この連載の目次(全8回・完結)
- 01浦和レッズ、Jリーグ、久保建英、日本代表、ワールドカップ——それぞれ何を指すか
- 02海外サッカーは、5つの主語で読める
- 03レアル・マドリード、バルセロナ、プレミアの3クラブ——何で知られているかいまここ
- 04ワールドカップとチャンピオンズリーグは、別の系統の一番上にある
- 05移籍には窓がある——夏と冬、決められた期間しか動けない
- 06欧州の試合が日本時間の深夜になる理由と、時差の計算
- 07ワールドカップとワールドカップのあいだに、何があるのか
- 08最終回——三笘薫の一場面と、競技規則の書き方
海外サッカーのニュースには、レアル・マドリード、バルセロナ、リヴァプールといったクラブ名が説明なしで出てくる。それぞれが何で知られているのかを、優勝回数、育成組織、本拠地といった具体から見ていく。
レアル・マドリードを説明する数字は、ヨーロッパのクラブの頂点を決める大会チャンピオンズリーグ(CL)の優勝回数だ。15回。この大会の歴代最多である(2026年8月時点)。
大会の前身であるチャンピオンズカップが1955年に始まった当初、最初の5大会を連続で制したのがこのクラブだった。近年も2010年代半ばから複数回の優勝を重ねている。
移籍市場で世界的な選手を集める姿勢から「銀河系軍団」と呼ばれてきた。ホームはサンティアゴ・ベルナベウで、白いユニフォームがクラブの象徴になっている。
バルセロナ——カンテラで育て、短いパスでつなぐ
レアル・マドリードとの対戦はエル・クラシコと呼ばれ、世界で最も注目される一戦になる。首都マドリードと、カタルーニャ州の中心都市バルセロナという関係が背景にある。
クラブが掲げるモットーは「Més que un club(クラブ以上の存在)」。カタルーニャの言葉で書かれたこの一文は、地域の文化や政治と結びついてきたクラブの立ち位置を示している。
サッカーの中身の面では、育成組織が知られている。ラ・マシアと呼ばれる施設を拠点にした下部組織(カンテラ)で、子どもの頃から選手を育てる。リオネル・メッシは13歳でここに加入した選手だった。
そこで教えられてきたのが、短いパスをつなぎ続けてボールを保持するティキタカと呼ばれるスタイルだ。相手にボールを持たせないこと自体を守備と考える発想で、2000年代後半から2010年代前半にかけて、このクラブとスペイン代表の成績を支えた。
もっとも、このクラブが移籍市場で大型補強をしないわけではない。ネイマールやルイス・スアレスのように、他クラブから来た選手が主力になってきた時期もある。ラ・マシアはこのクラブを語るときの中心にある要素だが、選手の供給源がそこだけだったわけではない。
マンチェスター・ユナイテッド——優勝回数には、二つの数え方がある
イングランドのプレミアリーグには、日本人選手が在籍してきた。ここでは、ニュースに名前が出やすいクラブを見ていく。
マンチェスター・ユナイテッドの優勝記録を説明するときには、区別が要る。
イングランドの1部リーグは1992年に「プレミアリーグ」という名前へ変わった。この1992年以降の優勝回数では、マンチェスター・ユナイテッドの13回が最多にあたる。
一方、リーグ名が変わる前まで含めた1部リーグ通算の優勝回数では、マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールがともに20回で並んでいる。リヴァプールが2024-25シーズンに優勝して並んだ形だ。つまり「イングランド最多」という言い方は、どちらの数え方を指しているかで答えが変わる(いずれも2026年8月時点)。
クラブの異名は「赤い悪魔」、本拠地はオールド・トラッフォード。1958年には、遠征帰りの飛行機がミュンヘンで墜落し、選手を含む多くの関係者が犠牲になっている。その後の再建から1968年のヨーロッパ制覇に至る経緯が、クラブの歴史の中で繰り返し語られてきた。
リヴァプール——アンフィールドで試合前に歌われる曲
リヴァプールは、CLを6回制している。イングランドのクラブでは最多になる。
このクラブを特徴づけるのは、本拠地アンフィールドの光景だ。試合前、スタンドのサポーターがマフラーを掲げ、「You'll Never Walk Alone」を合唱する。1960年代からこのスタジアムで歌われてきた曲で、いまではクラブの象徴として扱われている。
スタンドの一角には「コップ」と呼ばれる区画があり、ここが合唱の中心になる。テレビ中継でも試合開始前にこの場面が映されることが多い。
マンチェスター・シティ——グアルディオラが持ち込んだもの
マンチェスター・シティは、2008年の資本参加以降に成績が大きく変わったクラブだ。
2016年から監督を務めるジョゼップ・グアルディオラは、選手としても監督としてもバルセロナにいた人物である。バルセロナで築いたボール保持のスタイルを、このクラブでも土台にしてきた。2023年にはCLを初めて制している。
資金力への批判が同時に語られることも多い。クラブの強さがどこから来ているのかという議論は、このクラブについては常に付いて回る。
次回
クラブが戦う大会と、代表が戦う大会は別の系統にある。第4回では、ワールドカップとチャンピオンズリーグが何を競っているのかを見ていく。