この連載の目次(全7回・完結)
- 01プリウス、ジムニー、ロードスター、ランドクルーザー、Gクラス——5台は何が違う?
- 02トヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、三菱——日本メーカーは何が違う?
- 03メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、フェラーリ——海外メーカーは何が違う?いまここ
- 04同じSUVでも、ランドクルーザー、CX-5、フォレスター、Gクラス、RXは別の車
- 05クラウン、プリウス、GT-R、ロードスター、ジムニー、レクサスLS——名前自体にイメージがある日本車
- 06N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター——形が違えば、力を入れる場所も変わる
- 07プリウス、リーフ、テスラ——ハイブリッドとEVでクルマはどう変わった?
輸入車として名前を聞く五社を、一社ずつ見ていく。何に力を入れている会社で、代表的な車はどんな車で、外観はどんな雰囲気か。一社ごとにさらに詳しい話はメーカー図鑑にある。
メルセデス・ベンツ——安全と快適の高級車
メルセデス・ベンツは、安全と快適に力を入れた高級車の会社である。1886年に自動車を発明したダイムラーとベンツ、二人の会社が1926年に合流してできた。1959年のセダンで、ぶつかったとき前後が潰れて衝撃を吸い、客室を守る構造を量産車に持ち込んだ。安全と快適の装備の発展では、旗艦のSクラスが大きな役割を持ってきた。
車の顔ぶれは、旗艦のSクラス、その下のEクラス、入口のCクラスを主なセダンの三段として、SUVのGLCとGLE、それに軍用の契約から生まれ1979年から四角い形を続ける四輪駆動車のGクラスが加わる。どの車も乗り心地のよさと静かさを売りにし、速く走るためにエンジンと足回りを作り直した型にはAMGの名が付く。
車体は、折り目で立体を出すのではなく、面のふくらみで見せる。前面のグリルは100年以上この会社の顔で、中央には三つの角を持つ星がある。当初は縦長、近年は横に広い格子で、2025年の電気で走るGLCではその場所が光る印になった。Gクラスだけは、角ばった箱と外に出たドアの蝶番、背中に背負ったスペアタイヤをそのまま残している。

BMW——運転する人を主役にするセダン
BMWの3シリーズは、1975年から続くセダンで、運転席に座ると計器と中央の操作部が運転する人のほうを向いている。運転する楽しさを車の中心に置く会社で、掲げる言葉は「駆けぬける歓び」である。航空機のエンジンを作る会社として始まり、バイクを経て1928年に車へ来た。1961年に出した手頃な大きさのスポーティーなセダンが経営の危機にあった会社を立て直し、その系譜が3シリーズになった。
車の揃え方は分かりやすく、数字が大きいほど車も大きい。1シリーズ、3シリーズ、5シリーズ、旗艦の7シリーズと並び、SUVにはXの字が付いてX1からX7まで同じ順に大きくなり、車高を上げても運転の楽しさを残すことを売りにする。電気で走る車にはiの字が付き、2025年のiX3から新しい世代が始まった。速い型にはMの字が付き、3シリーズのエンジンと足回りを速く走るために作り直したM3がその代表である。
外観の印は、前面の二つに割れたグリルと、四つ目のヘッドライトである。グリルは1933年の車でエンジンに空気を送る穴として始まり、いまは車種ごとに大きさと形を変える。M3では縦に長く、2025年からのiX3では小さくして輪郭を光らせられるようにした。横から見ると、一番後ろの横窓の下の角が前へ向かって小さく切れ込んでいて、この線も長く続けている形である。

