大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

SPORTS連載「野球の教養」第3回

メジャーで活躍する日本人選手——誰が、どのチームにいる?——ドジャースだけではない、2026年の現在地

大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希だけではない。打者、先発、中継ぎとして各球団でプレーする日本人選手を、所属先と役割から見渡す。

公開 2026.07.20最終確認 2026.08.18
この連載の目次(全8・完結
  1. 01プロ野球12球団は、なぜこんなに雰囲気が違うのか
  2. 02一試合の空気は、どこで変わるのか
  3. 03メジャーで活躍する日本人選手——誰が、どのチームにいる?いまここ
  4. 04プロ野球の一年は、いついちばん熱くなるのか
  5. 05球場は、座る場所と応援で別の場所になる
  6. 06甲子園の名前は、ドラフトのあとどう続くのか
  7. 07打率、本塁打、防御率——中継の数字はどこまで見ればいい?
  8. 08最終回——WBC決勝、大谷翔平とトラウトの最後の打席

2026年のメジャーリーグでは、日本生まれの選手14人が開幕時点の選手登録に入った——故障などで離脱中の選手を含めた集計で、2010年以来の多さである。大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希がそろうドジャースが目立つが、カブス、メッツ、エンゼルス、パドレスなどにも日本人選手がいる。先発の中心、打線の中軸、試合途中を任される投手、新しい環境に適応している途中の選手——同じ「メジャーで活躍する日本人」でも、その現在地はかなり違う。

青いドジャースのユニフォームに背番号18の投手が、グラブを顔の前に構えている

山本由伸2025年3月・東京ドーム。MLB開幕シリーズ期間のプレシーズンゲーム

ドジャース先発陣の一人。2026年の日本人メジャー選手は、大谷翔平だけではない。

Photo: ウィ貴公子 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

THE DODGERS TRIO

ドジャースの三人——同じ球団でも、立場は違う

ロサンゼルス・ドジャースには、日本人選手が三人いる。

大谷翔平は、打者としても投手としても球団の中心にいる。注目度、契約の規模、報道量のどれを見ても、現在の日本人メジャー選手の中心人物である。ただし、日本人選手のメジャーでの活躍は、大谷だけではない。

山本由伸は、先発陣の柱だ。速い球だけで押すタイプではなく、複数の球種と制球で打者を崩す投手として評価されてきた。今季も防御率2.60と安定していて、数日に一度の登板日には、試合の入り方をこの一人が決める(第2回)。甲子園に出ないまま4位指名からここまで来た経歴は、第6回で扱ったとおりである。

佐々木朗希に期待されているのは、速球と、打者の手元で沈む落ちる球だ。ただし、日本で完成したスターがそのまま移った、という話ではない。2025年は右肩の故障で長く離脱した。2026年は先発として登板を続けているが、制球や投球の安定には波があり、完成したエースというより、メジャーへ適応している途中の投手として見られている。山本と同じ先発でも、現在の立場は同じではない。

ドジャースの青い練習ウェアとLAキャップの若い投手が、黄色いグラブを構えて投球練習をしている

佐々木朗希2025年3月・東京ドーム。プレシーズンゲームの試合前

メジャー1年目の春。この年は肩の故障で長く離脱し、2年目の今季は先発として登板を続けている。

Photo: ウィ貴公子 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

THE HITTERS

打線に入る日本人——鈴木誠也、村上宗隆、岡本和真、吉田正尚

打者としてメジャーの打線に入っている日本人は、いま4人いる。

鈴木誠也(シカゴ・カブス)は2022年に海を渡り、今年で5年目になる。打線の中軸で長打を任される位置にいて、ここまで22本塁打。すでに「メジャーへ挑戦中の新人」ではない。 打球の強さが話題になる一方で、外野を守るか打撃に専念するかという起用のされ方も含めて見られる選手になっている。

村上宗隆(シカゴ・ホワイトソックス)は今季が1年目である。長打は既に通じ始めていて、離脱を挟みながら28本塁打。一方で空振りも多く、打率は低い。5月末に太もも裏を痛めて約6週間離脱し、復帰直後の7月にはオールスターゲームのメンバーに選ばれた。 長打への評価と、対応途中の粗さが同居している。日本での実績だけで成功が決まるわけではなく、その適応をいま試している段階だ。

