大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

FILM映画ブリーフィング『トップガン マーヴェリック』

『トップガン マーヴェリック』——前作を観ていなくても分かることと、観ていると分かること

1986年の『トップガン』の続編。前作を知らなくても追える情報と、知っていると効いてくる情報を分けて整理する。

1986年の『トップガン』の続編である。前作を観ていなくても筋は追えるが、観ていると意味が加わる箇所がある。先に仕分けておく。

WITHOUT THE FIRST

前作を観ていなくても分かること

前作を観ていない場合、映画の冒頭で次のことが説明される。

マーヴェリックは、海軍の腕のいいパイロットである。 昇進して現場を離れることを避け続けてきた結果、年齢に対して階級が低いままでいる。

トップガンは、海軍の教育課程の通称である。 選ばれたパイロットが集められ、空中戦の訓練を受ける。マーヴェリックはかつてそこの学生で、今回は教官として呼び戻される。

マーヴェリックには、過去に失った相棒がいる。 その相棒の息子が、今回の教え子の中にいる。

この三つは、序盤の場面と台詞で示される。

THE PEOPLE

人物——四人

人物立場
マーヴェリック主人公。呼び戻された教官
ルースター教え子のパイロット。マーヴェリックの元相棒グースの息子
ハングマン教え子のパイロット。腕はいいが単独行動を取る
ペニー基地の近くで店を営む。マーヴェリックとは以前からの知り合い

ほかに、教え子のフェニックスやボブ、指揮系統にいる人物が関わってくる。

THE MISSION

訓練の目的は、一つの任務にある

この映画では、任務の内容が序盤で提示される。谷のあいだを低空で飛び、決められた時間内に目標へ到達し、垂直に近い角度で上昇して離脱する。地形と、時間と、機体の限界がすべて指定されている。

訓練の場面では、この条件が一つずつ試される。誰が時間内に飛べて、誰が飛べないか。マーヴェリックが教官として何をするのかも、ここで見えてくる。

序盤に条件が示されてから、その条件で飛べるようになるまでが訓練の場面として続く。

THE FILMING

飛行場面は、実際に機体に乗って撮られた

この作品でよく語られるのが、飛行場面の撮り方である。

出演者は3か月の訓練課程を受け、そのうえで戦闘機のコックピットに乗り込んだ。機内にはIMAXのカメラが設置され、顔と操縦席の外の風景が同時に撮られている。

ただし、操縦していたのは海軍のパイロットである。 俳優が操縦桿を握ったわけではない。画面に映っているのは、実際に強い加速を受けている俳優の顔と、その機体から見た本物の景色だ。

トム・クルーズ自身は、プロペラ機やヘリコプターの操縦は行っている。

THE ACTOR

俳優の来歴が、役の状況と重なっている

もう一つ、この作品には作品外の層がある。

マーヴェリックを演じているのは、36年前の前作と同じトム・クルーズである。劇中でマーヴェリックは、まだ現役でいられるのか、次の世代に譲るべきではないかと問われる。

同じ俳優が同じ役を36年後に演じているので、劇中の台詞が俳優の来歴とも重なって聞こえる箇所がある。

ここから先は、訓練の経過、任務の展開、そして前作を観ている人にだけ効く場面に触れます。 未見で先を知りたくない場合は、ここで止めてください。

WITH THE FIRST

前作を観ていると、効いてくるところ

前作を観ている人にだけ働く要素が、いくつかある。

グースの死。 前作で、マーヴェリックの後席に乗っていたグースは訓練中の事故で亡くなる。今回ルースターがマーヴェリックに向ける態度は、この事故を前提にしている。前作を観ていなくても、この事故については劇中で説明される。

アイスマン。 前作でマーヴェリックの好敵手だった人物が、今作では海軍の高い地位にいる。二人が再会する場面は、40年近い時間の経過そのものを見せる場面になっている。

曲とバイクと基地の風景。 前作で使われた曲や構図が、同じ形で繰り返される。前作を観ていれば同じものだと分かるが、観ていなくても場面は成立している。

THE FLIGHT

任務の場面で、条件が一つずつ外れていく

終盤、訓練してきた任務が実行される。

序盤で提示された条件——谷、時間、上昇角——が、実行のあいだに一つずつ崩れていく。想定していない事態が起き、そのつど判断が要る。訓練の場面を丁寧に見せてきたのは、この崩れ方が分かるようにするためである。

飛行の場面では、コックピットの中から撮られた顔と、機体の外から撮られた画が交互に出る。