この連載の目次(全7回・完結)
黒のニットに黒のパンツ、黒の靴。ここで靴だけを白にすると、足元が軽くなって、格好全体の印象が変わる。色と形は、こういう調整に効く。何をどう動かすと、どこが変わるのか。
暗い色は重く、明るい色は軽く見える
黒、紺、こげ茶。暗い色の服は、落ち着いて見える。同時に、重みも出る。
白、生成り、淡いグレー。明るい色の服は、軽く見える。動きも出る。
ここでいう明るい・暗いは、鮮やかさのことではない。白に近いか、黒に近いか。赤や黄のように鮮やかな色は、この軸とは別の話になる。
同じ形のシャツでも、黒を選ぶか白を選ぶかで見え方が変わる。落ち着いた側に寄せたいなら暗いほう、軽く見せたいなら明るいほうを選ぶ。
上下の組み合わせでも動く。黒いパンツに黒い靴だと足元が重く、白いスニーカーへ替えるだけで下半分が軽くなる。上を白いシャツにすれば、今度は上半身のほうが軽い。手持ちの服で入れ替えてみると、すぐ分かる。
同じ暗い色でも、紺は黒ほど重くならない。青みがあるぶん、少しだけ軽い側にいる。
色を近づけるか、離すか
黒と濃紺、ベージュと生成りのような似た色で上下をまとめると、体の線が一本につながって、縦に長く見える。全体が静かになる。反対に、黒と白のように明暗の差を大きくすると、上下の分かれ目が目につきやすい。
どこかに違う色を入れると、そこが目につく。靴だけ、鞄だけ、シャツだけ。目立たせる場所を、自分で選べるということだ。

黒のニットに黒のパンツ、黒の靴。ここに赤い靴下を一足入れるだけで、足元が目につくようになる。まとめると落ち着き、離すと動きが出る。
離す色は一箇所とはかぎらない。靴と鞄を同じ色でそろえて二箇所にすると、離れた場所どうしがつながって見える。
輪郭は、上下の組み合わせで決まる
シルエットは、全身の輪郭を見る話だ。一着ずつではなく、上と下を合わせたときの形で考える。
手持ちのパンツを、裾のあたりで見比べてみるといい。足首に沿うものと、靴に被るくらい広いもの。同じ大きめのシャツでも、どちらを合わせるかで別の輪郭になる。
- 上がゆったりで下が細いと、上半身が大きく見える
- 上が細くて下がゆったりだと、足元が大きく見える
- 上下ともゆったりだと、全体が大きく、力の抜けた見え方になる
- 上下とも体に沿うと、すっきりして、きちんと見える
どこがゆったりなのかでも変わる。肩が落ちて袖も長いシャツは、力の抜けた感じが強く出る。肩の位置はそのままで身幅だけ広いシャツなら、崩しすぎずにゆとりだけが出る。
正解を覚えるのではなく、好きな雰囲気に合わせる
色にも形にも、決まった正解はない。
同じ黒でも、ジャケットとスラックスで揃えればきちんと見えるし、パーカーとゆったりしたパンツならラフに見える。落ち着いた色でまとめた格好も、それはそれで一つの好みの表れだ。
先に決まるのは、どんな雰囲気でいたいかのほうだ。落ち着いて見せたいのか、軽く見せたいのか、崩して見せたいのか。気になったブランドや、履きたいと思った靴があれば、それが手がかりになる。
黒でまとめた格好を、軽く見せたい日は白いシャツを一枚挟む。もっと重くしたい日は靴まで黒で通す。変えるのは一箇所でいい。
次回
第7回は最終回。ここまで見てきたものを、実際の一日の中へ持っていく。好きな格好は変えないまま、その日の予定に合わせて何を替えるか。