この連載の目次(全8回・完結)
- 01浦和レッズ、Jリーグ、久保建英、日本代表、ワールドカップ——それぞれ何を指すか
- 02海外サッカーは、5つの主語で読める
- 03レアル・マドリード、バルセロナ、プレミアの3クラブ——何で知られているか
- 04ワールドカップとチャンピオンズリーグは、別の系統の一番上にあるいまここ
- 05移籍には窓がある——夏と冬、決められた期間しか動けない
- 06欧州の試合が日本時間の深夜になる理由と、時差の計算
- 07ワールドカップとワールドカップのあいだに、何があるのか
- 08最終回——三笘薫の一場面と、競技規則の書き方
サッカーの大会は、大きく二つの系統に分かれる。国の代表チームが戦うものと、クラブが戦うものだ。ワールドカップは前者の一番上に、チャンピオンズリーグは後者の一番上にある。競っている相手も、開かれる周期も違う。
第1回で見たとおり、選手はクラブと契約して週末の試合を戦い、国際試合の期間には代表に招集される。
この二つの所属が、そのまま大会の系統に対応する。クラブとして出る大会と、代表として出る大会は、別々に組まれている。
だから、ワールドカップとチャンピオンズリーグは同じ物差しの上に並ばない。出場するのが国の代表チームか、クラブかという時点で違う。
代表の系統——ワールドカップと、各大陸の選手権
代表の系統の頂点がワールドカップだ。4年に1度開かれ、2026年の大会から出場国は48、試合数は104になった。カナダ、メキシコ、アメリカの共同開催である。
その下に、大陸ごとの選手権が並ぶ。ヨーロッパのEURO、南米のコパ・アメリカ、アジアのアジアカップ。いずれも4年に1度、その大陸の一番を決める。
EUROは24チームで争われる。2024年大会を制したスペインは、グループリーグから決勝まで7試合を全勝で終えている。
日本代表が出場するのはアジアカップで、過去に4回優勝している。これは大会の最多優勝回数にあたる。
クラブの系統——5大リーグと、チャンピオンズリーグ
クラブの系統は、代表と違ってほぼ毎週動いている。
土台にあるのが各国のリーグ戦だ。イングランドのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、イタリアのセリエA、ドイツのブンデスリーガ、フランスのリーグ・アン。この五つは「5大リーグ」と呼ばれる。リーグ戦は総当たりで、8〜9か月かけて勝ち点を積む。
その上にチャンピオンズリーグがある。各国リーグの上位クラブだけが参加する、ヨーロッパのクラブの頂点を決める大会だ。第3回で見たレアル・マドリードの15回という数字は、この大会のものである。
2024年から方式が変わった。それまでは4クラブずつの小さなグループに分かれていたが、現在は36クラブが一つの順位表に並び、それぞれ8試合を戦う。上位8クラブが決勝トーナメントへ直接進み、9位から24位はプレーオフを経て進む。
決勝トーナメントの勝ち上がり方にも決まりがある。決勝を除く各ラウンドは、ホームとアウェーで1試合ずつ、計2試合を戦う。 勝ち上がるのは2試合の合計得点が多いほうだ。だから、初戦を落としても次の1試合で取り返す余地が残る。決勝だけが、中立地での1試合で決まる。
クラブワールドカップ——各大陸の優勝クラブが集まる
各大陸のクラブ大会で優勝したクラブが集まる大会がクラブワールドカップだ。
2025年から規模が拡大し、32クラブがアメリカで戦う方式になった。この大会の優勝はチェルシーだった。
チャンピオンズリーグがヨーロッパのクラブの頂点を決めるのに対し、こちらは大陸をまたいで決める。歴史は浅く、日程の過密を理由にした議論も続いている。
クラブの1年と、代表の4年
同じ「優勝」でも、そこへ至る過程がまったく違う。
クラブの側は、ほぼ毎週動いている。8月に始まったリーグ戦を週末に戦い、その合間の平日にチャンピオンズリーグのリーグフェーズ8試合が入る。年が明けるとプレーオフ、そこから決勝トーナメントが2試合ずつ進み、5月末に決勝を迎える。9か月のあいだ、負けた翌週にはもう次の試合がある。
代表の側は、間隔がまったく違う。国際試合の期間に集まって数試合を戦い、また解散する。予選を勝ち抜いて本大会にたどり着いても、決勝トーナメントは1試合で決まる。そこで負ければ、次のワールドカップは4年後だ。
「アジアで一番」と「世界で一番」でも母集団が違うし、「自国リーグの一番」と「ヨーロッパの一番」でも違う。ニュースで優勝が伝えられたとき、それがどの範囲の、どういう過程を経た一番なのかは、大会ごとに別々に決まっている。
次回
選手がどのクラブでプレーするかは、夏と冬に動く。第5回では、移籍市場がどう開き、何が取引されているのかを見ていく。