デニムの基準として置かれている一本。新品としても、穿き込んだ古着としても選ばれている。
労働用の丈夫なズボンとして生まれた
1853年、サンフランシスコの雑貨卸として始まった。服屋ではなく、西部の商店へ商品を供給する会社だった。
丈夫なズボンを求める客に応えて、ポケットの角と前立ての付け根を銅のリベットで留める方法を考えたのは、ネバダの仕立屋ジェイコブ・デイビスである。一人では特許の費用を出せず、生地の仕入れ先だったこの会社と組んで1873年に特許を取った。
着ていたのは鉱夫、鉄道労働者、機械工、木こり、船乗り、農夫、カウボーイ。服を酷使する仕事の人たちのための道具だった。

映画と若者文化を通って、街の定番へ
1930年代、東部の人々が西部の牧場へ休暇に出かけるようになると、会社はカウボーイを前に出した。仕事で穿く人以外へ売られ始めたのは、この頃にあたる。
1950年代には映画の若い俳優が穿いて、若者の服になる。学校が禁止した例もあった。
日本では1980年代に、古い一本の色落ちが現行品と違うことに気づいた人たちが古着を探し始める。1990年代には雑誌が特集を組み、若者が古着屋を回った。
いまはどんな人が穿くブランドか
分かれるのは、穿いている人ではなく入口のほうだ。
若い層は、ワイドやルーズと呼ばれる太い形から入る。黒のデニムも多い。あるいは古着から入る。
大人には、最初の一本が501だった人がいる。他を考える前にまずこれ、という順番で買っていて、いまも基準にしている。
新品と古着の両方に入口があるのが、このブランドの特徴だ。新品の501を定番として選ぶ人もいれば、色落ちの違う古着を探す人もいる。古着のほうは、擦れも破れも直して穿き続ける。

代表的な型
501——ボタンで前を留める型。このブランドを代表する一本にあたる。
505——ジッパーで前を留めるレギュラーフィット。
トラッカージャケット——1960年代に出た三代目のデニムジャケット。いまの定番の形にあたる。最初のデニムジャケットは1936年の506で、胸のポケットが左だけに付いていた。
近いブランドとの違い
同じ時期のアメリカに生まれたデニムのメーカーには、リーとラングラーがある。始まりが違う。リーは作業着全般を扱う会社から、ラングラーはロデオの選手向けの服から出ている。
いまも三社とも現行のブランドで、売り場では隣に並ぶ。リーは作業着の流れを汲む型を、ラングラーは西部の匂いを残した型を、それぞれ看板にしている。