リースリングには、辛口も甘口もある。ただしどちらにも共通して、高い酸が残る。この酸が軸になっていて、甘さはその上に乗る。
どんな白か

香りは桃と青リンゴ、そこにライムのような柑橘や白い花。口に含むと酸がまっすぐ立ち、後味がすっと切れる。重さは軽いか中くらいで、厚みで飲ませる白ではない。甘さのあるものでは、蜜のような風味が酸の上に乗る。
ゆっくり熟す品種で、味の決め手は果実の酸にある。酸が高いので、甘さを残しても間延びしない。同じブドウから、キリッとした辛口も、甘さのある白も造られるのはそのためだ。
辛口と甘口、どちらにも酸がある
リースリングは、辛口に造っても甘口に造っても酸が高い。甘さの残る一本では、その甘さが高い酸と釣り合って、角の立たない味になる。辛口かどうかの線引きも、糖の量だけでなく酸との釣り合いで決まる。
モーゼルのローゼン・ブラザーズには、「ドクター・エル」の名で辛口とやや甘口の2本がある。辛口のほうはレモンのような果実味で、粘板岩の畑から来るミネラルの感じが下地に通る。ラベルには「ドライ」とあり、ドイツ語の「トロッケン」も同じ辛口を指す。やや甘口のほうは、青リンゴをかじったような果実味に甘さが乗って、口当たりがやわらかい。糖が残っているぶん、こちらはアルコールが低い。
モーゼル、ラインガウ、プファルツ

モーゼルは川沿いの急斜面に畑がある。粘板岩の斜面が昼に日の熱を蓄え、夜に放つ。ここのワインは酸と果実味が豊かで、下地にミネラルの感じが通る。香り高く、繊細で、アルコールは比較的低い。
同じドイツでも、ラインガウはもう少し厚みがある。果実味があってはっきりした酸を持ち、香りは洗練されていて、ときにスパイスを思わせる。南のプファルツはドイツで最も日照が多く乾いた産地の一つで、ここのリースリングは緑の果実ではなく桃やアプリコットの香りを持ち、酸はモーゼルほど張りつめない。
アルザス、オーストラリア、そして灯油の香り

フランスのアルザスでは、この品種は辛口に造られるのが中心である。レモンやグレープフルーツの柑橘に、桃や洋梨、白い花の香り。口当たりは引き締まっていて、酸がまっすぐ出る。
オーストラリアの南、クレア・ヴァレーのリースリングはライムの香りで知られる。夜が冷えるこの土地では、酸がしっかり保たれる。若いうちは香りが控えめで、味も厳しく感じられるが、置くと開く。同じ南オーストラリアのエデン・ヴァレーはライム果汁のような強い香りを持ち、熟成するとママレードやトーストの方向へ変わる。オーストリアのものは辛口で、鉱物を思わせる引き締まった味わいになる。
時間が経ったリースリングには、灯油やガソリンを思わせる香りが出ることがある。この品種の熟成した姿としてよく知られていて、好みははっきり分かれる。
料理と温度
温度は、軽いタイプで9〜11℃あたり。冷やしすぎると香りが出てこない。
料理は、甘辛で使い分けると分かりやすい。生姜と唐辛子の効いた甲殻類のタイカレーには、控えめな甘さを残した一本。包み焼きにしたマスやイワナには、軽いモーゼルの辛口。しっかり味付けした焼き魚には、より力強いリースリング。辛さのある料理に甘さが効き、繊細な魚には辛口が寄り添う。
辛口は寿司にも合う。ヨードの風味のある牡蠣もいい。