この連載の目次(全8回・完結)
- 01クルマの話で迷子にならないために、まず5つの言葉だけいまここ
- 02クルマは、買わなくても「自分ならどう使うか」で楽しめる無料会員
- 03名車スター名鑑読み放題
- 04車種の地図——SUV・セダン・軽の「なぜ売れる」読み放題
- 05EVは「賛成か、反対か」で語らなくていい読み放題
- 06F1という「メーカー戦争」読み放題
- 07ディーラーと試乗の歩き方読み放題
- 08最終回——クルマの話に入る読み放題
「トヨタ」「レクサス」「プリウス」「SUV」「ハイブリッド」。どれも街で聞く言葉だ。ところが、この5つは同じ種類の名前ではない。会社、ブランド、車名、形、動かし方が一列に並ぶから、話が急に難しく見える。最初に必要なのは、メーカーを全部覚えることでも、馬力を比べることでもない。聞いた名前が、どの箱に入るかを分けることだ。
- 相手:クルマ、何が好きですか?
- 自分:SUVとか……
- 相手:メーカーは?
- 自分:SUVって、メーカーじゃないんですか?
この行き違いは、クルマに詳しくないから起きるのではない。名前の種類が混ざっているから起きる。今日は5つだけ、元の場所へ戻す。
5つの言葉は、5つの違う仕事をしている
会社/ブランド
トヨタ
たくさんの車を作り、トヨタの名前で売る大きな傘
この中の車名: プリウス、アルファード、クラウン
ブランド|トヨタ自動車
レクサス
トヨタ自動車が展開する、別の名前と体験を持つ高級車ブランド
この中の車名: LS、RX、NX
車名/モデル|トヨタ
プリウス
トヨタブランドの中にある、一台の名前
種類: 乗用車/代表的な動かし方: ハイブリッド
車の種類
SUV
背が高く、荷物や遠出にも使いやすい形をまとめた呼び名
複数の会社が作る: トヨタにも、レクサスにも、他社にもある
動かし方
ハイブリッド
エンジンとモーターを組み合わせて走る仕組みの呼び名
複数の車名にある: プリウスだけの名前ではない
順位表ではない。会社、ブランド、車名、形、動かし方を、同じ列からいったん分けるための入口。
この5つを一列に並べて「どれが一番上か」と比べても意味はない。トヨタとレクサスは大きな傘の話、プリウスはその中の一台、SUVは形、ハイブリッドは走る仕組みだ。
会社、ブランド、車名は、住所のように上から見る
まず縦の関係だけを見る。
トヨタ自動車という会社
├─ トヨタというブランド
│ └─ プリウスという車名
└─ レクサスというブランド
└─ LS、RX、NXなどの車名
普段の会話では「トヨタ」を会社名としても、車のブランド名としても使う。そこは厳密に言い分けなくても困らない。大事なのは、レクサスは別会社の名前ではなく、トヨタ自動車が展開する別ブランドであり、プリウスは会社でもブランドでもなく車名だと分かることだ。
服でたとえるなら、会社は店を運営する大元、ブランドは売り場の看板、車名はそこに並ぶ商品の名前に近い。完全に同じではないが、入口ではこの距離感で十分だ。
SUVはメーカーではなく、形と使い方の呼び名
SUVは一社の名前ではない。トヨタも、レクサスも、日産も、マツダも、ポルシェもSUVを作る。
入口では、背が高めで、荷物や人を載せやすく、街から遠出まで使う車の種類とつかめばよい。車種によって大きさも得意な道も違うので、「SUVなら全部同じ」ではない。それでも、セダン、ミニバン、スポーツカーと見分ける最初の箱としては役に立つ。
ここで覚えたいのは一つだけだ。
SUVは、トヨタやレクサスと並ぶ名前ではない。複数のブランドを横切る、形の種類である。
ハイブリッドは車名ではなく、動かし方
ハイブリッドも、一台の車名ではない。エンジンとモーターを組み合わせて走る仕組みの呼び名だ。
1997年に発売された初代プリウスは、量産ハイブリッド乗用車を広く世の中へ見せた。そのため「ハイブリッドといえばプリウス」という印象が強い。しかし現在は、ミニバンにもSUVにも、トヨタ以外の車にもハイブリッドがある。
ガソリン、ハイブリッド、電気。これらは車の見た目よりも、何を使って、どう走るかの違いだ。最初から細かな仕組みまで覚えなくてよい。プリウスという車名と、ハイブリッドという動かし方を別の箱へ置ければ十分だ。
街で一台見るときは、三つだけ
駐車場や信号待ちで一台の車を見たら、次の三つだけ確かめる。
- 看板は何か——トヨタ、レクサス、スズキ、マツダ、ポルシェなど
- 形は何か——背が高いSUV、多人数向けのミニバン、低いスポーツカーなど
- 動かし方の印はあるか——HYBRID、EVなど
車名まで分からなくても構わない。「レクサスのSUVだった」「トヨタのハイブリッドだった」まで言えれば、すでに名前は整理できている。
逆に、一度に全部当てようとすると疲れる。エンブレム、形、後ろの文字。今日は一つだけ見ればよい。
知らない名前は、どの箱かだけ分かればいい
知らない名前を聞いたとき、詳しい説明を全部覚える必要はない。
- ポルシェ——ブランド
- 911——ポルシェの車名
- ロードスター——マツダの車名
- ミニバン——車の種類
- EV——電気で走る仕組みの呼び名
この箱分けができると、クルマの話は急に見通しがよくなる。相手が細かなグレード名を足しても、まず大きな箱へ戻せるからだ。
次回は、その地図へ役割の違う5台を置く。プリウス、アルファード、ジムニー、ロードスター、ポルシェ911。どれが上かではなく、自分なら誰と、どこへ行くかで見る。
車名から、乗っている人の年収、職業、性格を決めつけない。 高価な車でも仕事で必要なことがあり、小さな車でも強いこだわいで選ばれる。車は持ち主の一面ではあっても、人物評そのものではない。