大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

TRAVEL行き先図鑑台湾

台湾——週末の台北から、歴史の台南、港町・高雄まで

近い、食べやすい、回りやすい。台北、九份、台中、日月潭、台南、高雄の位置と違い、初めて見るべき名所を一枚の地図からつかむ台湾入門。

近い。食べやすい。初めてでも動きやすい。

けれど、台湾を「台北タイペイと夜市」だけで覚えると、全体の半分も見えていない。北には大都市と山城、中部には建築と湖、南には古都と港町がある。まず地図で位置関係をつかみ、行きたい場所を一つ増やそう。

IN 30 SECONDS

30秒で分かる、台湾

台湾は、北・中・南で旅の性格が変わる島である。

  • 北部:初めての滞在地。大都市、夜市、博物館、山城
  • 中部:都市建築と自然を組み合わせる場所
  • 南部:歴史、寺廟、港町、土地ごとの食

初めてなら、台北を拠点に九份キュウフンへ。二度目なら、台南タイナン高雄カオシュンまで南へ進む。台湾の面白さは、同じ島の中で都市の顔がはっきり変わることにある。

FIG. 01
まず見る、台湾の全体地図
全体マップ台湾本島の略地図。北部に台北と九份、中部に台中と日月潭、南部に台南と高雄が位置する。台北・台中・台南・高雄は島の西側を南北に結ぶ高速鉄道の軸上に並ぶ。各地点を選ぶと本文の解説へ移動する。
  1. 台北タイペイ初めての入口
  2. 九份キュウフン北部の山城
  3. 台中タイチュウ中部の都市拠点
  4. 日月潭ニチゲツタン中部の湖
  5. 台南タイナン歴史と食の古都
  6. 高雄カオシュン南部の港町

台湾高速鉄道は西側の主要都市を南北につなぐ。台北だけで完結させず、台中・台南・高雄を「次に足せる街」として見ると、台湾の全体像が分かりやすい。

青空の下に台北101を中心とした台北の市街地が広がる
台北101を中心に広がる台北の市街地。Photo: Heeheemalu / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(トリミング・リサイズ)
TAIPEI

台北タイペイ——最初の滞在地

台北は島の北端、山に囲まれた盆地にある。台湾で最初に降りる街として最も分かりやすく、高層ビル、寺、博物館、古い商店街、夜市が地下鉄でつながる。短い滞在でも、違う時代の台湾を一度に歩ける街だ。

現代都市から古い街まで、台北の振れ幅

台北101タイペイ・イチマルイチ

現代の台北を示す高層ランドマーク。初日に街の大きさをつかむ場所として使いやすい。建物だけで終わらせず、周辺の信義エリアと合わせて「今の台北」を歩く。

国立故宮博物院こくりつこきゅうはくぶついん

中国美術の大きな流れを一度にたどれる博物館。翠玉白菜のような有名収蔵品だけでなく、書、青銅器、陶磁器と時代を下る構成そのものが見どころになる。台北101と対にすると、都市の振れ幅が分かる。

龍山寺ロンシャンスー

1738年創建と伝わる、台北の古い街側を代表する寺。参拝の熱気と装飾彫刻を見たら、周辺の萬華エリアや西門町まで歩く。信義とは別の台北が見えてくる。

士林夜市シーリンよいち

台湾の夜市文化を最初に体験する定番。食べ物を一つ決め打ちするより、歩きながら人の流れ、屋台、店の種類を眺める場所として覚える。

JIUFEN

九份キュウフン——坂道と灯りの山城

九份は、台北の北東にある山の町だ。1890年代に金が見つかり、日本統治期に鉱山の町として最も栄えた。閉山後に静かになった街が、坂道、細い路地、茶屋、山と海の眺めで再び知られるようになった——この盛衰が九份の骨格である。昼と夕方以降で印象が変わるため、「行ったか」だけでなく、何時ごろ歩いたかまで会話になる。