岡本和真(トロント・ブルージェイズ)も同じ冬に海を渡った1年目で、村上と比較されやすい。ただし二人は同じ型ではない。岡本は三塁と一塁を守りながら、ここまで121試合——離脱なく使われ続けていることが、そのまま評価になっている。 空振りを恐れず遠くへ飛ばす村上とは、打ち方も任される役割も違う。

吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、バットを球へ正確に当てる技術で評価されてきた打者だ。ただ、長打で目立つ型ではなく、守備につく機会が限られることもあって、出場機会が安定しない時期があった。そして8月16日、左太もも裏を痛めて離脱したばかりである。「日本で打てたからメジャーでも安泰」という単純な話ではないことを、4年目のいまも示している。

縦縞のカブスのユニフォームに背番号27・SUZUKIの打者が、バットを立てて打席に構えている

鈴木誠也2025年9月・シカゴ・カブス

打席での構え。2022年の移籍から5年目で、打線の中軸を任されている。

Photo: Keiteay / Wikimedia Commons / CC BY 4.0リサイズ

THE STARTERS

各地で先発する投手——今永、菊池、千賀、今井

先発投手として登板を重ねている日本人は、ドジャースの二人のほかにもいる。

今永昇太(シカゴ・カブス)は左投手で、今年で3年目。速球の速さで押すのではなく、真っ直ぐと、打者の手元で沈む落ちる球の組み合わせ、そして制球で打者を崩す。 7月19日のツインズ戦では7回を無失点に抑えた。故障者が続いたカブスの先発陣で、登板を飛ばさずに投げ続けていることが評価されている。派手な球速だけがメジャーで通用する条件ではないことが、この投手を見ていると分かる。

菊池雄星(ロサンゼルス・エンゼルス)は2019年に海を渡り、複数の球団を経てきた左の先発だ。三振を奪う力と、シーズンを通して投げてきた経験を買われてきた。今季は7先発したところで左肩を痛めて4月末から離脱し、いまはマイナーの試合で復帰へ向けた登板を重ねている。渡米直後の期待がどうだったかより、8年目もメジャーの契約が続いていること自体が、この世界で生き残ってきた証明である。

千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)は、打者の手元で大きく沈む落ちる球——「お化けフォーク」と呼ばれてきた——で知られる。今季はいちばん苦しいシーズンを過ごしている。4月末に腰を痛めて離脱し、6月に戻ったあとは先発から試合途中から投げる役割へ移った。ただし直近は1イニングずつを任され、8月10日からは3試合連続で試合の最後を締めてセーブが付いた。実力のある投手でも、長いシーズンで同じ状態を保つことは難しい——それがこの一年に出ている。

今井達也(ヒューストン・アストロズ)は今季が1年目の新加入で、日本では西武の先発だった。投げた回数を上回る三振を奪っていて、球の力は既に見えている。ただし試合は安定せず、1回を終えられずに降板した先発が3度あり、7月末に先発を外れて、試合途中から投げる役割へ移った。 監督は「先発のときの球はとても良い」と話し、本人も「アストロズは先発として契約してくれた。いずれ先発に戻りたい」と言っている。一試合の好投だけでも、一時期の不調だけでも、評価が決まらない選手である。

縦縞のユニフォームの左投手が、足を高く上げて投球動作に入っている

今永昇太2022年8月・横浜スタジアム。横浜DeNAベイスターズ時代

移籍前の投球フォーム。2024年からカブスの先発陣に入り、今年で3年目になる。

Photo: OmiyuF / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

青いメッツのユニフォームに背番号34の投手が、腕を大きく振りかぶって投球している

千賀滉大2023年3月・ニューヨーク・メッツ。移籍1年目の登板

1年目の投球。4年目の今季は故障のあと役割が変わり、直近は試合の締めも任されている。

Photo: D. Benjamin Miller / Wikimedia Commons / CC0リサイズ

THE VETERANS

経験のある投手と、試合途中を任される投手

キャリアの長さや役割の面で、ここまでの選手と違う場所に立つ三人がいる。

ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)は2012年に海を渡った、現役の日本人メジャー投手のいちばんの先輩である。球種の多さと、相手打者に合わせて投げ方を変えることで知られてきた。その39歳は、いまマウンドにいない。2025年10月に右肘のじん帯を修復する手術を受け、開幕直前の2026年3月25日に出場選手の登録から外れた。 今季の登板はない。1月には「まだ引退は発表しない。いまは肘のリハビリに集中している」と自ら記しており、球団を離れてリハビリを続けている(8月18日確認)。

