この連載の目次(全8回・完結)
- 01時計の話で迷子にならないために、まず5つの名前だけ無料
- 02時計は、値段より「どう使いたいか」で選ぶ無料会員
- 03機械式とクォーツは、優劣ではなく仕組みが違う読み放題
- 04ダイバーズ、クロノグラフ、GMTは、用途から形が生まれたいまここ
- 05定番モデルは、形の由来が分かると見分けられる読み放題
- 06時計は、ケース径だけでなく腕に載せて決める読み放題
- 07高い時計の値段は、機構・仕上げ・素材・流通に分けて考える読み放題
- 08時計の話は、値段より「なぜそれを選んだか」読み放題
外周に大きな数字がある。小さな表示盤が三つある。中央に色の違う長い針がある。時計の情報量が増えると、初心者には全部が装飾に見える。だが、ダイバーズ、クロノグラフ、GMTの特徴は、もともと時間を測り、別の時刻を読み、暗所でも確認する仕事から生まれた。形を見るときは、名前を当てる前に、何を読むための道具だったかを考える。
用途が消えても、形は日常のデザインとして残る
潜水をしない人がダイバーズを着ける。レースで速度を測らない人がクロノグラフを使う。海外へ行かない日にもGMTを着ける。
これは用途に反しているわけではない。道具として生まれた形が、視認性、操作感、見た目の個性として日常へ残っている。
ただし、形の由来を知ることと、現在の使用を保証することは別だ。回転ベゼルがあるから潜水に使える、クロノグラフだから防水性が高い、GMTだから時差を自動取得する、とは限らない。仕様と取扱説明書を確認する。
ダイバーズ——経過時間を、暗い水中でも読む
ダイバーズ時計では、太い針やインデックス、夜光、回転ベゼルが目に入る。外周の目盛りは、経過時間を確認するための道具である。
ISO 6425:2018は、深い潜水に使うダイバーズ時計の要求と試験方法を定める。少なくとも100mの潜水に耐える設計、暗所で見える安全な潜水時間の計測システムなどを対象にしている。
重要なのは、外見が似ていれば規格を満たすという意味ではないことだ。ダイバーズ風の意匠と、規格やメーカー試験に基づく潜水時計は分ける。
回転ベゼルは、開始時に基準位置を分針へ合わせ、そこからの経過を読む。多くの潜水用ベゼルが一方向だけに回るのは、意図せず動いたときに経過時間を短く見積もる危険を避ける方向の設計である。
外周に目盛りがあったら
「数字が大きい」だけで終えず、何の時間を読むためかを見る。経過時間、速度、別の時刻では、同じ外周でも仕事が違う。
ここまでで、ダイバーズの太い目盛りや回転ベゼルが、経過時間を読む仕事から生まれたと分かりました。続きでは、クロノグラフ、GMT、ドレス、フィールド、デジタルの形を、用途と操作から見分けます。
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クロノグラフ——時計の中に、停止できる計時を持つ / GMT——24時間針で、別の時刻を読む / ドレスとフィールド——少なさと読みやすさは、別の方向から生まれる / デジタルと耐衝撃——表示と外装を、用途へ合わせる / 目立つ形から、役割の候補を一つ立てる / 用途の知識は、相手の使い方を訂正するために使わない / 防水の数字を、そのまま行動へ置き換えない
受付は準備中です。開始はニュースレターでお知らせします。