大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

CAR連載「クルマの教養」第2回

トヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、三菱——日本メーカーは何が違う?——8社それぞれの得意分野、代表車、外観の雰囲気

壊れにくい実用車のトヨタ、静けさと乗り心地のレクサス、室内の広いホンダ、モーターで走る日産、思いどおりに動くマツダ、雪道のスバル、小さく軽いスズキ、悪路の三菱。8社を一社ずつ。

公開 2026.09.04最終確認 2026.09.04
この連載の目次(全7・完結
  1. 01プリウス、ジムニー、ロードスター、ランドクルーザー、Gクラス——5台は何が違う?
  2. 02トヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、三菱——日本メーカーは何が違う?いまここ
  3. 03メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、フェラーリ——海外メーカーは何が違う?
  4. 04同じSUVでも、ランドクルーザー、CX-5、フォレスター、Gクラス、RXは別の車
  5. 05クラウン、プリウス、GT-R、ロードスター、ジムニー、レクサスLS——名前自体にイメージがある日本車
  6. 06N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター——形が違えば、力を入れる場所も変わる
  7. 07プリウス、リーフ、テスラ——ハイブリッドとEVでクルマはどう変わった?

日本の8社を、一社ずつ見ていく。何を得意とする会社で、代表的な車はどんな車で、外観はどんな雰囲気か。一社ごとにさらに詳しい話はメーカー図鑑にある。

TOYOTA

トヨタ——壊れにくい実用車と、ハイブリッド

トヨタは、壊れにくい実用車の会社である。織機を作る会社の中の自動車部として始まり、1966年のカローラが安くて丈夫な大衆車として世界で売れた。1997年のプリウスでは、エンジンとモーターの両方でタイヤを回すハイブリッド車を最初に量産した。小型車から大型ミニバン、本格四輪駆動車まで幅広く揃える。

そのプリウスはいま、燃費のよさに加えて、低く構えた形も売りにしている。同じ店には、悪路を壊れずに走って帰ってくるための、水平で角ばった大きな箱のランドクルーザーが並ぶ。後席の快適さに力を入れた大型ミニバンのアルファードも、1955年から続く高級車の名前をセダン、車高を上げたクロスオーバー、スポーツ、エステートの四つの形に広げたクラウンも、この会社の車である。

顔は揃えない。先進性を見せたい車には薄く横に広いランプの低い顔を、悪路の車には水平で角ばった顔を使う。全車の顔を揃えるより、その一台が持ち主にとって唯一の車になれるかを重視する、とデザインの責任者は話している。

LEXUS

レクサス——静けさと乗り心地の高級車

レクサスの原点は、1989年に北米で出た大型セダンのLS400である。トヨタの車に乗る人が上の車へ移ろうとするとき受け皿がなく、メルセデスやBMWへ乗り換えられていたので、トヨタは別の名前と別の販売網で高級車の商売を始めた。最初のLSの武器は、振動と音を元から減らした静けさだった。

その静けさと乗り心地をいまも原点と呼び、そこに運転する楽しさを重ねている。旗艦のLSは現行型で運転席と全高を下げ、静かなまま運転して楽しい方向へ広がった。内装には切子調のガラスや西陣織の意匠が使われている。大型SUVのRX、一回り小さいSUVのNX、後席のための大型の箱のLMが並ぶ。美しさと走りを重視した低く伸びやかなクーペのLCは、日本では販売を終えている。

車体は低く構え、張り出したフェンダーと鋭い折り目の面を持つ。2012年からは、上下が広く中央がくびれた糸巻きの形のグリルで全車の顔を揃えた。電気で走るRZでは、その枠を外して車体と一つの塊にしている。

レクサスLS(5代目・2020年改良後)を斜め前から。白い大型セダン
LS(5代目・2017年〜)。糸巻きの形のグリルが分かる。国内で撮影Photo: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ
HONDA

ホンダ——小さな車体に広い室内、そして操る喜び

軽自動車のN-BOXは、軽の枠いっぱいに背の高い箱を作った車で、短いボンネットの後ろに人の場所を大きく取る。シビックは低く構え、窓を低く水平に伸ばして光を取り込み、「操る喜び」を掲げる世界向けの車である。この二台に、ホンダの得意がそろって出ている。小さな車体で広い室内を作ることと、運転する楽しさだ。

出発点はエンジンとバイクで、1963年に四輪へ入った。室内の作り方は1967年の軽自動車から変わらず、人の場所を先に決めて、機械はあとから小さく収める。小型車のフィットでは燃料タンクを前席の下へ移して床を低くし、その考えがN-BOXに受け継がれた。2025年には、低く薄い二枚扉のプレリュードが戻った。

四角い箱と、低く滑らかな車。同じ会社の車には見えないが、どちらも人の場所を先に決めた結果である。

現行型ホンダ・シビック(FL1型)を斜め前から。赤い5ドアハッチバック
シビック(11代目・2021年〜)。国内仕様の5ドアPhoto: 先従隗始 / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ
NISSAN

日産——モーターで走る車と、日本らしい意匠

日産のノートは、給油して走る小型車だが、タイヤを回すのはモーターだけである。エンジンは発電だけを受け持つe-POWERという仕組みで、モーターならではの滑らかな加速を特徴とする。もう一つの柱が電気自動車のリーフで、2010年に量産が始まり、2025年に発表された3代目は車高を上げたSUV風の形になった。

