって進む。
大同区を歩く、一つの経路
台北の大同区には、昼から夜まで歩いてつなげられる一つの経路がある。地図にすると、こうなる。
北を上にした概略図で、縮尺は正確ではない。所在地と最寄り駅は、台北市政府観光伝播局「台北旅遊網」の各ページによる。
図と同じ内容を、文字でも並べておく。
- MRT 大橋頭駅(中和新蘆線)。台北市の観光公式サイトが、迪化街の最寄り駅として挙げている駅の一つ。もう一つは台北橋駅
- 迪化街一段(大同区)。ここを南へ歩く
- 寧夏路夜市(大同区・寧夏路、南京西路と民生西路の間)
- 帰りは双連駅または中山駅(淡水信義線)。いずれも公式サイトが寧夏路夜市の最寄り駅として挙げている
迪化街——川の荷揚げ場の裏にできた、問屋の通り
台北市の観光公式サイトは、この通りの成り立ちを説明している。かつてこの一帯は、川に面した貿易の街だった。中国大陸と西洋の貿易が盛んだった時代、船で運ばれてきた積み荷は、荷揚げ場のすぐ裏にあたる迪化街に並べられた。荷物が着く場所のすぐ後ろという位置が、この通りを問屋街にした。
建物にも、その時代が残っている。雨の多い台湾の気候に合わせて、騎楼(きろう)——建物の一階部分を歩道として通り抜けられるようにした造りが設けられた。外壁には西洋建築を模した装飾が施され、公式サイトはこれを「中国式と西洋式の混在する独特な建築」と呼んでいる。歩きながら建物の正面を見上げていくと、店ごとに違う顔が続く。
いまも並んでいるのは、食品と漢方薬である。公式サイトは、通りに入ると二階建ての洋館が立ち並び、店には見渡す限りの食品や漢方薬が陳列されている、と書いている。
この通りは、旧正月の時期には別の名前で紹介される。「迪化歳末品売り場大通り」——旧正月を迎えると、正月食品が出揃う買い物街になる。行く時期によって、同じ通りの見え方が変わるということである。
寧夏路夜市——歩道と車道が分かれている夜市
日が落ちたら、寧夏路へ移る。台北市の観光公式サイトによれば、寧夏路夜市は台湾伝統の屋台料理がメインの夜市である。
公式の説明で目を引くのは、この一行である——歩道と車道が分かれているので、食事やショッピングに便利。夜市は通りに屋台が出るぶん人の流れが密になるが、この通りは歩く場所と車の通る場所が分けられている。
この経路をたどると、順にこう見えることになる——MRT大橋頭駅を出て問屋街に入り、騎楼の下を歩きながら食品と漢方薬の店を見て、建物の正面に残る西洋風の装飾を見上げる。そのまま南へ進み、日が落ちてから寧夏路へ移ると、歩道と車道の分かれた通りに屋台が並ぶ。 問屋の通りと、屋台の通りが、同じ区の中で歩いてつながっている。