この連載の目次(全8回・完結)
- 01時計の話で迷子にならないために、まず5つの名前だけ無料
- 02時計は、値段より「どう使いたいか」で選ぶ無料会員
- 03機械式とクォーツは、優劣ではなく仕組みが違う読み放題
- 04ダイバーズ、クロノグラフ、GMTは、用途から形が生まれた読み放題
- 05定番モデルは、形の由来が分かると見分けられる読み放題
- 06時計は、ケース径だけでなく腕に載せて決める読み放題
- 07高い時計の値段は、機構・仕上げ・素材・流通に分けて考えるいまここ
- 08時計の話は、値段より「なぜそれを選んだか」読み放題
高い時計は何が違うのか。精度と答えると、安価なクォーツの方が正確な場合がある。手作業と答えると、どの工程かが見えない。ブランド料と片づけると、機構、外装、修理体制まで消える。値段を理解するときは、正しい価格を一つ決めるのではなく、何へ費用がかかっているかを分ける。
時刻の正確さだけでは、価格を説明できない
腕時計の基本は時刻を示すことだ。だが、価格は精度だけで一直線に並ばない。
一般的なクォーツ時計は、機械式より高い精度を日常的に得やすい。一方、機械式には、ゼンマイ、輪列、脱進機、調速機構を小さなケースへ収め、調整し、修理可能な構造として維持する仕事がある。
だからといって、機械式なら高価格が自動的に正当化されるわけではない。複雑さ、仕上げ、素材、生産数、流通、保証、修理体制を分けて見る。
値段を、四つの箱へ仮置きする
| 箱 | 見るもの | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 機構 | ムーブメント、複雑機構、調整 | 何を実現する仕組みか |
| 仕上げと素材 | ケース、文字盤、針、研磨、貴金属 | 腕の上で何が見えるか |
| 生産と流通 | 生産規模、検査、販売網、保証 | どこで買い、誰が支えるか |
| 所有後 | 点検、修理、防水確認、部品 | 長く使う条件は何か |
価格を完全に分解する会計表ではない。自分が何へ価値を感じるかを確認するための入口。
たとえば、鏡面と筋目を分けたケースは、素材名だけでは説明できない。面を作り、境目を残す工程がある。
反対に、自分がそこへ価値を感じなければ、選ばない理由にしてよい。高い理由があることと、自分に必要であることは別だ。
ここまでで、高い時計の値段を精度の一語では説明できず、機構、仕上げ、素材、生産と流通へ分ける必要があると分かりました。続きでは、購入後の点検、修理、防水、保証、中古品まで含め、所有に必要な確認事項を整理します。
読み放題プラン限定
機構——複雑さより、何を実現しているかを見る / 仕上げと素材——同じ金属でも、面の作り方で見え方が変わる / 生産と流通——作る場所と、支える場所を分ける / 所有後——防水、点検、修理は、買った瞬間で終わらない / 中古とヴィンテージ——安さより、個体の状態を見る / 値段の話になったら、所有者の選択へ戻す / 高い理由を説明しても、買うべき理由にはしない
受付は準備中です。開始はニュースレターでお知らせします。