2024年の日本シリーズを、この球団はリーグ3位から勝ち上がって制した。26年ぶりの日本一。「毎年下位」と言われた時代を知っている人ほど驚いた結果だが、順位を並べると、これは急に起きた奇跡ではない。この10年でAクラスが7回。 横浜DeNAベイスターズは、気づけば「勝負できる球団」に変わっていた。残っている宿題は一つ——リーグ優勝だけが、まだない。

横浜スタジアム2022年1月・横浜市中区
関内駅のすぐそば、街なかに建つ本拠地。外壁にSINCE 1978とある。
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30秒で分かる球団
リーグ・本拠地
セ・リーグ/横浜スタジアム
セントラル・リーグの球団。本拠地は横浜の街なかに建つ屋外球場
2016〜2025年
Aクラス7回、日本一1回
2017年に3位から日本シリーズへ、2024年には3位から日本一。下位が定位置だった時代は終わった
現在の段階
あと一歩の常連
優勝を狙える戦力が続くが、リーグ1位は1998年が最後のまま
付いている印象
打線が派手
点の取り合いに強く、大量点の試合が似合う。短期決戦に強いという評価も定着した
この10年の順位の波
| 年 | 順位 | 補足 |
|---|---|---|
| 2016 | 3位 | |
| 2017 | 3位 | 3位から日本シリーズ進出。敗退 |
| 2018 | 4位 | |
| 2019 | 2位 | |
| 2020 | 4位 | |
| 2021 | 6位 | 最下位 |
| 2022 | 2位 | |
| 2023 | 3位 | |
| 2024 | 3位 | リーグ3位から日本一 |
| 2025 | 2位 |
NPB公式の年度別成績による。2025年シーズン終了までを扱う。
数字の並びが示すのは「常連化」である。10年のうち7年でAクラスに入り、2位が3度。2021年に最下位へ落ちた年はあるが、翌年には2位へ戻った。1998年からの長い低迷期——順位表の下半分が定位置で、親会社がTBSだった時代——を知る人には、この安定自体が別の球団の話に見える。
そして短期決戦である。2017年は3位からクライマックスシリーズを勝ち上がって日本シリーズへ進み、2024年は同じ3位から、日本シリーズで2連敗したあと4連勝して日本一まで行った。レギュラーシーズンの持久走より、負けたら終わりの数試合で強さが出る——この評価は、もう偶然とは言われていない。

牧秀悟2021年3月・横浜スタジアム。ルーキーイヤーの春
入団1年目の牧秀悟。以後、打線の中軸であり続けている。
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いま、この球団はどう見られているか
まず語られるのは、打線である。 牧秀悟、佐野恵太、宮﨑敏郎、オースティン。日本一になった2024年のチーム得点はリーグ最多で、「点を取って勝つチーム」という像は数字にも表れている。メジャーから筒香嘉智が復帰したのもこの年で、打席の顔ぶれの華やかさは12球団でも目を引く。
短期決戦の強さは、もう期待として定着した。 3位からの日本シリーズ進出(2017年)と3位からの日本一(2024年)を、同じ10年の中で2度やった球団は他にない。クライマックスシリーズの季節になると「DeNAが上がってきたら怖い」と相手側から語られる——挑戦者としては、これ以上ない評価である。
それでも「なぜ優勝できないのか」は、ずっと残っている問いである。 リーグ1位は1998年が最後。細かい1点を取りにいく攻撃の弱さや、シーズンを通した投手陣の安定感が課題として繰り返し指摘されてきた。派手に勝つ日と、あっさり落とす日。その差が大きく見える時期には、「強いのか弱いのか分からない」という不満が出やすい。
野球好きの中で共有されている3つの前提
- 打線の華やかさが、球団の印象を作っている。 大量点の試合が似合う打の球団。2024年の得点リーグ最多が、その裏づけになっている。
- 短期決戦では、相手を押し切ってくる。 3位からの下剋上を10年で2度。秋のDeNAは順位以上に警戒される。
- 「毎年下位」という古い像は、もう当てはまらない。 この10年でAクラス7回。低迷期の記憶で語ると、いまの実像を見誤る。
好きになる理由と、応援していてしんどいところ
試合が動く瞬間の爆発力が、この球団の醍醐味である。一挙5点の回、代打の一発、追い上げの雰囲気で球場全体が立ち上がるとき——「見ていて楽しい野球」を挙げるなら、DeNAは12球団でも上位に来る。そして秋には、3位からでも日本一まで行けるという実績がある。シーズン中盤に順位が伸びなくても、「まだ分からない」と思える球団になった。
しんどさは、その日ごとの落差にある。打線が止まると連敗があっさり伸び、「昨日の勢いはどこへ行った」という試合を年に何度も見ることになる。そして何より、リーグ優勝を最後に見たのが1998年という事実。日本一を2度挟んでもなお、「シーズンをずっと1位で走り切る姿」だけは、まだ誰も見ていない。