この連載の目次(全8回・完結)
- 01服の話は、センスで勝負しなくていい無料
- 02セレクトショップとは何なのか無料会員
- 03ブランド名鑑・国産編読み放題
- 04ブランド名鑑・海外編読み放題
- 05名品の系譜——なぜ「定番」は定番になったのかいまここ
- 06セールで冒険、定価で定番読み放題
- 07古着とアーカイブの教養読み放題
- 08最終回——服の話に入る読み放題
同じ白い無地のTシャツが、片方は1,000円、片方は8,000円で並んでいる。見た目はほぼ同じ。あなたは「8倍もするのはブランド代だろう」と思って、安い方を手に取る——その判断は、半分だけ正しい。
第1回で、値段は素材と工程の翻訳だと書いた。今回はその中でも、何十年も売れ続ける「定番」——白Tシャツ、デニム、革靴——に絞る。定番の名品には、値段差を説明できる共通の理由がある。まず白Tから。
高い方の白Tの正体は、たいてい「作り方」だ。安い白Tは高速の編み機で編む。対して名品と呼ばれる白Tの一部は、「吊り編み(つりあみ)」という古い機械で編む。天井から吊るした編み機が、糸に重力以外の力をほとんどかけずに、ゆっくり編んでいく。どれくらいゆっくりかというと、高速機が1分で編む量を、吊り編み機は1時間かける。糸が引っ張られないぶん、空気を含んだ、洗ってもへたらない柔らかい生地になる。和歌山の数えるほどの工場に、いまも古い機械が残っている。
つまり8,000円の白Tは、ロゴ代ではなく「遅い作り方」に払っている。同じ形なら、値段の差は作り方の差——速い機械か、遅い機械か。定番の名品は、どれもこの一言で読める。デニムと革靴で確かめよう。
ここまでで、白Tの値段差は「作り方の速さ」で説明できる、と分かりました。続きでは、デニムと革靴でも同じ見方が効くことと、値段差を一言で返す型までを渡します。
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デニム——「耳」がある方が、なぜ高い / 革靴——「作り方」で、10年履けるかが決まる / 会話での使い方
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