2019年・2020年と2年連続の最下位だったチームが、2021年にリーグ優勝した。そのまま三連覇し、2022年には26年ぶりの日本一。オリックス・バファローズのこの10年は、「いつも下にいる球団」という古い印象が、劇的に裏返った10年である。頂点を支えた山本由伸と吉田正尚はメジャーへ移り、いまは黄金期の次の形を作っている途中——ただしその作り直しも、三連覇を知ったファンの高い基準で見られている。

山本由伸2022年5月・オリックス時代
三連覇の柱。オリックスで3年連続の投手4冠と沢村賞を成し遂げ、2023年オフにドジャースへ移った。
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30秒で分かる球団
リーグ・本拠地
パ・リーグ/京セラドーム大阪
パシフィック・リーグの球団。大阪のドーム球場が本拠地
2016〜2025年
最下位から三連覇へ
前半は下位が続き、2021〜2023年にリーグ三連覇。2022年は26年ぶりの日本一
現在の段階
次の形を作る途中
三連覇の主力が抜けたあとの再編期。2025年には3位まで戻した
付いている印象
投手を育てる球団
山本由伸に続き、宮城・山下ら若い好投手が次々に出てくる
この10年の順位の波
| 年 | 順位 | 補足 |
|---|---|---|
| 2016 | 6位 | 最下位 |
| 2017 | 4位 | |
| 2018 | 4位 | |
| 2019 | 6位 | 最下位 |
| 2020 | 6位 | 最下位 |
| 2021 | 1位 | リーグ優勝。日本シリーズは敗退 |
| 2022 | 1位 | リーグ連覇、26年ぶりの日本一 |
| 2023 | 1位 | リーグ三連覇。日本シリーズは敗退 |
| 2024 | 5位 | |
| 2025 | 3位 |
NPB公式の年度別成績による。2025年シーズン終了までを扱う。
最下位の翌年に優勝——この落差は、監督交代のタイミングとも重なる。2020年シーズン途中、最下位のチームで中嶋聡が監督代行に就き、翌2021年から正式監督として3年続けてリーグを制した。
三連覇の土台は、投手と育成である。 三連覇最後の2023年のチーム防御率2.64はリーグで抜きん出た数字だった。柱の山本由伸は2021年から3年連続で投手主要4部門の頂点に立ち、沢村賞も3年連続で受けた。ドラフト10位入団から2021年に本塁打王へ育った杉本裕太郎、高卒から主力になった宮城大弥・紅林弘太郎——外から買ってきた強さではなく、育てて勝ったという点が、この三連覇の誇りになっている。
その後、吉田正尚(2022年オフ)と山本(2023年オフ)が相次いでメジャーへ。2024年は5位へ落ち、中嶋監督が退任した。

杉本裕太郎2023年9月・ほっともっとフィールド神戸。リーグ三連覇の年
ドラフト10位から2021年の本塁打王へ。三連覇の「育てて勝つ」を象徴する選手である。
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いま、この球団はどう見られているか
「育成と投手の球団」という新しい看板が定着した。 長い低迷から三連覇への転換は、スカウトと育成の変化が土台だったと分析されることが多く、中嶋前監督を名将と位置づける論も多い。山本が抜けても宮城が、山下舜平大が——と、投手の系譜が続くことへの信頼は、いまも崩れていない。
三連覇の顔ぶれは、少しずつ舞台を降りている。 吉田正尚が2022年オフ、山本由伸が2023年オフにメジャーへ移り、19年を生え抜きで通したT-岡田は2024年に引退した。黄金期を作った名前が順に抜けていくなかで、次の中心を誰が担うのか——それが、いまのオリックスを見るときのいちばんの問いになっている。
関西での定着は、順位と関係なく進んだ。 5位に沈んだ2024年でも主催試合の観客動員は球団最多を更新した。「人気がない球団」という古い言われ方は、もう実態と合っていない。
野球好きの中で共有されている3つの前提
- 長い低迷から短期間で三連覇まで進んだため、球団の印象が大きく変わった。 最下位の翌年に優勝という急転換を実際に見た結果、「オリックスは下位」という決めつけは過去のものになった。
- 強かった時期は、投手陣と育成された主力が中心だった。 防御率リーグ最良の投手王国と、ドラフト下位や高卒からの成り上がり。買った強さではないという点が、評価の核にある。
- 三連覇時代の中心選手が抜けた後、次の勝ち方を作っている途中にある。 山本・吉田の移籍、ベテランの引退。いまの順位は、その過渡期のものとして見られている。
好きになる理由と、応援していてしんどいところ
低迷期から見てきた選手が、頂点に立つ過程を知っている——これがオリックスファンの持っている財産である。ドラフト10位の杉本が本塁打王になり、最下位の年に代行で就いた監督が3年続けて優勝する。「報われる物語」を実際に最後まで見たファンは、いまの若手にも同じ物語を重ねて見ることができる。
しんどいのは、その黄金期の基準が残っていることだ。三連覇と日本一を見た目には、再編期の試合がどうしても物足りなく映る。「また育つまで待つ」の楽しさと長さを、いちばんよく知っている球団のファンが、いままさにそれをもう一度やっている。