機械の複雑さより、ケースの形や美しさで選ぶ人に着けられている高級時計だ。
宝飾の店が、腕時計の初期に関わった
19世紀の半ばにパリで開いた宝飾の店が出発点である。時計を作る会社として始まったわけではない。
その店が、1900年代の初めに腕に着ける時計を手がけた。当時、時計はまだ懐に入れて鎖で吊るすものだった。飛行機を操縦しながら時刻を読むには、腕に固定されている必要がある——そこから生まれたのがサントスである。
サントスは、初期の実用的な男性用腕時計の一例として挙げられる。時計メーカーではない店から出たものだった。

サントス ドゥ カルティエ
Photo: Wikimedia Commons — Cartier Santos wristwatch.jpg / CC BY-SA 4.0(現行世代のサントス。露出したビスは、初期からこの型に付いている特徴。)
宝飾店の時計から、形で選ばれる定番へ
このブランドは、まず宝飾店が作る美しい時計として見られてきた。売り場では時計と宝飾が同じ台に並び、装いの一部として選ばれる時計だった。
その見え方が広がった。四角い枠、小さな文字盤、露出したビス。形そのものがデザインの定番として数えられるようになった。
いまは男女を問わず選ばれる時計になっている。宝飾店の出自は変わっていないが、選ばれる棚が一つ増えた。

サントス(ガルベ)
Photo: Wikimedia Commons — Cartier Santos 1988.jpg / CC BY-SA 3.0(金とステンレスを組み合わせた1980年代の姿。現行世代とは丸みの付け方が違う。)
いまはどんな人が着けるブランドか
物の形に関心のある人に選ばれている。年代は30代から50代が中心だ。
スーツやジャケット、ワンピースといった整った服装に合わせて着けられている。タンクなどの薄い型は、ジャケットやシャツの袖にも合わせられる。
求めているのは、機械の複雑さより、ケースの形や全体の美しさである。
タンクのような薄い長方形を選ぶ人と、サントスのようなビスの見える四角を選ぶ人がいて、腕元の印象は少し違う。

店頭のウィンドウ
Photo: Wikimedia Commons — Cartier-shop-Helsinki.jpg / CC BY-SA 4.0(冬の装飾が施された時期の店頭。時計と宝飾が同じ台の上に並ぶ。)
代表的なモデル
タンク——縦に伸びた長方形の枠が、そのままベルトへ続く形。1910年代からほとんど変わっていない。男性用と女性用の両方の径がそろっている。
サントス——角の丸い四角形に、外からビスが見える型。金属のブレスレットを持つ型があり、タンクより厚みがある。
バロンブルー——丸みの強いケースの側面に、竜頭を守る出っ張りが付く型。角のない輪郭で、丸い時計の系統にあたる。