大人男子の趣味教養OTONA DANSHI NO SHUMI-KYOYO

CARメーカー図鑑ホンダ

ホンダ——小さな車体に広い室内、そして操る喜び

エンジンとバイクから始まり、1963年に四輪へ入った会社。人の場所を先に決めて機械を小さく収める作り方で、背の高い車と低い車の両方を作る。

N-BOXの後ろの床が低いのは、燃料タンクが前席の下にあるからである。小さな車体で広い室内を取る工夫が、ホンダの車にはこうして形になっている。

LOOK

背の高い箱と、低く水平な窓

ホンダの見た目には、代表的な二つの方向がある。一つは短いボンネットと四角い車体で、軽自動車のN-BOXがその代表である。機械を小さくまとめて前に押し込み、残りを人の場所にした結果、ボンネットが短く、屋根が高い箱になる。ステップワゴンやフリードも同じ系統のミニバンである。

もう一つは、低く水平につながる窓の線で、シビックに分かりやすく出ている。前から横へ低く続く窓は、光を取り込んで室内を開放的にするための形だとホンダは説明する。2025年のプレリュードは、この方向をさらに低く薄くした二枚扉の車である。

ホンダN-BOX(3代目)の白い車体。背の高い箱型の軽自動車
N-BOX(3代目・2023年〜)。写真は前面を飾ったカスタムの型Photo: TTTNIS / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ
STRENGTH

人の場所を先に取る

ホンダは1967年の軽自動車N360で、大人四人が座れる客室を先に決め、機械はあとから小さく収める順序で設計した。この順序を「人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に」と言い表し、以後もこの考えを掲げている。

はっきり形になったのが、燃料タンクの置き場所である。2001年の小型車フィットで、ふつう後席の下にあるタンクを前席の下へ移し、後ろ半分の床を低くした。後席を畳むと荷室が平らになり、背の高い荷物も立てて積める。同じ配置を軽のN-BOXへ持ち込むと、低い床と高い天井を持つ室内ができた。

もう一つ看板にするのが「操る喜び」で、シビックはこの言葉を前に出す。速さの数字より、思いどおりに曲がり、止まる手応えを大事にする。ハイブリッドは主にモーターで走る方式で、モーター主体の走りでも運転する楽しさを残すことをうたっている。

ホンダN360を斜め前から。赤い小さな軽自動車。展示施設の展示車
N360(1967年)。ホンダの展示施設で撮影。この車のNを、2011年からの軽の系統が名前に受け継いでいるPhoto: Rainmaker47 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0リサイズ

出発点はエンジンとバイクである。戦後、軍の無線機の発電用だった小さなエンジンを自転車に付けることから始まり、バイクの会社として育った。四輪に入ったのは1963年で、実績のない会社が四輪に参入できなくなる法案が動いていたため、数か月で試作車を作って間に合わせた。最初の四輪は、軽トラックのT360と小さなスポーツカーのS500だった。

MODELS

N-BOXから、フリードまで

N-BOX——軽の枠いっぱいに作った背の高い箱。2023年の3代目で、後ろの席の横の扉は引き戸、床は低く天井は高い。四角い窓と短いボンネットの、飾りの少ない姿である。前面を飾ったカスタムの型もある。

フィット——小型車。燃料タンクを前席の下に置いた低い床が強みで、後席を畳むと荷室が平らになる。2020年の4代目は角を丸めた柔らかい形で、運転席の前の柱を細くして視界を広く取った。

シビック——1972年から続く世界向けの車。2021年の11代目は低く構え、低く水平な窓を持つ。日本では後ろの扉が持ち上がる5ドアだけで、「操る喜び」を掲げる車である。

プレリュード——2025年に戻った二枚扉の車。グライダーを発想の起点にした低く滑らかな形で、屋根の継ぎ目の部品をなくしている。ハイブリッドで走る。

ヴェゼル——小さなSUV。屋根の線が後ろへ低く下がる二枚扉の車のような形で、後ろの扉の取っ手を柱に隠す。燃料タンクの配置はフィットと同じで、後席の足元が広い。

ステップワゴン/フリード——家族のためのミニバン。三列の席と引き戸を持ち、2022年のステップワゴンは大きく四角い車体で、飾りを抑えた平らな顔の型と飾った顔の型がある。2024年のフリードは一回り小さく、三列でも街で取り回しやすい。

現行型ホンダ・シビック(FL1型)を斜め前から。赤い5ドアハッチバック
シビック(11代目・2021年〜)。写真は5ドアのハッチバック。この世代のセダンは日本では売られていないPhoto: 先従隗始 / Wikimedia Commons / CC0 1.0リサイズ