アルマーニの名前を、Tシャツとスニーカーで着られるライン。売り場は、身構えずに入れるところにある。
仕立て服から、Tシャツとデニムへ
立ち上がったのは1991年のニューヨークだ。仕立ての服で名を上げた会社が、Tシャツ、デニム、軽いアウターという別のカテゴリーへ手を伸ばした。
出発点はクラブだった。世界的にハウスやテクノが広がっていた時期で、初期の店はDJを呼び、CDを置き、音楽の担い手と組んだ。速くて手が届く都市の服、という位置づけで始まっている。

夜の街の服から、普段の買い物の中へ
2000年代に入ると、時計やサングラスへ品目が広がり、百貨店やモールの売り場にも並ぶようになる。クラブへ行く人のための服だった時期は、ここで終わった。
会社の側も、その方向をはっきり言葉にしている。2014年にこのラインを完全に自社のものにしたとき、ジョルジオ・アルマーニ本人が「イタリア初のファストファッションのブランドにしたい」と述べている。安く、速く、手が届く。上のラインを目指す踏み台としてではなく、別の商売として置き直された。
いまはどんな人が着るブランドか
売り場に並ぶのは、黒・紺・白を中心にした、都会的でスポーティーなカジュアルだ。胸や背中に大きくA|Xが入る服と、ロゴを左胸に小さく抑えたシャツやアウターが、同じ棚に並んでいる。派手なロゴを選ぶ人だけのブランドではない。
着る人は、年代で入口が分かれる。
若い層は、時計や財布、ロゴの入ったTシャツやスウェットから入ることが多い。名前の知られたブランドを、初めて自分の格好へ取り入れる一枚目になっている。贈り物として渡されて、そこから知る人もいる。
30代から50代は、ロゴを抑えた側を選ぶ。黒や紺のシャツ、軽いアウター、パンツ。それを普段着の中へ一点だけ混ぜる。上下をこのブランドで固めるのではなく、手持ちの格好に、少しだけブランド感を足すという使い方だ。
スーツを中心とする上位ラインとは違い、A|Xは普段着のまま、きれいめでスポーティーな方向へ寄せたい人に選ばれている。

代表的な服
ロゴの入ったTシャツとスウェット——胸か背中に大きくA|Xが入るものと、左胸に小さく入るものがある。売り場には両方が並ぶ。
シャツと軽いアウター——黒や紺が中心で、ロゴは控えめ。普段着へ一点混ぜるときに選ばれる側。
時計——服とは別の売り場で扱われる。ゴールドの文字盤が出てくるのは、主にこの品目だ。
近いブランドとの違い
同じ「胸のロゴ一つで雰囲気が出るTシャツ」という点ではStüssyと並ぶ。ただし出る方向が逆だ。A|Xは都会的でスポーティーな、きれいめの側。Stüssyはラフなストリートの側。同じロゴ一つでも、寄せる先が違う。