大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

WATCH — 時計ブランド図鑑 — Cartier

Cartier——機械より先に、美しい形で選ばれる時計

宝飾の店として始まり、腕時計という道具が生まれた最初期に関わった。四角い枠と小さな文字盤という形そのものがデザインの定番となり、男女を問わず選ばれている。

機械の複雑さより、ケースの形や美しさで選ぶ人に着けられている高級時計だ。

ORIGIN

宝飾の店が、腕時計の初期に関わった

19世紀の半ばにパリで開いた宝飾の店が出発点である。時計を作る会社として始まったわけではない。

その店が、1900年代の初めに腕に着ける時計を手がけた。当時、時計はまだ懐に入れて鎖で吊るすものだった。飛行機を操縦しながら時刻を読むには、腕に固定されている必要がある——そこから生まれたのがサントスである。

サントスは、初期の実用的な男性用腕時計の一例として挙げられる。時計メーカーではない店から出たものだった。

角の丸い四角形のケースにローマ数字が並び、外装にビスが露出したカルティエ サントス。店の展示スタンドに載っている

サントス ドゥ カルティエカルティエ/2020年代/店頭展示

Photo: Wikimedia Commons — Cartier Santos wristwatch.jpg / CC BY-SA 4.0(現行世代のサントス。露出したビスは、初期からこの型に付いている特徴。)

SHIFT

宝飾店の時計から、形で選ばれる定番へ

このブランドは、まず宝飾店が作る美しい時計として見られてきた。売り場では時計と宝飾が同じ台に並び、装いの一部として選ばれる時計だった。

その見え方が広がった。四角い枠、小さな文字盤、露出したビス。形そのものがデザインの定番として数えられるようになった。

いまは男女を問わず選ばれる時計になっている。宝飾店の出自は変わっていないが、選ばれる棚が一つ増えた。

金とステンレスを組み合わせた1988年のカルティエ サントス。丸みのあるケースにビスが並び、ブレスレットも二色になっている

サントス(ガルベ)カルティエ/1988年/個人蔵

Photo: Wikimedia Commons — Cartier Santos 1988.jpg / CC BY-SA 3.0(金とステンレスを組み合わせた1980年代の姿。現行世代とは丸みの付け方が違う。)

NOW

いまはどんな人が着けるブランドか

物の形に関心のある人に選ばれている。年代は30代から50代が中心だ。

スーツやジャケット、ワンピースといった整った服装に合わせて着けられている。タンクなどの薄い型は、ジャケットやシャツの袖にも合わせられる。

求めているのは、機械の複雑さより、ケースの形や全体の美しさである。

タンクのような薄い長方形を選ぶ人と、サントスのようなビスの見える四角を選ぶ人がいて、腕元の印象は少し違う。

カルティエの店頭ウィンドウ。積み上げたギフト箱と豹の陶製の置物、台の上に数本の腕時計が英文の説明札とともに並ぶ

店頭のウィンドウ—/2018年撮影/ヘルシンキ

Photo: Wikimedia Commons — Cartier-shop-Helsinki.jpg / CC BY-SA 4.0(冬の装飾が施された時期の店頭。時計と宝飾が同じ台の上に並ぶ。)

MODELS

代表的なモデル

タンク——縦に伸びた長方形の枠が、そのままベルトへ続く形。1910年代からほとんど変わっていない。男性用と女性用の両方の径がそろっている。

サントス——角の丸い四角形に、外からビスが見える型。金属のブレスレットを持つ型があり、タンクより厚みがある。

バロンブルー——丸みの強いケースの側面に、竜頭を守る出っ張りが付く型。角のない輪郭で、丸い時計の系統にあたる。