運転席のすぐ後ろにエンジンを積む296、前に12気筒を積む12チリンドリ、長い旅のためのアマルフィ、四つの扉のプロサングエ。形は違っても、レースから来た速さと運転の体験が共通している。
レースのチームが、車を売る会社になった
エンツォ・フェラーリは1929年、イタリアのモデナでレースのチームを作った。自分の名前を付けた最初の車は1947年の125Sで、これもレースのための車だった。創業者にとって車の心臓はエンジンで、125Sの設計は12気筒のエンジンから始まった。公道を走る車を売り始めたのは翌年からで、レースを続ける会社が、そのまま車を売る会社になった。
いまもフェラーリはF1のチームを持ち、1950年の最初のシーズンから、すべてのシーズンに出ている唯一のチームである。会社は自分たちを「レースの精神から生まれた」と説明し、レースで得たものを市販の車に移すことを、車づくりの根に置いている。

速さと、運転の体験
フェラーリが力を入れるのは、速さと、運転しているときの体験である。エンジンの音と反応、曲がるときの軽さ、加速の伸びを車の中心に置き、会社は自分たちの車の値打ちを「運転の喜び」と「イタリアのデザイン」で説明する。アマルフィやプロサングエのように、長い距離の快適さにも力を入れた車がある。
近年はエンジンにモーターを組み合わせた車が増え、296は電気だけでも短い距離を走れる。モーターは、加速や反応の鋭さにも活かしている。車種は二人乗りだけでなく、前に12気筒を積む長距離向けの車や、四つの扉を持つ車にも広がった。
低く、幅広く、赤い
外観の雰囲気は、低く、幅が広く、地面に近い。296は、エンジンを運転席のすぐ後ろに積んだ二人乗りで、運転席が前輪の近くまで寄り、後ろが長く、屋根が低い。車体を短くして軽く小さく見せ、前面は飾りを削って、昔のフェラーリの涙の形のヘッドライトを現代の形で受け継いだ。
前にエンジンを積む12チリンドリやアマルフィは、長いボンネットに運転席が後ろへ下がった、伸びやかな形である。象徴の色は赤で、イタリアのレースの車の色から来ている。

296、12チリンドリ、アマルフィ、プロサングエ
296——いまのフェラーリの中心にある二人乗り。運転席のすぐ後ろに6気筒のエンジンとモーターを積み、車体を短くして曲がりやすさを前に出した。屋根が固定のGTBと、屋根の開くGTSがある。姿は低く短く、前は飾りが少なく、後ろは垂直に切り落とした形で、1960年代のフェラーリを引用している。
12チリンドリ——前に12気筒のエンジンを積む、長距離を速く走るための車。名前はイタリア語で12気筒の意味で、モーターを持たないこのエンジンを続ける役目を負う。長いボンネットに低い屋根、運転席は後ろに下がり、鼻先には黒い帯が入る。屋根の開く型もある。
アマルフィ——前に8気筒のエンジンを積む二枚扉で、後ろに小さな席が二つある。2025年に前の車種ローマの後を継いだ車で、速さを保ちながら、長い距離を快適に走ることも重んじた車である。顔は穏やかで、296のような鋭さより、なめらかな面で見せる。
プロサングエ——四つの扉と四つの席を持つ、この会社で初めての車。前に12気筒を積み、後ろの扉は後ろ向きに開く。車高は多くのSUVより低く、長いボンネットと張り出したフェンダーで、四つの扉があってもフェラーリの姿を保っている。速さと運転の喜びに、快適さを加えた車である。
