大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

SPORTS12球団図鑑楽天

東北楽天ゴールデンイーグルス——中位を抜け切れないもどかしさと、毎年変わる期待

3位に入る力はあるのに、翌年へつながらない。監督の就任は10年で6度を数え、1年での退任が続く。2013年の日本一を成功像として持ちながら、4位が定位置になりつつある球団の現在地を1ページで。

強い年が、続かない。東北楽天ゴールデンイーグルスはこの10年で3位に3度入ったが、その翌年に順位を上げたことは一度もない。2022年から2025年は4年連続の4位。そして監督が替わり続ける——就任は2016年以降だけで6度を数える。2013年の日本一という強烈な成功体験を持ちながら、その再現の形をまだ見つけられていない球団。それが、いまの楽天のいちばん正直な説明になる。

満員の屋外球場を内野後方から見た全景。左奥に観覧車が見える

楽天モバイルパーク宮城2023年4月・仙台市

仙台の屋外球場。2005年に生まれた12球団でいちばん若い球団の、最初からの本拠地である。

Photo: Hotta Akahane / Wikimedia Commons / CC BY 4.0リサイズ

QUICK

30秒で分かる球団

01
東北楽天ゴールデンイーグルスは、いまこう見る
  • リーグ・本拠地

    パ・リーグ/楽天モバイルパーク宮城

    パシフィック・リーグの球団。仙台の屋外球場が本拠地

  • 2016〜2025年

    3位止まりと、4位の常連化

    3位が3度あるが翌年に続かず、2022〜2025年は4年連続4位

  • 現在の段階

    立て直しの最中

    上位に届かない年が続き、チームを作り直す入口にいる

  • 付いている印象

    軸が定まらない

    監督と方針が短いサイクルで替わる。2013年の日本一が、いまも成功像として残る

DECADE

この10年の順位の波

02
2016〜2025年のリーグ順位
順位補足
20165位
20173位
20186位最下位
20193位
20204位
20213位
20224位首位に立ちながらの失速
20234位
20244位
20254位

NPB公式の年度別成績による。2025年シーズン終了までを扱う。

この表でいちばん重いのは、2022年である。夏場まで貯金18で首位に立ちながら、後半に崩れて最後は借金2の4位。OBから「歴史的な失速」と呼ばれたこの一年は、上位へ入る力と、それを保てない体質が同居していることを、これ以上なくはっきり示した。

そして監督が替わり続ける。梨田昌孝、平石洋介、三木肇、石井一久、今江敏晃、そして再びの三木肇。3位に入った監督(平石)がその年のオフに退任した例まである。2016年以降、監督が3年以上続いたのは石井一久だけで、戦い方の軸が定まったと思ったところで体制が変わる時期が続いた。このサイクルの速さこそ、順位表よりも楽天という球団を説明している。

白いホームユニフォームに背番号3の打者。胸にキャプテンのCマークが付いている

浅村栄斗2023年4月・楽天モバイルパーク宮城

2018年オフに西武からFAで加入して以来、打線の中軸であり続けているベテラン。

Photo: Hotta Akahane / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0リサイズ

VIEW

いま、この球団はどう見られているか

2013年の日本一が、いまも「成功像」の位置にある。 田中将大が24勝0敗で牽引し、球団創設9年目で頂点に立ったあの年は、東日本大震災の2年後という時期も含めて、東北にとって特別な記憶になっている。以後の楽天は、あの形——絶対的なエースと、それを支える打線——の再現をずっと探してきた、と語られることが多い。

補強はする。定着しないのは方針のほうである。 岸孝之(2016年オフ)、浅村栄斗(2018年オフ)と大型FAを取り、田中将大も2021年に呼び戻した。個々の獲得は成功と呼べるものが多い。ただ、監督と戦い方が数年ごとに入れ替わるため、戦力が積み上がる前にリセットがかかる。「フロント主導の交代が早すぎる」という批判は、OBからも繰り返し出ている。

それでも、下地への評価は残っている。 2024年ドラフトでは、5球団が競合した大学生野手・宗山塁を引き当てた。若手野手の台頭を評価する声もあり、「核になる素材は集まりつつある」という見方が、低迷の中でも消えていない。問題は素材ではなく、それを続けて育てる時間のほうだ——という整理が、いまの大方の見立てである。

SHARED

野球好きの中で共有されている3つの前提

  1. 2013年の日本一が、現在も球団の成功像として残っている。 田中将大の24勝0敗とともに語り継がれ、以後の全ての年は、どこかであの年と比べられている。
  2. 監督が短期間で替わる時期が続き、戦い方の軸が見えにくい。
  3. 上位争いへ入る力はあっても、それを翌年へつなげる難しさが続く。 3位の翌年に上がった例がなく、2022年には首位からの失速も経験した。
FAN

好きになる理由と、応援していてしんどいところ

予想より上へ食い込む年の勢いは、この球団ならではの楽しみである。下馬評の低い年にふっと3位へ入り、クライマックスシリーズ圏内で9月を過ごす。仙台の屋外球場で見るその追い上げは、常勝球団の消化試合よりよほど熱い。そして宗山塁のような新しい希望が、数年おきに必ず現れる。

しんどいのは、「形ができた」と思った直後に、監督か主力か方針のどれかが変わることだ。応援の対象が固定されない。2013年の立役者・田中将大も、2021年に復帰したが2024年を最後にチームを離れた。積み上げを見守る楽しみが、リセットのたびに巻き戻される——この繰り返しに付き合う忍耐が、いまの楽天ファンにはいちばん要求されている。