基隆山の斜面に九份の家並みが重なる
基隆山と、斜面に重なる九份の家並み。Photo: Ganmatthew / Wikimedia Commons / CC BY 4.0(トリミング・リサイズ)

鉱山町の記憶をたどる3地点

基山街きざんがい豎崎路シュウチールー

横に延びる商店街と、斜面を貫く石段。この2本の交差が九份の歩き方の基本になる。豎崎路の石段沿いに茶屋が連なり、日が落ちると提灯が灯る。

昇平戯院しょうへいぎいん

日本統治期に建てられた古い映画館。鉱山で働く人々の娯楽の場だった建物で、九份が「観光地になる前に鉱山町だった」ことを一つの建物で教えてくれる。

金瓜石きんかせきと黄金博物館

九份の隣にある、もう一つの鉱山集落。坑道跡や大金塊の展示があり、九份の賑わいの背景にある採金の歴史を確かめられる。時間があれば九份とあわせて半日で回れる。

九份は台北市内の観光地ではない。地図で台北との位置関係を確かめると、「台北の外まで足を延ばす一日」として理解しやすい。

会話で使うなら

「夕方に行った」と返ってきたら、「提灯が灯る時間帯ですね。茶屋には入りました?」と受ける。時間帯の話は、九份では場所の話と同じくらい中身がある。

TAICHUNG

台中タイチュウ——建築と中部観光の拠点

台中タイチュウは、台北と台南・高雄の間にある中部最大の都市である。台北ほど観光の型が決まっておらず、現代建築、再生された歴史建築、郊外の自然を自分で組み合わせる街になる。ここを拠点に日月潭ニチゲツタンなど中部の自然へつながる。

建築と自然を一日で組み合わせる

台中国家歌劇院たいちゅうこっかかげきいん

伊東豊雄が設計した、曲面と洞窟のような内部空間を持つ劇場。公演を見なくても、建物を見る目的が成立する。

宮原眼科みやはらがんか

かつての眼科建築を改修した菓子店。赤レンガの外観と大きな書棚のような内装が特徴で、台中駅周辺の街歩きが始まる場所になる。

高美湿地こうびしっち

市の海側に広がる湿地。木道の先に干潟と風車の列が続き、夕方の光で知られる。市内の建築巡りと組み合わせると、台中の一日に自然の時間が加わる。

SUN MOON LAKE

日月潭ニチゲツタン——台湾最大の湖

日月潭は台湾中部、南投県にある台湾最大の淡水湖である。先住民サオ族の伝承の地でもあり、湖名は「日輪と月輪の形を持つ湖」に由来すると語られる。都市観光が中心になりやすい台湾旅行の中で、湖、山、朝夕の光を眺める場所として性格が大きく違う。

湖を、信仰・文化・風景から知る

文武廟ぶんぶびょう

湖の北岸に立つ大きな廟。孔子と関羽を祀り、石段を上った高い位置から湖を見渡す眺めで知られる。

玄光寺げんこうじ拉魯島ラルーとう

湖の南側の寺と、湖に浮かぶ小さな島。拉魯島はサオ族の聖地であり、日月潭が景勝地である前に、先住民の土地だったことを思い出させてくれる。

向山シャンシャンビジターセンターと湖畔の自転車道

湖面と一体になるような曲線の現代建築と、湖岸をたどる自転車道。名所を数える旅ではなく、湖のまわりで時間を使う旅に切り替える地点になる。

最初の理解

台湾旅行に自然と余白を足す、中部のレイクリゾート。

TAINAN

台南タイナン——歴史と食の古都

台南は、台湾の歴史を街の中で歩ける都市である。17世紀のオランダ拠点から、鄭氏、清代、日本統治期までの層が市街地に重なって残る。食も名物一品ではなく、小さな店を何軒か回る楽しみ方と相性がよい。

