大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

DRINK日本酒銘柄図鑑新政は、3つのシリーズを上下で見ない

新政は、3つのシリーズを上下で見ないColors・No.6・PRIVATE LAB を、それぞれの役割でつかむ

新政の味、Colors 生成(エクリュ)・No.6 R-type・亜麻猫の価格感、飲む店、日本酒好きの共通認識、最初の一本を整理する。

新政は、名前だけが先に知られやすい銘柄だ。手に入りにくい酒、という話から入ると、味の話にたどり着かない。蔵が自分で決めているのは三つだけである。秋田県産の米だけを使う。酒母は生酛だけにする。酵母は自蔵で採れた六号酵母だけを使う。この三つを軸にすると、穏やかな香り、透明感、商品ごとに異なる酸の使い方が見やすくなる。

新政の日本酒瓶が3本並ぶ写真
TASTE IN 30 SECONDS

30秒で分かる味

新政は甘口か辛口か。蔵はどちらの言葉も使っていない。代わりに、何を使わないかを決めている。この引き算が、味の見え方を決めている。

01
新政は、足したものより引いたものを見る
  • 穏やか

    香り

    蔵は六号酵母を「芳香穏やかにして清冽」と書く。香りで押してくる酒ではない

  • 商品ごとに違う

    酒母は生酛だけ。亜麻猫では白麹の強い酸が前に出るように、商品ごとの差を見る軸になる

  • 澄んでいる

    透明感

    蔵の言葉では「寒冷地の雪解け水を思わせる清らかなテイスト」

  • 使わないもの

    引き算

    ラベルに書く義務のない添加物も使わない。秋田県産米と六号酵母だけで組み立てる

  • 冷蔵で早めに

    扱い

    蔵は開栓前後にかかわらず冷蔵をすすめ、多くを四合瓶で出している

LINEUP

銘柄の中の地図——Colors、No.6、PRIVATE LAB

新政の3つのシリーズは、上下の階段ではない。それぞれ役割が違う

役割商品味の見どころ720ml・税込(正規特約店)
火入れの定番新政 Colors 生成(エクリュ)蔵が「最もスタンダードなライン」と呼ぶ火入れシリーズのボトム2,281円
唯一の定番生酒新政 No.6 R-type六号酵母をそのまま出すための生酒。蔵内で低温貯蔵し、扱いは最も難しい2,650円
実験ライン新政 亜麻猫焼酎用の白麹を併用した、蔵が「もっとも個性的」と呼ぶ一本2,481円

正規特約店の税込価格。2026年7月27日確認。蔵元公式の商品資料はR03BY版で、掲載価格も旧価格のため、現在の価格根拠には使用していない。

本文では商品名を「生成(エクリュ)」に統一した。蔵元の旧商品資料では「Ecru エクリュ -生成-」、正規特約店では「生成(エクリュ)」などの表記が使われている。

蔵はシリーズの中では順位を出す。No.6 には R・S・X があり、R が入口だ。しかしシリーズどうしを比べた順位は、蔵のどこにも書かれていない。値段の並びも、生成(エクリュ)→ 亜麻猫 → No.6 R-type と、シリーズの序列とは一致しない。それぞれのシリーズの中でどこにいるか、で決まっているからである。

WHERE TO DRINK

どんな店で飲むと分かりやすいか

新政を知るなら、冷蔵保管が見える店を選ぶ。開栓してからの日数を尋ねたときに答えられる店なら、なお分かりやすい。これは店の格の話ではなく、蔵が開栓前後の冷蔵と、開栓後は早めに飲みきることを案内しているためである。

蔵元の公開商品資料はR03BY版だが、その資料ではNo.6を「出荷月から3ヶ月以内」「常時冷蔵保管」と案内している。現行ロットの扱いは、出す店で確認する。

生成(エクリュ)と亜麻猫も冷蔵が必要である。No.6は生酒なので、とくに日付と温度を意識する。火入れだから常温保管でよい、という意味ではない。

新政は蔵が直接販売せず、特約店を通して流通する。店にないときは追い回す必要はない。次の入荷や、別の機会でよい。希少性ではなく、実際に飲めたときの香り、透明感、酸の使い方を見る。

COMMON VIEW

日本酒好きの中で共有されている3つの前提

  1. 新政は六号酵母が生まれた蔵である。 昭和5年に新政のもろみから採取された酵母が「きょうかい6号」で、蔵はこれを現役では最も古い市販清酒酵母だとしている。
  2. ラベルに吟醸・大吟醸を書かない。 蔵は「精米歩合のみが酒の価値を決めるものではない」として、どれだけ磨いても表記を「純米酒」に統一している。ラベルからは磨きの度合いが読めない。
  3. 3つのシリーズに上下はない。 蔵はシリーズの中の順位は示すが、シリーズどうしを比べた順位は示していない。値段の並びを格付けと読まないほうがよい。
FIRST BOTTLE

最初の一本

初めてなら、新政 Colors 生成(エクリュ)を選ぶ。

蔵がColorsを「最もスタンダードなライン」と位置づけ、生成をその入口に置いている。生成も冷蔵が必要だが、No.6のような生酒と比べると、最初の一本として扱いやすい。720mlで2,281円と、今回並べた3本では最も手を伸ばしやすい。

飲むときは冷蔵庫から出してすぐ、まず香りを確かめる。強く香ってこないのが普通で、それが六号酵母の性格である。次に、透明感と、飲み込んだあとの輪郭を見る。生成の酸を公式は数値や味の言葉で示していないため、「酸っぱい酒」と決めつけない。

特約店に在庫がなければ、追い回す必要はない。次の入荷や、別の機会でよい。