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SPORTS12球団図鑑ロッテ

千葉ロッテマリーンズ——熱い応援と、優勝へ届き切らない時間

外野スタンドの声がホームゲームの印象を作る球団は、この10年、2位を3度経験しながらリーグ1位がない。佐々木朗希の完全試合という強烈な個の記憶と、「今年こそ」が続く応援の現在地を1ページで。

千葉ロッテマリーンズのホームゲームは、音から始まる。外野スタンドの声がそろい、跳ね、チャンステーマで球場全体が押し上がる——応援のまとまりで球団を語られることが、12球団でいちばん多い。ただし、その熱に成績が追いついたとは言いがたい。この10年でリーグ1位はなく、2位が3度。「今年こそ」と思えた年ほど、最後に届かなかった。その繰り返しと、佐々木朗希という強烈な例外の記憶が、いまのロッテを形づくっている。

黒いユニフォームに背番号17の長身の投手が、マウンドから投げ込んでいる。後ろにオリックスの走者が見える

佐々木朗希2022年4月24日・ロッテ時代。完全試合の2週間後の登板

完全試合直後の時期の一枚。個の記憶では、この10年のロッテでいちばん強い。

Photo: Orixbaseballclub / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

QUICK

30秒で分かる球団

01
千葉ロッテマリーンズは、いまこう見る
  • リーグ・本拠地

    パ・リーグ/ZOZOマリンスタジアム

    パシフィック・リーグの球団。海沿いの屋外球場で、風の強さでも知られる

  • 2016〜2025年

    2位3度、1位なし

    2020・2021・2023年と優勝圏へ迫ったが、リーグ1位でシーズンを終えた年はない

  • 現在の段階

    新体制の作り直し

    2025年の最下位を受けて監督が交代し、世代交代へ舵を切った

  • 付いている印象

    応援がすごい球団

    外野スタンドの声量と一体感が代名詞。ファンは「26人目の選手」と位置づけられている

DECADE

この10年の順位の波

02
2016〜2025年のリーグ順位
順位補足
20163位
20176位最下位
20185位
20194位
20202位終盤まで首位を争う
20212位優勝マジック点灯から届かず
20225位
20232位CSファイナルで敗退
20243位
20256位最下位

NPB公式の年度別成績による。2025年シーズン終了までを扱う。

「届かなかった3回」には、それぞれ物語がある。2020年は10月に首位とゲーム差なしまで迫りながら、新型コロナの集団感染で主力11人が登録を外れ、そのまま引き離された。2021年は優勝マジックを点灯させながら、最後にオリックスへ2.5ゲーム差の2位。2023年は2位からクライマックスシリーズを勝ち上がったが、ファイナルで再びオリックスに阻まれた。あと数勝の距離まで3度行って、3度戻された——この記憶の積み重ねが、ロッテファンの「今年こそ」の重さである。

その間に、佐々木朗希がいた。2022年4月10日、20歳5か月での完全試合。28年ぶり16人目、13者連続奪三振は日本新記録だった。個の輝きの記憶としてこれ以上のものはないが、その2022年のチーム順位は5位である。個のすごさとチームの結果が、必ずしも重ならないのもこの球団の10年だった。佐々木は2024年オフにドジャースへ移っている(連載第3回)。

VIEW

いま、この球団はどう見られているか

まず応援である。 声を層にして重ねる応援スタイル、場面ごとのチャンステーマ、タオルを掲げる光景。他球団のファンに「ロッテといえば」と聞けば、高い確率で応援の話が返ってくる。球団も背番号26を「26人目の選手」としてファンのために欠番にしており、スタンドを戦力の一部として公式に位置づけている。

成績の面では、「惜しい球団」という像が定着している。 2位止まりの3回に加え、2010年の「3位から日本一」という下剋上の成功体験もあるため、優勝争いに絡めば「今年は何かやるかもしれない」と外からも見られる。ただしシーズンを1位で走り切った経験は、この10年では一度もない。

打線は「誰か一人」より「全員で」の時期が多かった。 優勝を争った2021年の前半はリーグ最多の得点を挙げながら、突出した成績の打者がいたわけではなかった。2023年に本塁打王を取ったポランコも26本で、3人同時受賞という低い水準の年である。ただしこれをこの球団の体質と言い切るのは正確ではない。荻野貴司が最多安打と盗塁王を同時に取った年(2021年)もあり、佐々木朗希の在籍期は「圧倒的な個」がいた。時期によって主役の形が変わる、と言うのがいちばん実態に近い。

海沿いの球場の黒い大型ビジョンと外野スタンド。ビジョンに攻撃時の演出が映り、グラウンド脇に演出用の車が入っている

ZOZOマリンスタジアムの外野2026年7月・千葉市。対オリックス戦

本拠地・ZOZOマリンスタジアム。大型ビジョンの下の外野が応援の中心である。

Photo: ウィ貴公子 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

SHARED

野球好きの中で共有されている3つの前提

  1. 応援の音とまとまりが、ホームゲームの印象を大きく作っている。 「試合はともかく応援を見に行く価値がある」と言われる球場は、ここくらいである。
  2. 優勝争いへ近づく年はあるが、最後まで届かない記憶が積み重なっている。 2020年・2021年・2023年と、手が届く位置から3度こぼれた。
  3. 一人の圧倒的な主役より、複数の選手で勝つ印象が強い時期が多い。 リーグ最多得点を突出した打者なしで挙げた2021年前半がその典型。ただし佐々木朗希の在籍期など、例外の時期もはっきりある。
FAN

好きになる理由と、応援していてしんどいところ

球場全体で試合を押している感覚は、この球団がいちばん濃い。声がそろって相手投手が乱れ、点が入る——観客でいながら試合の当事者になれる瞬間がある。海風の屋外球場という環境も含めて、「観戦」より「参加」に近い野球体験ができるのがZOZOマリンである。

しんどいのは、「今年こそ」と思える年ほど、最後に届かないことだ。マジックを点灯させた2021年の最終盤、CSファイナルまで行った2023年の秋。期待の高さに比例して、終わったあとの静けさも深い。2025年には最下位まで落ち、長くチームを支えた荻野貴司らベテランが去った。新しい体制の仕事は、あの「あと一歩」の位置へ戻るところから始まる。