大きく読みやすいのに装飾がない、という組み合わせで知られる機械式時計だ。
アメリカ人が、スイスに立てた会社
1868年、アメリカ人の時計技師がスイスの北の端に会社を立てた。スイスの職人の手仕事と、アメリカ式の機械生産を組み合わせるという考えからである。
場所として選ばれたのは、ライン川の流れを動力に使える町だった。会社の名も「国際時計会社」で、最初から国境をまたぐことを前提にしていた。
その後、飛行機の計器としての時計を長く手がける。暗いところでも読める文字盤、手袋のままでも扱える作り。計器の側から来た系統が、いまも主力の一つとして残っている。

IWC マーク XV
Photo: Wikimedia Commons — IWC Mark XV.jpg / CC BY-SA 4.0(1999年から2006年まで作られた型。現行世代とは別の意匠。)
計器の発想から、落ち着いた機械式時計へ
操縦席で読みやすい計器的な文字盤を持つパイロット・ウォッチと、1939年にポルトガルの商人の注文から生まれた大きなポルトギーゼ。この二つが、現在のこのブランドを代表する系統になっている。どちらも文字盤には余計なものが載らず、数字は読みやすい形で並ぶ。
その簡潔な文字盤が、いまは落ち着いた大人の機械式時計として仕事着に取り入れられている。大きく読みやすいのに装飾がない、という組み合わせが、このブランドの顔になっている。

ショーケースのポルトギーゼ
Photo: Wikimedia Commons — IWC Portuguese various models.JPG / CC BY-SA 3.0(2009年の撮影で、現行世代ではない。同じ系統の中に文字盤違いが並ぶ売り方は、いまも変わらない。)
いまはどんな人が着けるブランドか
機械の設計や計器の背景を好み、落ち着いた機械式時計を仕事着に合わせたい人に選ばれている。年代は30代後半から50代が中心だ。
計器的な文字盤のパイロット・ウォッチも、大きなポルトギーゼも、読みやすさで組み立てられた文字盤を持つ。ケースは大きめだが、色や文字盤は落ち着いている。

IWC ポルトギーゼ オートマティック
Photo: Wikimedia Commons — IWC Portuguese Automatic.JPG / CC BY-SA 3.0(現行世代ではない2009年の個体。細い数字と大きな文字盤という構成は、いまも共通している。)
代表的なモデル
ポルトギーゼ——1939年、ポルトガルの商人の注文から生まれた系統。大きな文字盤に細いアラビア数字が並ぶ。
パイロット・ウォッチ——飛行機の計器から来た系統。黒い文字盤に白い数字、12時位置の三角。読みやすさだけで組み立てられている。
ポートフィノ——装飾を抑えた薄い三針。丸いケースに細い目盛りが並ぶ。