大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

CAR連載「クルマの教養」第6回

N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター——形が違えば、力を入れる場所も変わる——室内、乗り降り、荷物、乗り心地、運転の楽しさを、実車で

床を下げて室内を取ったN-BOX、後ろの席に力を入れたアルファード、使い方で型を分けたクラウン、高い席と平らになる荷室のジムニー、二つの席と幌に軽さを使ったロードスター。五台と仲間の車を、室内、乗り降り、荷物、乗り心地、運転の楽しさで見る。

公開 2026.09.04最終確認 2026.09.07
この連載の目次(全7・完結
  1. 01プリウス、ジムニー、ロードスター、ランドクルーザー、Gクラス——5台は何が違う?
  2. 02トヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、三菱——日本メーカーは何が違う?
  3. 03メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、フェラーリ——海外メーカーは何が違う?
  4. 04同じSUVでも、ランドクルーザー、CX-5、フォレスター、Gクラス、RXは別の車
  5. 05クラウン、プリウス、GT-R、ロードスター、ジムニー、レクサスLS——名前自体にイメージがある日本車
  6. 06N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター——形が違えば、力を入れる場所も変わるいまここ
  7. 07プリウス、リーフ、テスラ——ハイブリッドとEVでクルマはどう変わった?

N-BOX、アルファード、クラウン、ジムニー、ロードスター。同じ乗用車でも、どこを広く取り、何を扱いやすくし、何を優先しているかは一台ずつ違う。五台とその仲間の車を、室内、乗り降り、荷物、乗り心地、運転の楽しさで見る。

HONDA N-BOX

N-BOX——床を下げ、天井を上げて、室内を取った軽

軽自動車は、長さと幅の上限が国で決められている。ホンダのN-BOXは、その枠の中で室内を広く取ることに力を入れた車で、ふつうは後ろの席の下にある燃料タンクを前の席の下へ移し、後ろ半分の床を低くした。低い床と高い天井の分だけ室内が縦に広く、前後の席の間隔は一回り大きな乗用車の水準になる。

ホンダN-BOX(3代目)の白い車体。背の高い箱型の軽自動車
N-BOX(3代目・2023年〜)。写真は前面の飾りを変えたカスタムの型Photo: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ

使い勝手はこの床と天井から来ている。後ろの席の横の扉は引き戸で、床が低いので子どもや荷物の出し入れがしやすく、自転車も高く持ち上げずに積める。後ろの席は前後に大きく動き、倒したり跳ね上げたりして荷物の形に合わせられる。運転席からは、水平に長く続く窓と平らなダッシュボードで周りが見えやすく、ホンダは窓を水平に続けたことを乗り物酔いを減らす工夫としても説明している。2023年の3代目はこの広さを保ったまま視界をすっきりさせ、2026年の改良では、飾りの多い上級の型「カスタム」の顔を変えた。外観は四角い箱で、丸いヘッドライトを家電の部品のように収めた顔を持つ。同じ背の高い箱の軽に、スズキのスペーシアとダイハツのタントがある。

ALPHARD

アルファード——後ろの席に力を入れた、大型のミニバン

トヨタのアルファードは、後ろの席で過ごす時間に力を入れた大型のミニバンである。2列目は左右が独立した椅子で、長く前後に動かして足を伸ばせ、足を載せる台が付く。椅子は振動を抑え、ゆったり座れる作りにしてある。乗り降りは横に滑る大きな扉からで、扉が開くと低い段が出て一歩目を低くする装備を選べ、柱と天井に長い握りがある。天井の照明やスイッチ、空調の吹き出し口は、後席から操作しやすいように中央にまとめている。

トヨタ・アルファード(40系)を斜め前から。黒い大型ミニバン
アルファード(4代目・2023年〜)。写真はハイブリッドの型。姉妹車のヴェルファイアとは前面の顔が違うPhoto: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ

乗り心地は、2023年の4代目で車体の骨組みを固めて振動と音を減らし、高級セダンに匹敵する快適さを目標にしたとトヨタは説明する。2025年に加わった外から充電できる型は、待っている間もエンジンをかけずに空調を保てる。運転する人の席も、大きな窓と高い目線で見通しがよい。

