大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

WATCH連載「時計の教養」第5回

正確さ、手間、機械を持つ楽しさ——時計の仕組みは、生活との相性だけ知ればいい

クォーツ、ソーラー、機械式、スマートウォッチ。四つの動力を、仕組みの細部ではなく、自分の生活と噛み合うかどうかで見分ける。

公開 2026.09.02最終確認 2026.09.02
この連載の目次(全7・完結
  1. 01腕時計は、時間を見るためだけの道具ではない
  2. 02有名ブランドは、どんな人が着けるのか
  3. 03ロレックスもセイコーも、一つの顔ではない
  4. 04四角い時計、ダイバーズ、クロノグラフ
  5. 05正確さ、手間、機械を持つ楽しさいまここ
  6. 06高い時計は、正確だから高いわけではない
  7. 07最初の一本は、仕様表ではなく「どう見られたいか」から選ぶ

時計の中で何が動いているか。これを詳しく知る必要は、ほとんどない。知っておくと役に立つのは、四つの方式が自分の生活とどう噛み合うか——ただそれだけである。

QUARTZ

クォーツ——正確で、扱いやすい

いま身の回りにある時計の多くがこれだ。電池で動く。

正確で、扱いやすい。時刻が大きくずれることはなく、日常で合わせ直す手間もほとんどない。かわりに、電池が切れたら交換に出すことになる。

クォーツにも幅広い価格帯がある。数千円のものから数十万円のものまで。方式と値段は連動しない。ここを混ぜると、選び方がぶれる。

金色のケースと銀色の文字盤を持つ1969年のクオーツ アストロン。透明な展示台に載っている博物館の収蔵品写真

クオーツ アストロンセイコー1969年ドイツ時計博物館

Photo: Wikimedia Commons — Seiko Astron.jpg / CC BY-SA 4.0世界で最初に市販されたクォーツ腕時計。博物館の収蔵品を原比率で表示している。

SOLAR

ソーラー——電池交換の手間を減らしやすい

クォーツの一種で、文字盤の下で光を受けて発電する。受けた電力を内部に蓄えて動く。

明るい場所に置いておけば充電されるので、電池交換に出す回数を減らしやすい。引き出しにしまい込んだままにすると充電が進まないので、そこだけ気に留めておけばいい。

電波を受けて時刻を合わせる機能が付いた型もある。ただし受信できる電波の種類や地域は機種によって違うので、どこでも自動で合うわけではない。買うときに確認する項目のひとつになる。

白い文字盤とチタンのブレスレットを持つ腕時計。文字盤の下に電波受信局を示す記号が並ぶ。木のテーブルの上

電波ソーラーの一例セイコー2020年代個人蔵

Photo: Wikimedia Commons — SEIKO Watch SBTM323.jpg / CC BY 4.0文字盤に並ぶ記号は、受信できる電波の送信元を示している。

MECHANICAL

機械式——手間を含めて、機械を持つ楽しさがある

電池を使わない。ぜんまいをほどく力で動く。手で巻くものと、腕の動きで巻かれるものがある。

生活の側から見ると、手間が増える。着けない日が続けば止まるので、巻いて時刻を合わせ直すことになる。ずれもクォーツより大きい。定期的に整備へ出す必要もあり、費用と時間がかかる。

その手間を、面倒と見るか、機械を持っている実感と見るか。手間をどう受け取るかは、機械式を選ぶときの大きな分かれ目になる。

透明な裏蓋越しに見える自動巻きの機構。半円形の錘、歯車の列、ねじ、赤い石が並んでいる

自動巻きの機構撮影年不詳個人蔵

Photo: Wikimedia Commons — Self-winding wristwatch (transparent backside).jpg / CC BY-SA 4.0特定のブランドの説明ではなく、機械式の一般的な構造を示すための一例。

SMARTWATCH

スマートウォッチ——時刻以外を腕へ持ってくる

時刻に加えて、通知、決済、運動や睡眠の記録を腕へ持ってくる。

定期的な充電が必要で、機械式時計とは製品更新やサポートの時間感覚も違う。時刻を見るためだけの道具として比べると、見誤りやすい。

チタンのケースに橙色のボタンが付いた大型のApple Watch Ultra 2。白と青の布製バンドが付いている。斜めからの接写

Apple Watch Ultra 2Apple2024年撮影個人蔵

Photo: Wikimedia Commons — Apple Watch Ultra 2.jpg / CC BY-SA 4.0外遊びや運動を想定した大型の系統。ケースが厚く、ボタンが増えている。

CHOOSING

自分の生活に、どれが噛み合うか

クォーツ、ソーラー、機械式は、手間との関係で比べやすい。

手間を減らしたいならソーラーかクォーツ。前者は電池交換の回数が減り、後者は種類の幅が広い。手間ごと楽しみたいなら機械式で、止まる、巻く、整備するという手順を面白いと思えるかどうかが分かれ目になる。

スマートウォッチは、これとは別の軸にある。手間と引き換えに、時刻以外の機能が増える。

次回は、その値段の中身を見ていく。

次回

高い時計は、正確だから高いわけではない。第6回では、値段の差が何から来ているのかを扱う。