この連載の目次(全8回・完結)
- 01時計の話で迷子にならないために、まず5つの名前だけ無料
- 02時計は、値段より「どう使いたいか」で選ぶ無料会員
- 03機械式とクォーツは、優劣ではなく仕組みが違ういまここ
- 04ダイバーズ、クロノグラフ、GMTは、用途から形が生まれた読み放題
- 05定番モデルは、形の由来が分かると見分けられる読み放題
- 06時計は、ケース径だけでなく腕に載せて決める読み放題
- 07高い時計の値段は、機構・仕上げ・素材・流通に分けて考える読み放題
- 08時計の話は、値段より「なぜそれを選んだか」読み放題
機械式は趣味、クォーツは実用。そんな分け方をすると、入口では分かった気になれる。だが、何がどう違うかは残らない。時計の中で必要なのは、エネルギーをためること、一定の間隔を作ること、その間隔を表示へ伝えることだ。仕組みを見るときは、どちらが上かではなく、三つの仕事を何で担っているかを追う。
時計の中には、三つの仕事がある
腕時計は、ただ針を回しているわけではない。
一つ目は、動くためのエネルギーを確保すること。二つ目は、その力を一定の間隔へ整えること。三つ目は、整えた間隔を針や数字へ伝えることだ。
- 機械式動力: ゼンマイ/時間の基準: 脱進機と調速機構/表示: 輪列から針へ
- クォーツ動力: 電池など/時間の基準: 水晶振動子と電子回路/表示: モーターまたは数字へ
特定のムーブメントを模写した断面図ではない。仕組みを比較するため、動力、時間の基準、表示の三段だけを示す。
機械式では、巻かれたゼンマイが力をほどき、歯車へ伝える。脱進機(だっしんき)と調速機構が進み方を整え、針が時刻を示す。
クォーツでは、電池などの電気を使い、水晶振動子の規則的な振動を時間の基準にする。電子回路がその信号を数え、モーターやデジタル表示へ伝える。
どちらも三つの仕事をしている。担当する部品と方法が違う。
秒針の動きは、答えではなく手がかり
写真や店頭で時計を見ると、秒針に目が行く。一秒ごとに大きく進むもの、細かく刻むもの、滑らかに見えるものがある。
一般的なアナログクォーツには、一秒ごとに秒針を進めるものが多い。機械式では、調速機構の振動に応じて細かく刻んで進むため、連続しているように見えることがある。
ただし、ここで当てっこを終わらせない。クォーツにも秒針の動かし方が異なるものがあり、機械式にも振動数の違いがある。スプリングドライブの秒針は滑るように動くが、動力はゼンマイだ。
秒針は滑らかに見える。だから機械式、と断定せず、仕様で仕組みを確かめる。
外見は入口であり、仕組みの証明ではない。
ここまでで、時計の中には「エネルギーをためる・一定の間隔を作る・表示へ伝える」という三つの仕事があると分かりました。続きでは、手巻き、自動巻き、クォーツ、ソーラー、スプリングドライブを、この三つの仕事から比べます。
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手巻き——自分でゼンマイへ力をためる / 自動巻き——腕の動きで、ゼンマイを巻く / クォーツ——水晶の振動を時間の基準にする / ソーラーとスプリングドライブは、別の組み合わせ / 仕組みの話は、好みを試す質問にしない / 精度、手間、秒針の動きを、一つの順位にしない
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