この連載の目次(全7回・完結)
- 01腕時計は、時間を見るためだけの道具ではない
- 02有名ブランドは、どんな人が着けるのか
- 03ロレックスもセイコーも、一つの顔ではない
- 04四角い時計、ダイバーズ、クロノグラフ
- 05正確さ、手間、機械を持つ楽しさいまここ
- 06高い時計は、正確だから高いわけではない
- 07最初の一本は、仕様表ではなく「どう見られたいか」から選ぶ
時計の中で何が動いているか。これを詳しく知る必要は、ほとんどない。知っておくと役に立つのは、四つの方式が自分の生活とどう噛み合うか——ただそれだけである。
クォーツ——正確で、扱いやすい
いま身の回りにある時計の多くがこれだ。電池で動く。
正確で、扱いやすい。時刻が大きくずれることはなく、日常で合わせ直す手間もほとんどない。かわりに、電池が切れたら交換に出すことになる。
クォーツにも幅広い価格帯がある。数千円のものから数十万円のものまで。方式と値段は連動しない。ここを混ぜると、選び方がぶれる。

クオーツ アストロン
Photo: Wikimedia Commons — Seiko Astron.jpg / CC BY-SA 4.0(世界で最初に市販されたクォーツ腕時計。博物館の収蔵品を原比率で表示している。)
ソーラー——電池交換の手間を減らしやすい
クォーツの一種で、文字盤の下で光を受けて発電する。受けた電力を内部に蓄えて動く。
明るい場所に置いておけば充電されるので、電池交換に出す回数を減らしやすい。引き出しにしまい込んだままにすると充電が進まないので、そこだけ気に留めておけばいい。
電波を受けて時刻を合わせる機能が付いた型もある。ただし受信できる電波の種類や地域は機種によって違うので、どこでも自動で合うわけではない。買うときに確認する項目のひとつになる。

電波ソーラーの一例
Photo: Wikimedia Commons — SEIKO Watch SBTM323.jpg / CC BY 4.0(文字盤に並ぶ記号は、受信できる電波の送信元を示している。)
機械式——手間を含めて、機械を持つ楽しさがある
電池を使わない。ぜんまいをほどく力で動く。手で巻くものと、腕の動きで巻かれるものがある。
生活の側から見ると、手間が増える。着けない日が続けば止まるので、巻いて時刻を合わせ直すことになる。ずれもクォーツより大きい。定期的に整備へ出す必要もあり、費用と時間がかかる。
その手間を、面倒と見るか、機械を持っている実感と見るか。手間をどう受け取るかは、機械式を選ぶときの大きな分かれ目になる。

自動巻きの機構
Photo: Wikimedia Commons — Self-winding wristwatch (transparent backside).jpg / CC BY-SA 4.0(特定のブランドの説明ではなく、機械式の一般的な構造を示すための一例。)
スマートウォッチ——時刻以外を腕へ持ってくる
時刻に加えて、通知、決済、運動や睡眠の記録を腕へ持ってくる。
定期的な充電が必要で、機械式時計とは製品更新やサポートの時間感覚も違う。時刻を見るためだけの道具として比べると、見誤りやすい。

Apple Watch Ultra 2
Photo: Wikimedia Commons — Apple Watch Ultra 2.jpg / CC BY-SA 4.0(外遊びや運動を想定した大型の系統。ケースが厚く、ボタンが増えている。)
自分の生活に、どれが噛み合うか
クォーツ、ソーラー、機械式は、手間との関係で比べやすい。
手間を減らしたいならソーラーかクォーツ。前者は電池交換の回数が減り、後者は種類の幅が広い。手間ごと楽しみたいなら機械式で、止まる、巻く、整備するという手順を面白いと思えるかどうかが分かれ目になる。
スマートウォッチは、これとは別の軸にある。手間と引き換えに、時刻以外の機能が増える。
次回は、その値段の中身を見ていく。
次回
高い時計は、正確だから高いわけではない。第6回では、値段の差が何から来ているのかを扱う。