この連載の目次(全8回・完結)
- 01浦和レッズ、Jリーグ、久保建英、日本代表、ワールドカップ——それぞれ何を指すかいまここ
- 02海外サッカーは、5つの主語で読める
- 03レアル・マドリード、バルセロナ、プレミアの3クラブ——何で知られているか
- 04ワールドカップとチャンピオンズリーグは、別の系統の一番上にある
- 05移籍には窓がある——夏と冬、決められた期間しか動けない
- 06欧州の試合が日本時間の深夜になる理由と、時差の計算
- 07ワールドカップとワールドカップのあいだに、何があるのか
- 08最終回——三笘薫の一場面と、競技規則の書き方
サッカーのニュースには、浦和レッズ、Jリーグ、久保建英、日本代表、ワールドカップといった名前が同じ画面に並ぶ。指しているものは、クラブ、リーグ、人、選ばれて集まるチーム、大会。それぞれが何なのかを、具体的な中身から見ていく。
浦和レッズ——正式名称と、63,700席のスタジアム
浦和レッズは、地域に本拠を置いて選手と契約し、年間を通してリーグ戦を戦う集団——クラブである。
正式名称は浦和レッドダイヤモンズという。1992年に「三菱浦和フットボールクラブ」として創立され、愛称がレッドダイヤモンズだった。1996年に現在のクラブ名になっている。ニュースで「浦和」「レッズ」「浦和レッズ」と呼び分けられていても、指しているのは同じ一つのクラブだ。
ホームスタジアムは埼玉スタジアム2002。2002年のワールドカップのために建てられたサッカー専用のスタジアムで、収容は63,700人。日本国内のサッカー専用競技場としては最大で、アジアでも屈指の規模になる。陸上トラックがないので、ピッチと客席の距離が近い。
クラブの層で押さえておくのは、選手はクラブと契約しているという点だ。週末に行われる試合の大半は、選手が所属するクラブの試合になる。
Jリーグ——クラブが参加する場のほう
Jリーグは、クラブの名前ではない。クラブが参加する場の名前だ。
正式名称は公益社団法人日本プロサッカーリーグ。1991年に創設され、1993年に開幕した。J1、J2、J3という3つのカテゴリーがあり、成績に応じてクラブが上下する。
暦が変わる予定がある。Jリーグは2023年12月に、2026-27シーズンから秋春制へ移行することを発表した。8月に開幕して翌年5月に閉幕する形になり、シーズンが年をまたぐ。移行期にあたる2026年には、2月から6月にかけて「明治安田Jリーグ百年構想リーグ」という特別大会が置かれる。
つまり、ニュースで「今シーズン」と聞いたときに指す範囲が、この移行の前後で変わる。
久保建英——クラブと代表、二つに属する層
久保建英は人の名前で、選手の層にあたる。
日本サッカー協会の記録では、18歳5日での日本代表デビューを果たしている。これは日本の代表史上2番目に若いデビューにあたる。
選手の層には、他の四つにない性質がある。選手だけが、クラブと代表の両方に属する。普段はクラブと契約して週末の試合に出て、国際試合の期間になると代表に招集される。だからニュースで「久保が」と聞いたとき、それがクラブの試合の話なのか代表の話なのかは、周りに並ぶ名前——クラブ名か、代表名か大会名か——で分かれる。
所属クラブは移籍で変わる。変わらないのは、この二重所属という構造のほうだ。
日本代表——契約ではなく、招集で集まる
日本代表は、クラブと成り立ちが違う。
クラブは選手と契約を結び、その選手を年間通して抱える。代表は契約しない。試合や大会のたびに、その時点で選ばれた選手が招集され、終われば各自のクラブへ戻る。普段は別々のクラブにいる選手が、同じユニフォームで数日間だけ一つのチームになる。
日本サッカー協会には年代別・性別ごとの代表があり、男子のトップチームはSAMURAI BLUE、女子はなでしこジャパンと呼ばれる。その下にU-23などの年代別代表が並ぶ。ニュースの「日本代表」がどれを指すかは、文脈で分かれる。
ワールドカップ——出場するのは国と地域の代表
ワールドカップは大会の名前だ。主催はFIFA(国際サッカー連盟)で、出場するのは各国・地域の協会の代表チームである。クラブは出場しない。
2026年の大会から、出場国が48に増えた。試合数は104。カナダ、メキシコ、アメリカの3か国による共同開催である。
同じFIFAが主催する女子の世界大会は別に開かれている。単に「ワールドカップ」と言うとき男子の大会を指すことが多いのは、慣用によるものだ。
五つの関係
選手はクラブと契約し、クラブはリーグに参加する。選手は代表に招集され、代表は大会に出る。
久保建英という一人の選手を追いかけると、クラブの試合の記事と、日本代表の記事の両方に名前が出てくる。同じ人物の、別の所属の話だ。
次回
第2回では、海外のリーグでプレーする日本人選手を一人ずつ見ていく。