2026年6月29日、アメリカ・ヒューストン。ワールドカップのラウンド32で、日本はブラジルに1-2で敗れた。日本が29分に先制し、ブラジルが56分に追いつき、後半アディショナルタイムの6分に決勝点が入った試合だった。
29分——中盤で奪って、そのまま自分で決めた
先制したのは日本だった。
29分、佐野海舟が中盤でブラジルのパスを奪う。相手の縦パスが味方に合わなかったところを狙った形だった。奪ったあとは前へ運び、ペナルティエリアの手前、センターサークルの円弧の上あたりから右足で放つ。
代表での初ゴールだった。佐野は本来、中盤で相手の攻撃を止める役割の選手で、得点は仕事の中心にない。奪う、運ぶ、決めるまでを一人で完結させた形が、この試合で最も語られた場面になった。
56分——サイドからのクロスに、カゼミーロが合わせた
ハーフタイムを挟んで、ブラジルが攻め方を変える。
中央を固める日本の守りに対して、サイドからゴール前へボールを送る回数を増やした。56分、ガブリエウ・マガリャンイスから上がったボールにカゼミーロが頭で合わせて同点にする。
クロスの本数は、前半の12本から後半は28本へ増えている。同点ゴールも、サイドから上がったボールに合わせたものだった。
日本は最終ラインが下がっていった。守備の選手が自陣の深い位置に構える状態で、ゴールに近い場所は守れるかわり、ボールを奪っても相手ゴールまでの距離が長くなる。試合の後半は、この状態が続いた。
アディショナルタイム6分——延長へ向かうかに見えたところで
同点のまま90分が過ぎ、試合は延長戦へ向かうかに見えた。
後半アディショナルタイムの6分、ガブリエウ・マルチネッリが決勝点を決める。日本の大会はここで終わった。
1点差の試合で、シュートは19本対5本
最終スコアは1点差だが、記録に残った数字には差がある。
シュート数はブラジル19本に対して日本5本。枠内シュートは7本対2本だった。
この数字が数えているのは、打った回数と、そのうち枠へ飛んだ数である。それ以上のことは含んでいない。どちらのゴール前にボールがあった時間が長かったか、どのあたりでプレーが続いていたかは、シュートの本数からは分からない。それらはボール保持率やプレーの位置といった別の指標で数えるもので、この試合の記録として一緒に語られることが多い。
試合後の評価も割れた。前半の狙いが機能して先制したことを取り上げる見方と、シュート数の差や決勝トーナメント初戦での敗退を重く見る見方がある。
この大会の日本代表に、いなかった選手
大会を通じて、日本の顔ぶれには欠けがあった。
三笘薫は、大会前のリーグ戦で負傷し、メンバーから外れている。大会期間中を通じて出場はなかった。
久保建英は、大会初戦のオランダ戦で同点ゴールの起点になった。相手を引きつけてから味方へ展開する形だった。ただしこの試合で負傷し、以降の出場は限られている。ブラジル戦はベンチに入ったが、出場していない。
ゴールキーパーの鈴木彩艶は、前半にブラジルの決定機を止めている。1点差で前半を折り返せた場面には、この守備が含まれる。
連載
日本代表がワールドカップとワールドカップのあいだに何を戦うのかは、連載第7回で扱っている。