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WATCH連載「時計の教養」第3回

機械式とクォーツは、優劣ではなく仕組みが違う——エネルギーをため、一定の間隔を作り、針へ伝えるまでを追う

手巻き、自動巻き、クォーツ、ソーラー、スプリングドライブを、エネルギー源、時間の基準、表示という三つの仕事に分けて理解する。

読了 13公開 2026.07.24
この連載の目次(全8・完結
  1. 01時計の話で迷子にならないために、まず5つの名前だけ無料
  2. 02時計は、値段より「どう使いたいか」で選ぶ無料会員
  3. 03機械式とクォーツは、優劣ではなく仕組みが違ういまここ
  4. 04ダイバーズ、クロノグラフ、GMTは、用途から形が生まれた読み放題
  5. 05定番モデルは、形の由来が分かると見分けられる読み放題
  6. 06時計は、ケース径だけでなく腕に載せて決める読み放題
  7. 07高い時計の値段は、機構・仕上げ・素材・流通に分けて考える読み放題
  8. 08時計の話は、値段より「なぜそれを選んだか」読み放題

機械式は趣味、クォーツは実用。そんな分け方をすると、入口では分かった気になれる。だが、何がどう違うかは残らない。時計の中で必要なのは、エネルギーをためること、一定の間隔を作ること、その間隔を表示へ伝えることだ。仕組みを見るときは、どちらが上かではなく、三つの仕事を何で担っているかを追う。

CHAPTER — THREE JOBS

時計の中には、三つの仕事がある

腕時計は、ただ針を回しているわけではない。

一つ目は、動くためのエネルギーを確保すること。二つ目は、その力を一定の間隔へ整えること。三つ目は、整えた間隔を針や数字へ伝えることだ。

FIG. 01
動力から表示まで、時計の中の三つの仕事
動力から表示まで、時計の中の三つの仕事時計を、エネルギーをためる、一定の間隔を作る、表示へ伝えるの三段に分け、機械式とクォーツで担当する仕組みの違いを比較した図動力ゼンマイ/電気時間の基準調速機構/水晶振動子表示針/数字
  • 機械式動力: ゼンマイ/時間の基準: 脱進機と調速機構/表示: 輪列から針へ
  • クォーツ動力: 電池など/時間の基準: 水晶振動子と電子回路/表示: モーターまたは数字へ

特定のムーブメントを模写した断面図ではない。仕組みを比較するため、動力、時間の基準、表示の三段だけを示す。

機械式では、巻かれたゼンマイが力をほどき、歯車へ伝える。脱進機(だっしんき)と調速機構が進み方を整え、針が時刻を示す。

クォーツでは、電池などの電気を使い、水晶振動子の規則的な振動を時間の基準にする。電子回路がその信号を数え、モーターやデジタル表示へ伝える。

どちらも三つの仕事をしている。担当する部品と方法が違う。

CHAPTER — ONE EXAMPLE

秒針の動きは、答えではなく手がかり

写真や店頭で時計を見ると、秒針に目が行く。一秒ごとに大きく進むもの、細かく刻むもの、滑らかに見えるものがある。

一般的なアナログクォーツには、一秒ごとに秒針を進めるものが多い。機械式では、調速機構の振動に応じて細かく刻んで進むため、連続しているように見えることがある。

ただし、ここで当てっこを終わらせない。クォーツにも秒針の動かし方が異なるものがあり、機械式にも振動数の違いがある。スプリングドライブの秒針は滑るように動くが、動力はゼンマイだ。

秒針は滑らかに見える。だから機械式、と断定せず、仕様で仕組みを確かめる。

外見は入口であり、仕組みの証明ではない。

ここから先は

ここまでで、時計の中には「エネルギーをためる・一定の間隔を作る・表示へ伝える」という三つの仕事があると分かりました。続きでは、手巻き、自動巻き、クォーツ、ソーラー、スプリングドライブを、この三つの仕事から比べます。

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手巻き——自分でゼンマイへ力をためる / 自動巻き——腕の動きで、ゼンマイを巻く / クォーツ——水晶の振動を時間の基準にする / ソーラーとスプリングドライブは、別の組み合わせ / 仕組みの話は、好みを試す質問にしない / 精度、手間、秒針の動きを、一つの順位にしない

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