この連載の目次(全7回・完結)
- 01ファッションとは、自分をどう見せるかである
- 02UNIQLOからSupremeまで——ブランドは、どんな人の服なのか
- 03ConverseからDr. Martensまで——靴で、どんな人に見えるのか
- 04BEAMSはブランド? セレクトショップ?いまここ
- 05アイビー、軍物、ワーク、ストリート——服に残る文化
- 06色とシルエットは、人物像をどう変える?
- 07その服で、どこへ行き、誰と会うのか
BEAMSは店の名前だ。ところが、タグに「BEAMS」と書かれた服がある。よそのブランドを選んで並べるのが仕事の店が、どうして自分の名前で服を出しているのか。
セレクトショップとは、店が選んだ服を集めた売り場
セレクトショップとは、店の方針にしたがって、買い付けの担当者がよそのブランドから選んできた商品を、一つの売り場に集める店である。
普通のブランドの店は、そのブランドが作ったものを売る。セレクトショップは違って、何を選ぶかそのものが店の中身になる。だから「BEAMSが選んだ服」という言い方が成り立つ。
「セレクトショップ」という言葉は日本で作られたもので、英語圏で同じ業態を指すときは、複数のブランドを扱う店、という言い方になる。
いまは、店が自分で作った服も多い
いまの日本のセレクトショップは、仕入れた商品に加えて、自分で企画して作った服も並べている。同じ棚に、よそのブランドの服と、店の名前が付いた服が一緒に置かれている。
だから「BEAMSはブランドなのか、店なのか」への答えは、両方である。ただし順番があって、店が先にあり、そこで扱う服のブランドは後からできた。

別注——よそのブランドと一緒に作るもの
三つ目の言葉が「別注」だ。よそのブランドに、その店の分だけ特別に作ってもらったものを指す。
一つ例を挙げる。英国のバラクータというブランドに「G9」という定番のブルゾンがあり、裏地は赤いタータンチェックと決まっている。BEAMS PLUSの別注では、この裏地をブラックウォッチという紺と緑と黒のチェックへ変え、身頃をゆとりのあるクラシックフィットにした。
別注とは、よそのブランドの定番に、その店の好みで手を入れたものをいう。もとの形は残したまま、色や仕様の一部が変わる。
BEAMS、UNITED ARROWS、SHIPS——集めているものが違う
三つとも同じ仕組みで動いている。違うのは、何を集めているかだ。
BEAMSは1976年に、アメリカの洋服と雑貨を売る店として始まった。いまも軸はアメリカのカジュアルで、そこへ軍物や作業着、古着から出た形が混ざる。服も含めて趣味そのものを楽しみたい人に向く店で、扱いも服だけにとどまらない。レコード、マンガ、工芸、日本の文化を扱う売り場まで持っている。

UNITED ARROWSは1989年に始まった。並んでいるのは、仕立てのきれいなジャケットやコート、上品な色のニットが中心だ。上品で、仕事にも使えて、外しにくい服を選びたい人に向く。肩の線やコートの落ち方といった、仕立ての具合で選ばせる店である。
SHIPSは1952年に上野の商店から始まり、1977年に銀座で「SHIPS」の名の店を開いた。掲げているのは「STYLISH STANDARD」で、紺のブレザー、白いシャツ、ステンカラーのコートといった、形そのものが決まっている定番が軸にある。流行を追いすぎず、長く着られる落ち着いた定番を選びたい人に向く店で、伝統的な形を長く扱っている。
次回
第5回では、服そのものの出どころへ移る。アイビー、軍物、ワーク、アウトドア、スポーツ、ストリート——そして、それらがまとめて並ぶ古着屋。服が生まれた場所が、いまの見え方に何を残しているかを扱う。