次の世代へ渡すもの、という言い方をブランド自身が掲げる最高級時計だ。
複雑な仕掛けを、作り続けてきた
19世紀の半ばにジュネーヴで始まった。以来、家族経営を続けている数少ない会社の一つである。
このブランドが長く手がけてきたのは、時刻を知らせる以外のことをする仕掛けだ。曜日と日付と月の表示、月の満ち欠け、鐘を鳴らして時刻を知らせる機構。部品が増えるほど調整が難しくなる方向へ、あえて進んできた。

パテック フィリップ 懐中時計
Photo: Wikimedia Commons — Watch, Patek Philippe & Company, Geneva, 1888.jpg / Public domain(腕時計ではなく懐中時計。創業から半世紀ほど後の一点で、腕時計の出発点を示すものではない。)
複雑機構の工房から、工芸と継承の象徴へ
出発点は、複雑機構を作り続ける工房だった。その積み重ねが、工芸、長く使うこと、世代を越えて受け継ぐことを象徴するブランドとしての位置を作った。次の世代へ渡すもの、という言い方をブランド自身が公式に掲げている。

ショーケースの二本
Photo: Wikimedia Commons — Patek-Philippe MG 2581.jpg / CC BY-SA 2.0 FR(ショーケースの二本。手前に大きなルーペが置かれている。)
いまはどんな人が着けるブランドか
富裕層や収集家が、40代以降を中心に着けている。
派手なスポーツ時計より、薄く端正な時計や複雑機構を好む人に選ばれている。装飾のない丸い三針、曜日と月の表示を持つ型、鐘を鳴らす型。仕掛けの多さそのものに関心を持つ人が選んでいる。
ブランドの知名度だけでなく、工芸や歴史、継承性を重視する人に向いている。
服装はフォーマルな場面や、落ち着いた仕事着に合わせられる。薄い三針はスーツの袖に収まる。
代表的なモデル
カラトラバ——装飾のない丸い三針。1932年から続く系統で、このブランドの基本形にあたる。薄く作られている。

パテック フィリップ カラトラバ
Photo: Wikimedia Commons — Patek Philippe Calatrava.jpg / CC BY-SA 4.0(装飾のない丸い三針。)
ノーチラス——横に張り出した八角形のケースを持つスポーツ型。1976年に出た。ケースとブレスレットが一体に見える輪郭が特徴になっている。
アクアノート——ノーチラスから派生した、樹脂ベルトの型。同じ系統でありながら、より砕けた場面へ回せる。