大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

SPORTS12球団図鑑巨人

読売ジャイアンツ——「勝って当然」と言われる球団の、優勝と停滞

この10年で一度も最下位がなく、リーグ優勝は3度。それでも「物足りない」と言われ続ける。優勝が基準線になっている球団の、順位の波と見られ方、応援の手応えとしんどさを1ページで。

この10年、リーグ優勝が3度。一度も最下位に落ちていない。ほとんどの球団なら誇っていい成績だが、巨人ではこれが「物足りない10年」として語られる。リーグを制しても日本一には届かず、2位で終えれば批判が出る。評価の基準線が「優勝」に置かれている——読売ジャイアンツの現在像は、強いかどうかより先に、この期待値の高さから見たほうが分かりやすい。

屋根のある球場の内部を外野の上段から見た様子。観客席がほぼ埋まり、グラウンドでは守備についた選手が散らばっている

東京ドームの内部2016年9月・東京都文京区

本拠地・東京ドーム。ここで行われる巨人戦は、いまも相手球団のファンまで含めて観客が入る。

Photo: Chi-Hung Lin / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0リサイズ

QUICK

30秒で分かる球団

01
読売ジャイアンツは、いまこう見る
  • リーグ・本拠地

    セ・リーグ/東京ドーム

    セントラル・リーグの球団。本拠地は屋根つきの東京ドーム

  • 2016〜2025年

    優勝3度、日本一なし

    リーグ優勝2019・2020・2024年。最下位はゼロ。ただし日本シリーズは勝てていない

  • 現在の段階

    優勝を狙い続ける側

    再建期ではなく、毎年優勝を求められる立場が続いている

  • 付いている印象

    「勝って当然」

    2位や3位では評価されにくい。人気と反発の両方が大きい

DECADE

この10年の順位の波

順位だけ見れば、安定した強豪である。

02
2016〜2025年のリーグ順位
順位補足
20162位
20174位
20183位
20191位リーグ優勝。日本シリーズは4連敗
20201位リーグ優勝。日本シリーズは再び4連敗
20213位
20224位
20234位
20241位リーグ優勝。日本シリーズには進めず
20253位

NPB公式の年度別成績による。2025年シーズン終了までを扱う。

10年間の最低が4位。リーグ優勝は2019年、2020年、2024年の3度ある。ところが日本一は一度もない。2019年と2020年の日本シリーズはいずれもソフトバンクに4連敗。2024年はリーグを制したのに、その先のクライマックスシリーズで敗れ、日本シリーズにすら進めなかった。

この「リーグでは勝てるが、最後まで勝ち切れない」形が、いまの巨人への評価を作っている。2016〜2018年に2位→4位→3位と続いたときは、優勝を逃したこと自体が「3年連続V逸」と呼ばれ、監督が退任した。他の球団なら及第点で済む順位が、この球団では区切りの理由になる。

白いホームユニフォームの打者がスイングを振り抜いた直後を、スタンド上段から見下ろした構図。背中にOKAMOTOと背番号25

岡本和真2019年4月・読売ジャイアンツ時代

生え抜きで4番を長く務め、2026年にメジャーのブルージェイズへ移った。補強の球団という印象の内側に、こういう中心選手がいた。

Photo: 江戸村のとくぞう / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

VIEW

いま、この球団はどう見られているか

期待値が、他球団と別の物差しで動く。 「優勝以外は失敗」という書かれ方は、この球団に限っては誇張ではなく、実際の報道の型である。2位や3位で終えた年の総括は、他球団の優勝逸より厳しく書かれる。順位表の上では十分に上位でも、巨人の評価はそう動く。

補強の印象と、生え抜きの実像が両方ある。 2016年オフにはFA選手3人の同時獲得という史上初の補強をやり、2018年オフには広島から丸佳浩を獲った。「金で選手を集める球団」という見られ方は、こうした事実に根がある。ただし実像はそれだけではない。長く4番を務めた岡本和真は高卒からの生え抜きで、2026年にメジャーへ移った。坂本勇人も戸郷翔征も自前で育った選手である。近年は報道でも「大型補強から育成へ」の転換が語られていて、補強一辺倒の球団像は、いまの実態からは少しずれ始めている。

他球団のファンからも、常に見られている。 「アンチ巨人」という言葉が辞書的に定着しているほど、この球団は好意と反発の両方を集めてきた。地上波の全国中継が減り、巨人戦は「国民が全員見るもの」ではなくなったが、阪神との首位攻防が「伝統の一戦」として特別扱いされる状況は続いている。負ければ、戦力も監督も補強もまとめて批判される——注目の総量が大きい球団の宿命である。

SHARED

野球好きの中で共有されている3つの前提

  1. 2位や3位では「よくやった」になりにくい。 2016〜2018年の2位→4位→3位は「3年連続V逸」と呼ばれ、監督交代につながった。優勝が基準線で、それ以外は程度の差でしかない——という受け止めが、ファンにも報道にも共有されている。
  2. 大型補強の印象が強いが、生え抜きの中心選手も多い。 FA3人同時獲得(2016年オフ)のような派手な補強史の一方で、岡本和真・坂本勇人・戸郷翔征と、チームの背骨は自前で育てた選手が担ってきた。
  3. 人気と反発が、同時に大きい。 巨人ファンの数も、巨人が負けると喜ぶ層の厚さも、12球団で図抜けている。どの球団のファンと話しても、巨人への態度だけは何かしら持っている。
FAN

好きになる理由と、応援していてしんどいところ

毎年、優勝を期待して開幕を迎えられる。これがいちばんの魅力である。10年間最下位がなく、数年おきにリーグ優勝が来る球団は、実際にはほとんどない。「今年は何位を目指すか」ではなく「今年こそ日本一か」から始められるのは、この球団のファンの特権と言っていい。

その裏返しで、負けたときの世間の反応は12球団でいちばん厳しい。2位でも「失敗」と書かれ、監督の進退が話題になり、補強の是非が蒸し返される。優勝しても日本シリーズで負ければ、今度はそこが基準になる。満足できる着地点が「日本一」しかない——応援していてしんどいのは、この出口の狭さである。