1930年代にダットサンの名で小さな国産車を量産することから始まった会社で、いまの主力はノートとリーフのほか、三列の席を持つ家族向けミニバンのセレナ、2026年に世代が替わった高級ミニバンのエルグランドである。

顔はV字の形のグリルと鋭い面が基本で、電気自動車のアリアは登場時、前面の穴を板にして、組子の格子を思わせる日本の意匠を入れた。ノートのボンネットが平らで飾りがなく、グリルとランプの間に継ぎ目がないのは、大きなエンジンを載せているという雰囲気を出したくなかったからだと、デザインを担当した入江慎一郎氏は語っている。

日産ノート オーラを斜め前から。黒いルーフを持つ白いコンパクトカー
ノート オーラ(2021年〜)。ノートの上級版で、平らなボンネットはノートと同じPhoto: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ
MAZDA

マツダ——思いどおりに動く運転感覚

マツダのロードスターは、小さく軽い二人乗りのオープンカーで、1989年の初代から「人馬一体」という言葉を掲げてきた。車が身体の一部のように思いどおりに動くことを指し、マツダはこれをサーキットの速さではなく、日常の運転に置く。

広島で1931年の三輪トラックから始まり、1967年にはロータリーエンジンを積んだコスモスポーツを発売した。いまの主力SUVは2026年に3代目になったCX-5で、その上に、大型の高級車に多い後ろのタイヤを回す配置を持つCX-60とCX-80が並ぶ。小型車のMAZDA3もある。

線を減らして面に映る光で形を見せる造形を、マツダは生き物の一瞬の動きにたとえる。近年の車には折り目の線がほとんどなく、SUVでも低く滑らかに見える。CX-60やCX-80は、ボンネットの長い堂々とした姿をしている。

ショールームに展示されたマツダCX-60を斜め前から。白い大型SUV
CX-60(2022年〜)。ショールームで撮影Photo: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ・背景スクリーン部ぼかし
SUBARU

スバル——雪道の四輪駆動と、よく見える運転席

スバルのフォレスターは、雪道や未舗装路での安定を売りにするSUVで、2025年に6代目になった。運転席から周りがよく見えることを安全の一番手前に置く会社なので、ボンネットの端と柱の付け根を下げ、ミラーを小さくして死角を減らしている。

前身は航空機の会社で、乗用車は1958年の軽自動車から始まった。1966年からピストンを左右に寝かせた背の低い平たいエンジンを低い位置に積んで重心を下げ、1972年に四輪駆動を組み合わせて、雪国で頼られる車になった。同じ平たいエンジンと四輪駆動で、地面からの高さを取った小さなSUVのクロストレックと、走りのワゴンのレヴォーグを作っている。低いクーペのBRZは、平たいエンジンを床近くに積んだ後輪駆動の車である。

姿は角を落とした厚みのある箱で、フェンダーが張り出し、四輪で踏ん張っているように見える。前面は長く六角形のグリルとコの字のランプで揃えてきたが、新型フォレスターではグリルとランプをつなげて、その型を崩し始めた。

SUZUKI

スズキ——小さく、軽く、安く

スズキのジムニーは、1970年から続く軽の四輪駆動車で、四角い箱に丸いライトを付けた道具のような車である。窓ガラスが立っているのは雪が溜まりにくいようにと理由が付き、角ばった車体は運転席から車の四隅を把握しやすい。アルトは飾りのない小さな箱で、安さと燃費の基本形。スペーシアは1993年のワゴンRから続く背の高い軽で、小さな寸法の中で室内を取る。

浜松の織機の会社が1955年に軽自動車で四輪に入り、以来、小さく軽く安く作ることを得意にしてきた。会社の考え方は「小・少・軽・短・美」の五文字で書かれる。世界向けの小型車スイフトは、角を丸めて張り出したフェンダーで走りを見せる。

外観に会社共通の顔はなく、車ごとの用途がそのまま形になる。

MITSUBISHI

三菱——悪路の四輪駆動を、電動で

三菱のアウトランダーPHEVは、外から充電できるハイブリッドの四輪駆動車で、日常は電気だけで走り、遠出はエンジンで発電しながら走る。2013年に出たこの車がいまの旗艦で、悪路での走行に力を入れた四輪駆動に、電動化を重ねている。

1953年にアメリカのジープを国内で組み立て始め、1982年に出したパジェロは砂漠のラリーで1985年に総合優勝した。パジェロの名前は日本では2019年に一度途切れ、2026年に新しい型が予告されている。地面からの高さを取って未舗装路へ入る四駆のミニバンのデリカD:5、荷台を持つピックアップのトライトンも、同じ四駆の系譜にある。

顔は、左右から中央へ包み込む厚いバンパーで揃えていて、三菱はこれを、力強さと守られている安心感を同時に表す造形だと説明する。ランプは上下二段に分かれ、上が歩行者に見せる昼間の灯、下が対向車を眩しくしないヘッドライトである。車体は水平基調の塊で、どの車も頑丈そうに見える。

三菱アウトランダーPHEVを後方側面から。白い大型SUV
アウトランダーPHEV(現行型・2021年〜)。後ろから見た姿Photo: Tokumeigakarinoaoshima / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ

次回

第3回では、メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、フェラーリの5社を、同じ見方で見る。