青空の下に安平古堡の展望塔と赤れんがの階段が見える
台南の歴史をたどる起点になる安平古堡。Photo: Taiwantaffy / Wikimedia Commons / Public domain(トリミング・リサイズ)

17世紀から続く街の層を歩く

赤嵌楼せきかんろう

台南中心部の代表的な史跡。オランダ統治期に築かれ、その後の時代に修繕と改築が重ねられた。台南の歴史が一層ではないことを知る最初の場所になる。

安平古堡あんぴんこほう

17世紀にオランダ東インド会社が築いた要塞ゼーランディア城を起点とする史跡。赤嵌楼と並べると、台南が台湾史の重要な舞台だったことが見えやすい。

神農街しんのうがい

古い町家や小さな店舗が並ぶ通り。史跡を点で回るだけでなく、街の幅や建物の連なりまで歩いて確かめる。

この街の骨格

古跡を歩き、小さな店を何軒か回る、歴史と食の街。

会話で使うなら

「台南がよかった」と返ってきたら、「古い街を歩く感じが残ったんですね。いちばん印象に残った場所はどこでした?」と受ける。

KAOHSIUNG

高雄カオシュン——海風のある港町

高雄は台湾南部の港町である。倉庫街を再生した文化施設、港の景色、地下鉄駅のアート、夜市が近い範囲に集まり、台北とは違う開放感がある。

港の再生と、南部の夜を歩く

駁二芸術特区ボーアーげいじゅつとっく

港の旧倉庫群を文化・芸術のエリアへ転用した場所。高雄を「工業港」だけでなく、港湾再生の都市として理解する起点になる。

美麗島駅メイリーダオえき

大きなパブリックアート「光之穹頂」で知られる地下鉄駅。移動場所そのものが観光地になる、高雄らしい一地点。

六合夜市リウフーよいち

高雄を代表する夜市の一つ。港町らしい海鮮料理や南部の食を、街の夜と一緒に味わう。

ITINERARY

初めての台湾、日数別の組み方

3日——台北+九份

初めてなら、台北を拠点にする。台北101、龍山寺、夜市で都市の振れ幅を見て、別日に九份へ足を延ばす。北部だけでも「大都市」と「山城」の二つの顔が見える。

5日——台北+台南

北部だけで終えず、高速鉄道で南へ進む。台北の現代都市と、台南の古跡・食を並べると、台湾が一つのキャラクターではないことが分かる。

7日——台北+台南+高雄

台南で歴史を歩き、高雄で港とアートを見る。台南と高雄は近い南部にありながら、古都と港町で役割が違う。都市の比較そのものが旅になる。

FOOD

台湾で覚える、食の入口8つ

FIG. 02
名前・読み・最初の理解
名前読み最初の理解
小籠包しょうろんぽう薄い皮の中にスープを含む点心
魯肉飯ルーローハン煮込んだ豚肉をご飯にかける定番
牛肉麺ニュウロウミエン牛肉とスープを味わう麺料理
胡椒餅フージャオビン胡椒を効かせた肉餡を包む焼きもの
蚵仔煎オアチェン牡蠣と卵を使う台湾式の料理
芋圓ユーユエン九份でも知られる芋の団子
豆花トウファ豆乳から作るやわらかな甘味
鳳梨酥オンライソーパイナップル餡を包む焼き菓子

全部を覚える必要はない。旅行前に二つ、会話前に一つ知っていれば、夜市の話が「何を食べました?」から具体的になる。

SIX WORDS

会話に持ち帰る、台湾の6語

  1. 台北——最初の滞在地
  2. 九份——坂道の山城
  3. 台中——建築と中部の拠点
  4. 日月潭——自然と余白
  5. 台南——歴史と食
  6. 高雄——港とアート

一問だけ持ち帰るなら

「台北の外では、どこまで行きました?」

九份、台中、台南、高雄のどれが返ってきても、このページの地図へ戻れる。

運行状況、所要時間、施設の営業時間は、旅行前に各公式サイトで確認してください。