ポルシェ——911を続ける、スポーツカーの会社
ポルシェの911は、1963年からエンジンを車の後ろに積む配置を守ってきたスポーツカーである。速さと、毎日使えることの両方を売りにしていて、前に荷室があり、後ろに小さな席が二つある。設計事務所として始まった会社の最初の車は1948年の356で、小さく軽い後輪駆動の車だった。911はその考えを受け継ぎ、八つの世代を数えるいまも配置を変えていない。
911より一回り小さな718は、エンジンを車の真ん中、運転席のすぐ後ろに積んだスポーツカーで、曲がる楽しさを売りにした。2025年10月に生産を終えている。いまは911のほかに、電気で走るセダンのタイカン、SUVのマカンとカイエン、四つの扉のパナメーラがあり、スポーツカーの会社がSUVや四つの扉の車を持つのも、毎日使えることの延長にある。
外観は、911の顔がそのまま会社の顔になっている。前が低く、両側のフェンダーが高く、丸いヘッドライトが立っている。前にエンジンがないのでボンネットを低くでき、屋根は後ろへなだらかに下がる。この顔つきと屋根の線を、タイカンやマカンにも写している。

ボルボ——安全を原則にした、北欧の会社
ボルボは、安全を設計の原則に置くスウェーデンの会社である。1927年に始まり、1959年に三点式のシートベルトを実用化して、特許を無償で世界に開放した。2020年からは自社の全新車の最高速度を時速180キロに制限し、新しいボルボの車で誰も死なず重傷を負わないことを目標に掲げている。
車はSUVが中心で、2017年から2代目の主力XC60、三列の席を持つ大型のXC90、この会社で一番小さい電気自動車のEX30がある。電気で走る旗艦は三列SUVのEX90と、2025年に出たセダンのES90で、どちらも乗り心地と静かさを高級車の水準で作る。
姿は、なだらかな面で作られ、落ち着いて見える。かつての240のような角ばった箱の車体から、いまの車は面がなだらかになり、「北欧のデザイン」を掲げる。ヘッドライトは「トールハンマー」と呼ばれるT字の形で、昼も夜も同じ形に見えるように作られ、走っているボルボを見分ける手がかりになる。

フェラーリ——レースから生まれた、速い車
フェラーリは、レースのチームから生まれたイタリアの会社である。エンツォ・フェラーリが1929年に作ったチームが出発点で、自分の名を付けた最初の車は1947年の125S、これもレースの車だった。いまもF1に1950年の最初のシーズンから出続けていて、レースで得たものを市販の車に移すことを車づくりの根に置く。力を入れるのは速さと運転の体験で、エンジンの音と反応、曲がるときの軽さ、加速の伸びが車の中心にある。
代表車は、運転席のすぐ後ろに6気筒のエンジンとモーターを積んだ二人乗りの296。前に12気筒を積む長距離向けの12チリンドリ。前に8気筒を積み、長い距離を快適に走ることも重んじた二枚扉のアマルフィ。そして四つの扉と四つの席を持つプロサングエで、快適さにも力を入れた車が増えている。
外観は低く、幅が広く、地面に近い。296は運転席が前輪の近くまで寄って後ろが長く、12チリンドリやアマルフィは長いボンネットに運転席が後ろへ下がった伸びやかな形をしている。象徴の色は赤で、イタリアのレースの車の色から来ている。

フォルクスワーゲン、アウディ、ミニ、ランドローバー
フォルクスワーゲンはドイツの大衆車の会社で、ビートルとゴルフを作った。ゴルフは1974年から8代続く、後ろの扉が持ち上がる小さな車である。アウディは同じグループの高級ブランドで、印は四つの輪。雪道に強い四輪駆動を早くから売りにした。
ミニは英国生まれの小さな車で、いまはBMWの傘下にある。丸いライトと短い車体を、大きくなったいまも守っている。ランドローバーは英国の四輪駆動の会社で、1970年のレンジローバーは、悪路の車に乗用車の快適さを持ち込んだ早い例で、内装が高級車になったのはその後のことだ。
次回
第4回では、ランドクルーザー、Gクラス、CX-5、フォレスター、RXほか、同じSUVという形の車がどこで分かれるかを見る。