松井裕樹(サンディエゴ・パドレス)は、同じ球団でも仕事がまったく違う。日本では楽天で、試合の最後を任される投手を長く務めた。パドレスでは先発ではなく、試合の途中から投げる役割で登板を重ねている。勝っている試合の途中の回を任され、リードを保ったまま後ろへつなぐ。目立つ場面は少ないが、いまの野球はこの役割の投手なしには最後まで行けない(第2回)。

菅野智之(コロラド・ロッキーズ)は、また別の型である。巨人で長く先発を務め、2025年にボルティモア・オリオールズでメジャーデビューし、メジャー2年目の2026年にロッキーズへ移った。 若い有望株ではなく、経験を持って渡る型だ。本拠地のクアーズ・フィールドは標高が高く、打球が飛びやすい球場として知られるが、そこで三振に頼らず打たせて取る投球を続け、ここまで12勝を挙げている。7月に背中の張りで2週間離脱したが、いまは先発に戻っている。

SANDIEGOと書かれた縦縞のユニフォームの投手が、走者を確認しながら投球動作に入っている

ダルビッシュ有2022年10月・サンディエゴ・パドレス。ポストシーズンの登板

パドレスでの登板。2025年10月に右肘の手術を受け、2026年はマウンドに立っていない。

Photo: D. Benjamin Miller / Wikimedia Commons / CC0リサイズ

WHERE THEY ARE

2026年にメジャーへ出場した日本生まれの選手は、どこにいる?

開幕時点の登録は14人。そこに、開幕後の5月にデビューした西田陸浮が加わる。合わせて15人の現在地を一覧にしておく。所属も役割も故障の状況も動くので、確認日を添える。

NOW — 2026.08

2026年8月18日確認。 開幕時の14人は、2026年3月26日のMLB発表による(故障などで離脱中の選手を含む集計)。

選手球団主な役割現在の状況
大谷翔平ドジャース打者・投手打線の中軸と先発の両方で出場中
山本由伸ドジャース先発投手先発陣の一人として登板中
佐々木朗希ドジャース先発投手先発として登板中。好投する日がある一方、制球と安定感には課題が残る
鈴木誠也カブス打者・外野手打線の中軸で起用
今永昇太カブス先発投手先発陣の一人として登板中
村上宗隆ホワイトソックス打者・内野手5月末からの離脱を経て7月に復帰し、一塁で出場中
岡本和真ブルージェイズ打者・内野手三塁・一塁で出場を続けている
今井達也アストロズ投手7月末に試合途中から投げる役割へ変更
菊池雄星エンゼルス先発投手左肩の故障で離脱中。マイナーで復帰登板を重ねている
千賀滉大メッツ投手先発から救援へ変更。直近は試合の締めも任される
吉田正尚レッドソックス打者8月16日に左太もも裏を痛めて離脱
ダルビッシュ有パドレス投手右肘の手術からリハビリ中。今季の登板なし
松井裕樹パドレス試合途中から投げる投手勝ち試合の途中を任されて登板中
菅野智之ロッキーズ先発投手7月の離脱から復帰し、先発中
西田陸浮ホワイトソックス傘下外野手5月25日にメジャーデビュー。6月9日に3Aシャーロットへ移った

大谷翔平は現在も特別な存在だが、メジャーの日本人選手は、すでに一人のスターだけを追う段階ではない。ドジャースには三人がそろい、カブスには投手と打者がいて、別の球団では長打を求められる選手、試合途中を任される投手、故障から戻ろうとしている選手がいる。名前と所属先がつながるだけで、日本人選手のニュースはかなり追いやすくなる。

※成績・登録状況・故障の情報はMLB公式(2026年8月18日確認。成績は現地時間8月17日の試合終了時点)による。