この連載の目次(全8回・完結)
- 01服の話は、センスで勝負しなくていい無料
- 02セレクトショップとは何なのか無料会員
- 03ブランド名鑑・国産編読み放題
- 04ブランド名鑑・海外編読み放題
- 05名品の系譜——なぜ「定番」は定番になったのか読み放題
- 06セールで冒険、定価で定番読み放題
- 07古着とアーカイブの教養いまここ
- 08最終回——服の話に入る読み放題
古着屋で、値札を二度見したことはないだろうか。片方のラックのジーンズは3千円。すぐ隣の、ほとんど同じに見える一本は8万円。あるいは友人が「これ、ヴィンテージのリーバイス」と言ったとき、あなたに返せたのは「へえ」の一言だけだった。
なぜ、同じに見えるジーンズが、一桁ちがう値段になるのか。答えは、一本の「証拠」にある。リーバイスの501。後ろの赤いタグ(赤タブ)には「LEVI'S」と入っているが、このEが大文字だった時代を、服好きは「ビッグE」と呼ぶ。赤タブが生まれたのは1936年。そのビッグEは1971年に終わり、Eは小文字の「e」に変わった。だから赤タブのEを見るだけで、その一本が1971年より前か後かが分かる。そして1971年より前の一本は、もう二度と作られない——値段は、その「もう作られない」に付いている。
ここで大事なのは、「古着」と「ヴィンテージ」は違う言葉だということだ。古着は、ただの中古の服。安い。ヴィンテージは、その時代にしか作れなかった服で、時間が経つほど数が減り、値が上がる。第1回で「服は作り手で見る」と書いた。その見方が、古着の棚では「いつ・どこで作られたか」まで伸びる。センスの話ではない。読める人は、一本のタグから年代を読んでいる。
ここまでで、「古着」と「ヴィンテージ」は別の言葉で、値段は『もう再現できないこと』に付くと分かりました。続きでは、なぜ再現できないのかの中身と、アーカイブという『作り手を指名買いする』世界、そして会話での使い方までを渡します。
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なぜ「もう作れない」のか / アーカイブ——過去の作り手を、指名買いする / 会話での使い方
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