外観の大きなグリルと厚い顔は、トヨタが力強さと存在感の表現と説明している。姉妹車のヴェルファイアは同じ箱に別の顔を付けた車で、同じトヨタのノアとシエンタは、引き戸のミニバンをより小さな車体で作り、家族の普段使いに寄せている。

CROWN

クラウン——四つの形で、使い方を分けた

クラウンの名前は、2022年から四つの形に載っている。最初に出たクロスオーバーは、セダンの車体を大きなタイヤで持ち上げた型で、座る位置が高いので乗り降りしやすく、前がよく見える。トヨタは車高を上げたこと、乗り降りのよさ、平らな乗り味の三つを満たすために土台から作ったと説明している。後ろに独立した荷室を持つ点はセダンのままである。

スポーツは、後ろのフェンダーを大きく張り出させた形で、四つの中では扱いやすい大きさにして、運転する楽しさを前に出す。セダンは一番長い車体で後ろの席を広く取り、運転手付きで使う人にも応える型で、水素で走る型もある。エステートはワゴンとSUVを合わせた型で、荷室が大きく、後ろの席を倒せば平らな床になり、後ろを開けて休憩の場所にも使える。同じ名前でも、車高、荷室、後ろの席の使い方が型ごとに違う。

JIMNY

ジムニー——高い席と、狭い道での取り回し

スズキのジムニーは、頑丈なはしご型の骨組みの上に車体を載せ、悪路で車体を支える作りにした軽の四輪駆動車で、悪路を走ることに力を入れている。室内では、席が高く、前の柱を立てて死角を減らし、平らなボンネットで車の先端が見える。運転席の前を水平な線で作ってあるのは、傾いた道で車の姿勢をつかむためだとスズキは説明する。四人乗りで、後ろの席を倒せば平らに使え、汚れを拭き取りやすい樹脂の床を備えた型もある。

スズキ・ジムニー(JB64型)を斜め前から。銀色の角張った軽四駆
ジムニー(4代目・2018年〜)。写真は軽自動車の型Photo: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ

座席は幅の広い骨組みで、悪路でも体を支える作りにしてある。車体が短く小回りがきくので、狭い山道や雪道で切り返しやすい。四輪駆動は、ふつうは後ろのタイヤだけを回し、滑る道で前も回す切り替え式で、急な坂やぬかるみ向けに大きな力を出す低速のギアもある。

同じ小さなSUVでも、トヨタのライズやスズキのハスラーは、乗用車と同じ一体の車体で床が低く、街での乗り降りと荷物の積み下ろしがしやすい。ジムニーは、そこを悪路での強さと引き換えにした車である。

ROADSTER

ロードスター——二つの席と幌に、軽さを使った

マツダのロードスターは、二人乗りの小さなオープンカーで、軽さと思いどおりに動く操作感に力を入れている。席は二つだけで、荷室は小さく、座る位置は低い。運転席は運転に集中しやすい、体に近い作りにしてあるとマツダは説明する。幌は中央の留め具を外して後ろへ倒すだけで、座ったまま片手で開け閉めできる。

幌を全て格納してオープン状態にしたロードスター(ND型)を斜め前から。赤い車体
ロードスター(4代目・2015年〜)。幌を全て畳んだ状態。英国の販売店で撮影Photo: MoCars / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ・背景駐車車両のナンバープレート部ぼかし

走りは、エンジンと座席を低く後ろへ寄せて重心を下げ、前後の重さを釣り合わせた配置にしたとマツダは説明し、それが思いどおりに曲がる感覚を支えている。外観は低く幅の広い形で、前後の張り出しを切り詰め、タイヤの上が丸く盛り上がったフェンダーを持つ。屋根が電動で収まるRFという型は、幌の軽快さに対して屋根付きの上質さを持つ。

トヨタのGR86とスバルのBRZは、同じ小さなスポーツカーでも屋根が固定で、後ろに小さな席がある。ロードスターが軽さと開放感に振っているのに対して、こちらは荷物や人を少し多く載せる普段の使い方を残している。

次回

エンジンが減り、モーターが増えると、車はどう変わるのか。第7回では、プリウス、リーフ、テスラのモデル3とモデルYにサクラとアクアを加えて、音、車内、給油と充電の違いを見る。