大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

DRINKワイン品種図鑑ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブラン——飲む前に、香りで分かる白

白ブドウのソーヴィニヨン・ブランはどんな味か。グラスに近づけた瞬間に立つ香りと、後味を切る酸。ロワールのサンセールとプイィ・フュメ、ニュージーランドのマールボロで谷ごとに変わる香り、ボルドーの白とチリ、料理と温度まで。

ソーヴィニヨン・ブランは、飲む前に分かる白だ。グラスを鼻に近づけただけで、柑橘と青い草の匂いが立ち上がってくる。

THE GRAPE

どんな白か

濃い緑の葉に挟まれて垂れる、黄緑色のソーヴィニヨン・ブランの房が2房
ソーヴィニヨン・ブランの房。粒が黄緑色になった8月に撮影Photo: Geolina163 + 1971markus / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

香りが先に来る。グレープフルーツやレモンのような柑橘に、グーズベリーや白い果実。そこへ刈りたての草やピーマンのような、青い葉を思わせる匂いが混じる。果実と青葉が同じグラスの中に並ぶのが、この品種の特徴である。

口に入れると酸がはっきりして、後味が切れる。冷やして飲むと、この切れがいっそう際立つ。

LOIRE

ロワール——サンセールとプイィ・フュメ

フランス中部、ロワール川の上流にサンセールがある。この土地の白はソーヴィニヨン・ブランで、味はフレッシュで繊細。畑の桃や洋梨のような白い果実と、グレープフルーツの柑橘が前に出る。

手前に白い石の混じる土のブドウ畑、奥に麦畑と斜面の畑が入り組んだサンセールの丘陵
サンセール周辺の丘。手前の畑の土には白い石が混じる。6月撮影Photo: Pline / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0リサイズ

サンセールは、爽やかで切れるだけの白ではない。口に入れた瞬間はやわらかく、そこから豊かに丸くなっていく。パスカル・ジョリヴェのサンセールは、澄んだ果実味が口の中に広がる一本である。

川を挟んだ向かいのプイィ・フュメも、同じ品種の白だ。こちらはエニシダとグレープフルーツの香りに、火打石を打ち合わせたような匂いが乗る。珪石を含む土地の白に典型的な香りである。

MARLBOROUGH

マールボロ——谷が変わると、香りが変わる

整然とした畝が地平線まで続くワイラウ平野のブドウ畑と、奥の褐色の山並み
ニュージーランド、マールボロのワイラウ・ヴァレー。平らな畑が地平線まで続く。1月撮影Photo: Jonathan Harker / Wikimedia Commons / CC BY 4.0リサイズ

ニュージーランド南島のマールボロは、1980年代にこの品種でその名を世界に知らせた土地である。パッションフルーツやトロピカルフルーツの華やかな香りに、刈りたての草、トマトの茎、赤いピーマンが混じる。青さと南国の果実が同居して、香りは強く、果実の輪郭は澄んでいる。

この香りは、谷でも変わる。主産地のワイラウ・ヴァレーはより熟してトロピカル寄り、南のアワテレ・ヴァレーはより青くミネラル寄りになる。アワテレは涼しく、乾いていて、風が強い。ヴィラ・マリアのマールボロは、草花系と柑橘の香りに、ライムジュースのようなみずみずしさがある。

ELSEWHERE

ボルドーの白と、チリの海寄りの産地

ボルドーの辛口白では、この品種はセミヨンと組んで使われる。ソーヴィニヨン・ブランが生き生きとした部分を、セミヨンが厚みと丸みを受け持つ。樽で仕上げたものには、ヘーゼルナッツや蜂蜜の匂いも混じる。

チリでは、太平洋に近いレイダやカサブランカでこの品種が造られている。レイダのT.H.は、ライチやグレープフルーツ、トロピカルフルーツの香りにミネラル感のある一本である。

TABLE

料理と温度

温度は8〜12℃。よく冷やすと酸の切れが立ち、少し温度が上がると香りが開く。

料理は魚介が合わせやすい。ホタテのマリネ、白身魚、貝類。酸が魚の脂と塩気を受け止めるからで、レモンを搾る役をワインが引き受けると考えると分かりやすい。柑橘やニンニクを使ったソース、トマトや酢を使った料理とも合う。サンセールには山羊のチーズという組み合わせもある。