911の前を開けると荷室があり、エンジンは後ろにある。1963年から変えていないこの配置が、ポルシェの車の形と性格を決めている。
356から911へ、そして911の外へ
ポルシェは設計事務所として始まり、最初の自社の車は1948年の356だった。小さく軽い後輪駆動の車で、量産型は平たいエンジンを車の後ろに積んでいた。1963年に出た911はその考えを受け継ぎ、八つの世代を数えるいまも、エンジンを後ろに積む配置を変えていない。
1976年には、エンジンを前に積む924を出して一度911の外へ踏み出し、いまはSUVのカイエンとマカン、四つの扉のパナメーラ、電気で走るタイカンまで揃える。それでも会社は911を「ブランドの心臓」と呼び、911に見えることを他の車にも求めている。

前が低く、肩が高い
911の顔は、前が低く、両側のフェンダーが高く、その上に丸いヘッドライトが立っている。前にエンジンがないのでボンネットを低くでき、フェンダーがボンネットより高い形になる。屋根は後ろへなだらかに下がり、その線は後ろのエンジンの上まで続く。デザインの責任者は、配置を根本から変えたらそれはもう911ではない、と言う。
この顔つきを、ポルシェは他の車にも写している。SUVのマカンやカイエン、四つの扉のパナメーラ、電気で走るタイカンも、前が低く肩の高い顔と、後ろへ下がる屋根の線を持つ。こちらはエンジンの位置から来た形ではなく、家族の印としての顔である。

速いだけでなく、毎日使える
ポルシェが掲げるのは、速さと、毎日使えることの両方である。911には前に荷室があり、後ろに小さな席が二つあって、ポルシェはそれを日常の使いやすさに数える。
スポーツカーの会社がSUVや四つの扉の車を持つことも、同じ考えの延長にある。家族と荷物を載せる車でも、運転して楽しいことと、911と同じ顔つきを譲らない。電気で走る車でも、それは同じである。
911、718、タイカン、マカン、カイエン、パナメーラ
911——1963年から続く中核のスポーツカー。前に二つの席と後ろに小さな席を二つ持ち、屋根が固定のクーペのほか、屋根の開くカブリオレとタルガ、サーキット向けのGT3、速さの頂点のターボまで、一つの形の中に幅がある。
718——911より一回り小さなスポーツカーで、エンジンは運転席の後ろ、車の真ん中に積んだ。屋根が固定のケイマンと、開くボクスターがあり、曲がる楽しさを売りにした。2025年10月に生産を終えている。
タイカン——電気で走るセダン。四つの扉を持ちながら、前が低く肩の高い顔と後ろへ下がる屋根で、911の姿を保つ。荷室を後ろに伸ばしたクロスツーリスモもある。
マカン/カイエン——家族と荷物を載せるSUV。小さいほうのマカンは2代目が電気だけの車で、日本ではエンジンの初代もまだ並んで売られている。大きいカイエンはエンジンの型と電気の型が並ぶ。どちらも車高は高いが、屋根の線を低く後ろへ流して、SUVの中では低く見える。
パナメーラ——四つの扉のスポーツカー。長い車体に、一番後ろの横窓の下の角が前へ切れ込む線と、低く見せたボンネットを持つ。四人で長い距離を速く走るための車である。
