久保田は、居酒屋でも酒屋でもよく見る名前だ。だから「定番の辛口」とだけ覚えられやすい。ただ、久保田らしさが最も分かりやすく出るのは、口に入れた瞬間より、飲み込んだあとである。味が長く重く残らず、食事へ戻りやすい。この後味のキレを軸にすると、千寿、純米大吟醸、萬寿の違いも見やすくなる。

Photo: Kozakura154 / Wikimedia Commons / CC BY 4.0
30秒で分かる味
久保田は辛口か。その一語で終えるより、飲み込んだあとが短いと覚えるほうが近い。商品によって香りと厚みは変わるが、後味の設計は共通している。
穏やか〜華やか
香り
千寿は穏やか。純米大吟醸と萬寿へ進むと、花を思わせる香りがはっきりする
辛口方向
甘辛
千寿は日本酒度+5.0で辛口方向。ただし、米の旨みとわずかな甘みもある
淡麗
口当たり
重さを押し出さず、すっきり入る。公式が示す「淡麗」という言葉はここを見る
キレ
後味
飲み込んだあとが短く、次の一口や料理へ戻りやすい。久保田を見る中心はキレ
食中酒
食事
酒だけを主役にするより、刺身、煮物、焼き物などと並べたときに特徴が分かる
銘柄の中の地図——千寿、純米大吟醸、萬寿
| 位置 | 商品 | 味の見どころ | 720ml・税込 |
|---|---|---|---|
| 入口 | 久保田 千寿 | 穏やかな香り、すっきりした口当たり、食事へ戻りやすいキレ | 1,430円 |
| 中核 | 久保田 純米大吟醸(化粧箱付) | 花を思わせる香り、甘みと酸味の釣り合い、最後はすっきり切れる | 2,134円 |
| 上位 | 久保田 萬寿 | 香りと旨みの厚みが増し、口当たりはやわらかい | 4,950円 |
価格は朝日酒造の希望小売価格。720ml・税込、2026年7月27日確認。純米大吟醸は化粧箱付の価格。
価格は上がるが、単純に「高いほど辛い」「高いほどキレる」という階段ではない。千寿は日常の食中酒、純米大吟醸は香りと飲みやすさ、萬寿は香りと味の奥行きを見る商品である。場面の違いとして捉えると分かりやすい。
どんな店で飲むと分かりやすいか
久保田を知るために、高級な日本酒専門店へ行く必要はない。千寿を置いている普通の居酒屋、蕎麦店、海鮮料理店で十分である。
最初は冷酒で千寿を頼み、刺身、焼き魚、煮物などと一緒に飲む。口の中に酒の味がどれだけ残るかではなく、飲み込んだあとに料理へ戻りやすいかを見る。
千寿、純米大吟醸、萬寿を二種類以上置いている店なら、香りと後味の違いを比べやすい。銘柄数が多い店より、同じ久保田を複数置いている店のほうが、このページの目的には合っている。
日本酒好きの中で共有されている3つの前提
- 千寿は純米酒ではない。 定番の「久保田 千寿」は吟醸酒。別商品として「千寿 純米吟醸」が存在する。名前が似ているため混同しやすい。
- 上位商品ほど辛口になるわけではない。 日本酒度は千寿+5.0、純米大吟醸±0、萬寿+2.0。価格の順と辛口の数字は一致しない。
- 久保田の軸は「辛口」だけではなくキレ。 朝日酒造は久保田の変わらない軸としてキレを挙げている。軽さ、後味、食事とのつながりまで含めて見る。
最初の一本
初めてなら、久保田 千寿を選ぶ。
720mlで1,430円と手を伸ばしやすく、普通の居酒屋でも見つけやすい。久保田の中心にある、穏やかな香り、すっきりした口当たり、飲み込んだあとのキレを確認できる。
冷酒で一杯頼み、刺身か焼き物と合わせる。最初の一口の強さではなく、料理を食べたあとにもう一度飲んだときの軽さを見る。