大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

CAR連載「クルマの教養」第7回

プリウス、リーフ、テスラ——ハイブリッドとEVでクルマはどう変わった?——加速の感触、静かさ、給油と充電、車内と外観

給油だけで走るプリウス、自宅と外で充電するリーフ、グリルのない顔と一枚の画面のテスラ モデル3・モデルY。動力の違いが、加速の感触、静かさ、車内と外観、給油と充電にどう関わるかを、サクラとアクアも加えて見る。

公開 2026.09.04最終確認 2026.09.07
この連載の目次(全7・完結
  1. 01プリウス、ジムニー、ロードスター、ランドクルーザー、Gクラス——5台は何が違う?
  2. 02トヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、三菱——日本メーカーは何が違う?
  3. 03メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、フェラーリ——海外メーカーは何が違う?
  4. 04同じSUVでも、ランドクルーザー、CX-5、フォレスター、Gクラス、RXは別の車
  5. 05クラウン、プリウス、GT-R、ロードスター、ジムニー、レクサスLS——名前自体にイメージがある日本車
  6. 06N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター——形が違えば、力を入れる場所も変わる
  7. 07プリウス、リーフ、テスラ——ハイブリッドとEVでクルマはどう変わった?いまここ

エンジンで走る車、エンジンとモーターの両方を持つ車、モーターだけの車。違いは仕組みの話に見えて、実際に変わるのは、走り出しの音と加速の感触、車の形と車内、そして給油か充電かである。プリウス、リーフ、テスラのモデル3とモデルY、それにサクラとアクアで見る。

SOUND

走り出しは三台とも静か。違うのは、その後

プリウスは、走り出しにエンジンがかからないことが多い。モーターだけで転がり出し、速度が上がるか強く踏むかするとエンジンが加わって音が出る。2023年の5代目は、その音を消す方向ではなく、踏み込んだときに低い音が立ち上がって加速に合うように作ったとトヨタは説明している。

リーフとテスラのモデルYは、起動してもエンジンの音がなく、踏んだ瞬間から遅れなく進む。プリウス、リーフ、モデルYの三台とも、走り出しは静かである。リーフはブレーキを踏まなくてもアクセルを戻すだけで強く減速する設定を持ち、モデルYはハンドルの重さや減速の強さを画面で変えられる。ただし音がまったくないわけではなく、低い唸りとタイヤの音、速度が上がればミラーのあたりの風の音が残る。静かさの中身は、車ごとの作り込みで違う。

PRIUS

プリウス——給油だけで走る

プリウスは、エンジンとモーターの両方でタイヤを回すハイブリッド車で、給油だけで走り、外から充電しなくてよい。家に充電の設備がなくても困らないことが、この車の使い方の芯で、1997年の初代から変わっていない。

初代トヨタ・プリウスを斜め前から。銀色の小さな4ドアセダン
初代プリウス(1997年〜)。4ドアのセダンだった。ナンバーは原典で消されているPhoto: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ

外観では、電動の部分はほとんど見えない。給油口はあり、標準の型に充電口はなく、グリルもある。三角形の輪郭は空気の抵抗を減らして燃費を稼ぐための形として生まれ、5代目では形そのものとして残された。前の窓は大きく傾いている。運転席では、見るものを遠く、操作するものを近くに置く考えで、小さなハンドルの上から奥の計器を見る作りにしてある。

外から充電できる型もある。基本の車体の形は共通で、外から充電できる型には充電口が加わる。街なかの短い距離は電気だけで走り、遠出はハイブリッドとして走る。

展示された現行型トヨタ・プリウスを斜め前から。低いルーフラインの濃いグレーのハッチバック
プリウス(5代目・2023年〜)。写真は上級のZ。国内で撮影Photo: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ
LEAF

リーフ——取っ手が、車体に引っ込む

リーフは、日産が2010年に出した量産の電気自動車で、初代と2代目は後ろの扉が持ち上がる小型車だった。2025年に発表された3代目は、背の高さを変えずに車体を短くし、屋根が後ろへ低く流れるクロスオーバーの形になった。この形にした理由を日産のデザイナーは、いま多くの人が選ぶ車の形であることと、小型車のよさを広げられることだと説明している。日本での納車は2026年に始まった。

3代目日産リーフ(2026年)を斜め前から。水色の車体に黒い屋根。ショールームの展示車
リーフ(3代目・2025年発表、国内の納車は2026年〜)。展示の個体Photo: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ・背景の人物部ぼかし

一回の充電で走れる距離を伸ばすため、空気の抵抗を減らす形にも力を入れている。表面はつるりとしていて、前のドアの取っ手は走行中に車体へ引っ込み、床下は平らで、屋根の後端の小さな羽根をなくした。前面の線の高さを少し変えるだけで一回の充電で走れる距離が変わるほど、形を詰めたと日産は説明する。車内は床が平らで、足を前へ伸ばした姿勢で座る。ボタンで透け具合を変えるガラスの屋根を選ぶと、日よけの板がない分、後ろの席の頭上が広い。前面にはV字の意匠が残り、電気自動車でも日産の顔を保っている。

充電は家と外の二本立てで、自宅に充電の設備があれば、夜に差し込んでおいて朝に満タンで出かける使い方ができる。外では全国に広がった共通の急速充電器が使える。

TESLA

テスラのモデル3とモデルY——グリルと、車内のスイッチを削った

テスラは、アメリカの電気自動車専業の会社で、日本で売られているのはセダンのモデル3と、SUVのモデルY、2026年に発売された三列のモデルY Lである。モデル3とモデルYは、前から見るとグリルがない。エンジンを冷やす大きな穴が要らないためで、モデル3は2023年の改良で霧灯や横の通風口も削り、下側の小さな開口だけで空気を通す。ドアの取っ手は車体と面一に埋め込まれている。

テスラ モデルY(2025年改良型)を斜め前から。赤い車体。店舗の展示車
モデルY(2025年改良型)。バンコクの店舗で撮影Photo: Chanokchon / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

車内はさらに削られている。運転席の前にメーターはなく、物理のスイッチもほとんどなく、変速のレバーもない。目に入るのはハンドルと中央の一枚の画面で、前進と後退の切り替えも、エアコンの風向きも画面で行う。屋根は大きなガラスである。その画面の中身は、売った後も通信で書き換わる。テスラの日本法人は、年ごとの改良ではなく、その時点の最適解をそのつど車に入れると説明している。

充電は、テスラが自前で置いてきた急速充電器が中心である。充電口の規格が日本の共通の急速充電器と違うため、共通の充電器は変換の器具を介せば使えるが、出力は抑えられる。

SAKURA / AQUA

サクラとアクア——電動化は、小さな車にも来ている

日産のサクラは、2022年に出た軽自動車の電気自動車である。一回の充電で走れる距離は長くなく、自宅で充電して日常の短い距離の移動に使う用途に向く。軽の枠に収まる四角い箱の見た目は、いままでの軽と変わらない。電気自動車を、遠出の車ではなく普段の足として売った車である。

トヨタのアクアは、プリウスより小さく安いハイブリッド車で、後ろの扉が持ち上がる丸みのある小型車である。走り出しはモーターで静かに転がり出し、外から充電せず給油だけで走る点はプリウスと同じで、短い車体で街の移動に使いやすい。

SERIES COMPLETE — 連載完結連載「クルマの教養」全7回・完結。どの回からでも読み返せます。個別のメーカーはメーカー図鑑で引けます。