この連載の目次(全8回・完結)
- 015つの街で知る、海外旅行の一日
- 02海外旅行の行き先図鑑——10の土地を、地図から見る
- 03東京から何時間かかるか——ソウル2時間半、パリ14時間前後いまここ
- 04ウィーン、プラハ、ブダペスト、バルセロナ、リスボン——五つの光景
- 05ポイントと会員資格は別物で、マイルの必要数はANAとJALで決まり方が違う
- 06シンガポールの屋台は、ユネスコの無形文化遺産に登録されている
- 07旅先の物価は、為替と現地の値段の掛け算で決まる
- 08最終回——台北の一日を、迪化街から寧夏路夜市まで歩く
旅にかかる時間は、現地で過ごす日数だけでは決まらない。東京からソウルなら2時間半ほど、パリなら14時間前後。往復の移動時間が、そのまま休みの一部を占める。
東京からの飛行時間は、行き先によって大きく変わる。おおよその目安を並べると、ソウルが2時間半前後、台北が4時間前後、ホーチミンが6時間前後、バンコクとホノルルが7時間前後、シンガポールが7〜8時間。ヨーロッパは離れていて、パリまでは14時間前後になる。
ここに幅があるのは、飛行時間が一つの値に決まらないからだ。羽田発と成田発、航空会社と機材、その日の経路と風、季節によって、同じ路線でも所要時間は前後する。時刻表の数字は、その航空会社のその便についてのものである。
時差のほうは、はっきりした値になる。日本は協定世界時より9時間進んでいる。ソウルは日本と同じ時刻で、時差がない。台北とシンガポールは1時間、バンコクとホーチミンは2時間、日本より遅い。パリは夏に7時間、冬に8時間の差がある。ホノルルは19時間遅い。
往路と復路で、飛行時間が違う
同じ路線でも、行きと帰りで所要時間が変わる。上空を流れる偏西風の影響による。
日本からヨーロッパへ向かう西行きの便は、この風に逆らって飛ぶ。逆に、ヨーロッパから日本へ戻る東行きの便は風に乗る。差は1時間以上になることがある。
太平洋線でも同じことが起きる。日本からアメリカ西海岸へ向かう東行きは風に乗り、戻る西行きは逆らう。北米線では往路のほうが短い。
さらに、ロシア上空を通れない航空会社は、ヨーロッパ路線で南回りや北回りの経路を取る。この場合、経路が長くなるぶん飛行時間が伸びる。同じパリ行きでも、航空会社によって所要時間が違うのはこのためだ。
時差は、東へ飛ぶときのほうが応える
時差による体調の乱れは、飛ぶ向きで出方が違う。
東へ飛ぶと、現地の一日が日本より短くなる。日本からハワイやアメリカ本土へ向かうときがこれにあたる。身体が「早く寝て早く起きる」方向へ合わせることになり、順応に時間がかかりやすい。
西へ飛ぶ場合は、現地の一日が長くなる。ヨーロッパ行きがこれで、「遅くまで起きている」方向の調整になる。こちらのほうが順応しやすいとされる。
時差の幅そのものも、行き先で大きく違う。ソウルは時差ゼロ、台北とシンガポールは1時間、バンコクとホーチミンは2時間。ホノルルは19時間、パリは7〜8時間ある。ずらす必要のある時間の量が、そもそも別物である。
到着時刻で、現地で使える時間が変わる
飛行時間と時差を足すと、現地の到着時刻が出る。
東京を午前に出るソウル便なら、時差がないので昼過ぎには市内に入れる。その日の午後がまるまる使える。
バンコク行きは、飛行時間7時間に対して時差が2時間戻る。午前に出れば現地でも午後に着く。一方、夕方に出る便では、着くのが現地の深夜になる。
ヨーロッパ行きは、昼に東京を出て、14時間飛んで、現地の夕方に着くという形が多い。日付は変わらないが、機内で一日が過ぎている。
ホノルル行きは、時差19時間の影響で、日付の感覚が入れ替わる。夜に東京を出ると、同じ日の朝にホノルルへ着く。
移動に何時間かかるか
往復の飛行時間を足すと、旅全体に占める移動の量が見える。
ソウルなら往復で5時間ほど。パリなら往復で28時間前後になる。ここに、空港までの往復、搭乗手続きと出入国、乗り継ぎがある場合はその待ち時間、そして到着空港から市内までの移動が加わる。
同じ「4泊5日」でも、この合計が5時間の行き先と、30時間を超える行き先では、現地にいられる時間がまったく違う。日数を決める前に、まずこの合計を出しておくと、行き先の見え方が変わる。
次回
そのヨーロッパには、パリとローマ以外にも都市がある。第4回では、ウィーン、プラハ、バルセロナ、リスボンといった街を一つずつ見ていく。